レイジーの騎士生活 王城に侵入します。ちゃんと正面からな!
出来ました。次のは、早くできそうです
団長を背負い左手で首の塩漬けが入った袋を持ちで支え右手はフリーな状態だ。
「おい、貴様!これ以上、神聖な王宮内での狼藉許すわけには――」
剣を抜いて襲いかかってきた騎士には、延髄に一撃入れて昏倒させる。
「おらぁ、気絶する恥をさらしたくなかったら道をあけろぉぉ!!!」
本気の殺気を乗せて脅す。若手は簡単にびびってくれるが、熟練はそう簡単に退いてくれない。
「仕方ない、強行突破だ」
謁見の間に向けて瞬時にトップスピードに到達させ全力で走る。
◆◆◆
村を出て4日、予想外に時間はかかったが王国にたどり着いた。防壁では棋士証を見せ素通りすることが出来た。
「おい、さすがにここは無理じゃないか?」
「いけますって、裏技があるんですよ」
ゴーーン
丁度、お昼の鐘が鳴った。よし、今だな。
「すいません。入場手続きいいですか」
「えぇ~、もうお昼なのに」
そう、王城に入るときの警備は、お昼の鐘と同時に交代する。タイミングを見計れば、杜撰な手続きをしてくれる。
「え~と、身分は?」
「騎士です。これ騎士証です。戦争で怪我したんですけど、近場の村で治療してもらってて、やっと帰ってきました」
「はいはい、確認確認。名前は?」
「レイジーです」
「レイジーレイジーっと、あったあった。じゃぁ事務の方に生存報告してね。じゃ」
一番懸念していた質問もせずにさっさと奥に引っ込んでしまった。
「わお、想像以上に杜撰」
「うむ、これは締め上げが必要だな」
「まぁ、荷物の中身を聞かれなくてよかったじゃないですか」
「そうだな」
馬を訓練場に放置し(たまに誰かがやっている)、荷物ごと団長(マントで覆っている)を背負い騎士団長室に向かう。
「お、レイジーじゃねぇか。生きていたのか」
飛び上がりそうな体を無理矢理押さえ込みゆっくりと振り向く。そこにいたのは同室だった奴だ。
「お、おう。怪我してたんだけどな」
「お前、遊撃部隊じゃなかったか?遊撃部隊は全滅したって聞いたぞ。運がよかったな」
『え!?』
やばい、団長が声を上げてしまった。
「今の誰だ?」
「お、俺だよ俺。ビックリして裏返っちまった」
「そうか?やけに高かったが、まぁいい。それよりも聞いたか?」
「なにを?」
「キルリカ元団長、王国裏切って敵国についたらしいぜ。なんでも遊撃部隊の情報を売ったっていう話だ。懸賞金が白金貨50枚もかかってるってよ」
裏切って、のところで団長の体が動いた。よかった、ばれていないようだ。
「へ、へぇ~。あ、そうだ。生存報告に行かなくちゃ。じゃぁまたな」
「おう。今夜一杯やろうぜ」
「あいよ」
話を断ち切ってその場から逃げるように団長室に向かう。
団長に予備の鎧を着せる。なんか裸を見過ぎて逆に下着姿が興奮する。
「団長、時間がありません。一刻も早く謁見にいきましょう」
「でも、私は賞金首なのだろう?だったら謁見する前に斬り殺されるぞ」
「話ぐらいは聞いてくれますよ」
「今だから話すが、遊撃部隊を命じたのはあの溝鼠だ。多分、残っている副隊長はあいつの手のものだ」
溝鼠:この場合、戦争で王国を裏切った伯爵の揶揄。悪臭に加えすることなす事が汚い。
「うげぇ。じゃぁ強行突破しますか?」
「出来るのか?今ここにいるのは300をはるかに超えているぞ?しかも出てくるのは騎士だけじゃないんだ」
「余裕ですって、本気を出しますから」
とりあえずネズミとかいないかな。緊急時だし無闇に命を奪いたくはないが、それをしないと軌道予測が使えないし
◆◆◆
「仕方ない、強行突破だ」
団長を抱えているので余り無理な動きは出来ないが、最小限の動きで攻撃を除け謁見の間に走る。
「裏切り者がぁ!!この騎士団t――」
そう声を張り向かってきたのは、なんと一人だけ生き残った副団長
団長、と名乗りを上げさせる前にボディに拳をぶち込む。こいつはぶっ飛ばす。
「ごばぁぁ」
はっ、いい気味だ。
「おい、レイジー!」
「おっと」
もっと人が集まってくる前に謁見の間の扉までの距離を走破した。