3話 秘められた力って夢があるよね。
貢献度確認カード
水晶から発行されるもの
通称は冒険者カードとか冒険者手帳
本来は貢献度確認カードなのだが、どうみても冒険者カードな性能をしている事からこっちで呼ばれる。
神の力で偽造防止などがされておりかなり高性能。
手帳は持ち主のみが捜査閲覧でき、砦の管理クリスタルに申請すればなくしたり、誰かに奪われたりしてもすぐに再申請できる。
また手帳の持ち主が許可すれば、他人に自分のランクや能力などをある程度制限をつけたり、完全開示か選んで見せることができる。
後にどれくらいの過負荷で破壊できるかを実験したアルケミストの話によると
象を地上10階分位の高さからカタパルトで発射すれば壊せる位の強度である事が判明
冒険者カードの丈夫さより、どうやってそんな状態を作りだしたのかという謎が勇者7不思議の一つとなった
あなたの能力をある程度の目安で評価し、貢献度や戦闘経験や神に与えられた特殊な能力を閲覧できます。
などとカードの説明はあっさり終わった。
次に自分の能力を説明してくれるのだが、どうやら他人には聞こえていないらしい。
というのも、他人が説明を聞いているとき、自分には何も聞こえないのだ
その能力の説明もやけに短い。
そんな風にやけに短い説明に比べ、とても長いカード発行待ち時間を、雑談しながら待ち、やっとでてきたカードを眺めると
『秘められた力』
なんだろこれ?
自分の持っている力を水晶に告げられ、説明を受けたのだが…、説明になかったそれ以外のものが受け取ったカードには書いてあった。
「勇次の力ってなんだった?」
他の人もそうなんだろうか?と思い勇次に聞くと、こんな感じとカードを見せてくれた。
名前 : 鋳形 勇次
貢献度 : 10
能力 : 攻戦一方
能力値総合評価 : S
筋力値評価 A 体力評価 A+ 器用さ評価 A 知力評価 H--- 精神力評価 A 魔力評価 A+++
魔法抵抗評価 SSSS+++++ 敏捷評価 A 瞬発力評価 A 反応評価 A 運評価 A
戦闘経験評価 : E (11レベル)
実績ランク : 0ポイント Eランク(最低値)
総合ランク : C
備考 : 知力が低いため魔法習得に難あり。
「ナニコレ」
思わず声が出た。
というか、僕の親友はチート人間だったのかと初めて気づいた。
確かに、昔から野球部に入っていてずっと4番を張り、打席にたてば一球目で常に快打を飛ばしていたが、
どうやらあれはチート能力だったようだ。
このカードの能力を見て初めて気づく僕もどこか抜けているのかもしれないが…。
実績ランクの値が0ポイントでEランク、ということはEランク=0とすると…
知力評価H---とはどういうことだろうか?まさか…知力マイナス…?
いや、まぁ…、僕にもっと低いランクで0とかあったし、実績ランクと能力評価のランクの付け方が同じとは限らないよな。さすがにそこまでバカじゃないだろ。
というか、普通戦士系の能力が高いと魔法系の能力って低いものじゃないの?なんでこんなに高いの????てかSSSS+++++とかなにそれ?ちょっと多すぎないそれ????
てか、こんなに魔力高くても、知力が低いため魔法習得に難ありとか書かれてたら意味無くない?
何か、自分と明らかに違う、というか知力以外足元にもおよばない程の自分との差を見せつけられ涙が出てくる。
「ノブはどんな感じだ?」
見せるのが恥ずかしくなる程の差を感じるが、見せられたのに見せないわけにもいかず、シブシブ見せる
名前 : 長谷川 宣以
貢献度 : 10
能力 : 規模調整、秘められた力
能力値総合評価 : E++
筋力値評価 E- 体力評価 E+ 器用さ評価 B 知力評価 S++ 精神力評価 C 魔力評価 C
魔法抵抗評価 D+ 敏捷評価 E- 瞬発力評価 E- 反応評価 E- 運評価 C
戦闘経験評価 : G (0レベル)
実績ランク : 0ポイント Eランク(最低値)
総合ランク : E
備考 : もう少しがんばりましょう。
能力の規模調整とは、水晶の説明によれば、他人や自分の魔法の範囲を自由に広げたり縮めたり、剣や素手で殴ったりしたときの攻撃範囲を自由に広げたり縮めたりできるそうだ。
攻撃的ではないけど、結構いい能力だなぁとか、まぁ能力は低いけど、冒険序盤だししかたないよね!これから成長するよ!と自分に言い聞かせていたのに…、
それに、備考欄の『もう少しがんばりましょう。』ってなんだよ!通信簿かよ!畜生!!小学校の頃の通信簿に体育関係でそう書かれたよ!!!
というかなんで僕の親友はチートスペックなの?地球にいた頃からそうだっけ?異世界召喚補正という奴なの?
それ、僕にもください。
いや、まだ勇次にはない秘められた力というのが、僕にはある。
きっとこれからの戦いで、仲間がやられた時、
「勇次のことかー!!」
と叫んで覚醒し、伝説の力に目覚め魔王も一撃で倒せるチート能力が手に入るんだ!!!
そうだ、そうに違いない!と思いながら、
勇次に能力の説明をして、『へぇ、便利そうだな』と言われ、君のステータスの方が便利そうだよと思っているところに、
「坊主達はどんな感じだ?」
と今さっきカードを貰ってきたのかおじさんと神原さんがそばまで来ていた。
神原さんの友人はまだ水晶にいる所をみると、まだ説明を受けている最中のようだ。
とりあえず自分達のカードを渡し、2人のカードをみると…。
名前 : 神原 守人
貢献度 : 10
能力 : 刀技無双、秘められた力
称号 : 剣聖
能力値総合評価 : S+
筋力値評価 A++ 体力評価 S++ 器用さ評価 SS 知力評価 B++ 精神力評価 SS 魔力評価 G(0ポイント)
魔法抵抗評価 G(0ポイント) 敏捷評価 A 瞬発力評価 S+ 反応評価 SS++ 運評価 B
戦闘経験評価 : C (52レベル)
実績ランク : 0ポイント Eランク(最低値)
総合ランク : A-
備考 : 魔法使用不可。
チート。
称号欄ってなんですか?
52レベルって冒険終盤じゃないんですか?
G(0ポイント)をみてやっぱり戦士系はこうだよな!と思いながら、どっかにこれよりランクの低い知力もちがいたなとか
現実世界で自分に使えるPARはどこに売ってるんですか?
という言葉を必死に呑み込み、
能力『秘められた力』を見て、僕に残された最後の希望が音を立てて崩れるのを聞きながら、
何も言えないまま、震える手でおじさんのカードを見終わった勇次とカードを交換する。
名前 : 二宮 浩司
貢献度 : 10
能力 : 堅城堅固
能力値総合評価 : B
筋力値評価 A+ 体力評価 B- 器用さ評価 A- 知力評価 S 精神力評価 AA 魔力評価 C+
魔法抵抗評価 B+ 敏捷評価 B- 瞬発力評価 B 反応評価 B- 運評価 C 成長性評価 E
戦闘経験評価 : D (21レベル)
実績ランク : 0ポイント Eランク(最低値)
総合ランク : C
備考 : 高齢により成長性低し。
あれ?これ?僕って実は地球ではかなりの虚弱体質だったのかな?
皆やけに能力が高いぞ????????????????????????????????????
あれれー?
僕、この中じゃ足手まとい?????????
知力以外何一つ及ぶものが、というかおじさんとわずかしか差がないし…。
そんな風に考えていると、落ち込んでる風に見えたのか
「まぁおちこむな、子供はまだ色々勉強している最中だからな、大人のが優れてるのは仕方ないさ。」
大人の方が強くて当たり前だよと励ますようにおじさんが頭を撫でてくる。
ちょっと照れくさい。
でも、僕と誕生日が三日しか違わない僕の親友が、おじさんより能力高いんです。
「まぁ、坊主だって知力S++とかなってんだ、頭がよけりゃ大抵の事はすぐに追い越せる。
そういやこんなに知力高いって事はどっかいい中学なのか?」
残念ながら僕も勇次もごく平凡な公立の中学校です。
という事を返すと。
「まぁ知力Sとかなってる俺がW大を出てるんだ、お前さんならT大狙えるんじゃないのか?」
え?
いや、『え?』なんて失礼か。
「おじさん、W大を出てたんですか?」
「まぁ一応な」
でもW大をでてるのにどうして工事現場で働いているんだろと思っていると、
僕が聞く前にテレ臭そうに説明してくる。
なんでも勤めていた会社が、バブルの時に無茶な経営をして潰れてしまい、それ以来日雇い労働者だったらしい。
そんなおじさんの意外な一面に驚きながらカードを見ているとふと気になったのが。
成長性評価 Eとか高齢により成長性低し。という部分。
おじさんそんなに高齢なのかな?そうは見えないけど…。
「おじさん、高齢により成長性低し。ってなってるけど、」
と、すべての言葉を言い終わる前に、
「あぁ、そりゃな、58歳と還暦も近くなりゃしかたないだろ。」
そうか還暦間際だったのか。
てっ
「おじさん58歳なの?40位だと思ってた。」
「俺は40後半位だと。」
「私は、筋肉の衰えも少ないので30後半かと…」
と三者三様の声が上がった。
今までお互いの能力を見て驚きあい、君が私の元で鍛えたらすぐに私を追い越しそうだなとか、
是非お教えください師匠!とか、
よかろうなんて返して談笑していた2人も、おじさんの年齢が聞こえ、さすがに驚きの声をあげる。
「まぁ、日雇い労働者なんて体が資本だからな。体が衰えたら飯が食えなくなるからな」
との事。
その後、おじさんの能力『堅城堅固』がたった一人で敵が数千人の軍隊だろうと一人で止めれるというチート能力だということを説明されながら、
神原お兄さんの称号って何?とか、呼ぶ時は守人で構わんなどと話していると、
「盛り上がっているな。」
と神原さんの親友の…
そういえばまだ自己紹介していなかった事に気付き、自己紹介をした。
「俺は山田太郎だ。」
と彼はいった。
なぜだろう、すごく安心した
長い長いカード発行時間を終えて、自己紹介を済ませた後、さっそく親友とカードを交換すると…。
「なんだこれは!」
親友のカードを見て思わずそんな声を漏らしてしまった。
何か親友が言おうとしているがそれを遮り
「やはりお前はびっくりチート人間だったか。」
と何かどうでもいい言い訳をしてこないように、先に言葉を封じておく。
地球にいたころから、生まれる時代を間違えていると常にいわれ続けていた。
思い返せば幼稚園時代、鬼ごっこの最中、追い詰められた時に2階から突然飛び降り、その行為に慌てる先生達に、『受け身をとったので怪我はない』とか言い出したり
思い返せば小学生時代、サッカーで遊べば一人勝ち。遂には1VS11とかなり、実力で片づけてゴールし一言『サッカーとは一人で多くの人間を倒すスポーツなのか』いや違うから。
思い返せば中学生時代、いくら家が剣道場とはいえ、柔道の授業で畑違いの柔道部の人間(70kgはあっただろう)を投げ飛ばし、コツをきかれ『これといってコツなんてないんだがなぁ』
思い返せば高1のスポーツ大会で、チーム戦なのにほとんど一人で勝利して『もう、あいつ一人でいいんじゃないかな?』とか言われ
同じクラスメイトに体育の時間の度に、『もういっその事、漫画の世界に生まれたほうが良かったのではないか?』などといわれる超人チート人間だったが、
今ここに神がそれを証明してくれた。
「神よ!感謝します!!」
と言葉に出さず、生まれて初めて神に感謝した。
これ以上みていると、嫌でも自分がとても小さい人間に感じるため
逃げるように、目の毒からそらすように顔をあげると、
「よかった、やっぱりおかしいのはこいつらだったか。」
といった顔をしている、同胞の顔が見えた。
とりあえず親友からカードをひったくり、同胞に手渡し、同胞のカードをみると…。
よかった、普通は能力Eだよな。高くてもCだよなと妙に安心し、阿吽の呼吸で手を出し合い、硬く握手を結んだ。
名前 : 山田 太郎
貢献度 : 10
能力 : 真相究明
能力値総合評価 : E++
筋力値評価 E- 体力評価 E- 器用さ評価 C 知力評価 S++ 精神力評価 D 魔力評価 C
魔法抵抗評価 C 敏捷評価 E 瞬発力評価 E+ 反応評価 E 運評価 H
戦闘経験評価 : G (0レベル)
実績ランク : 0ポイント Eランク(最低値)
総合ランク : E
備考 :
という僕と同じ用に知力以外は極平凡な同胞と、硬い握手を交わしカードをお返しする。
「これからどうしますか?」
一通り能力の確認と、カードの交換を終え僕は皆に聞いてみる。
「図書室である程度基本の型もしいれたし、どこか広い場所があれば武器の稽古をつけれるが。」
との守人さんの話なので
「じゃあ実戦型訓練場いきませんか?」
と提案してみる。
いきなり実戦は早い。とか危ない事はだめだと守人さんとおじさんが予想通り反対するので、図書室で仕入れた知識を披露する。
実戦型訓練場の最初のフロアは、敵のまったくいない訓練場になっている事を告げる。
鍛練用の器具や、危険のないシュミレート用の戦闘人形や攻撃をあてる練習のための人形などの設備、
自分の実力が何Fまで通用するか調べる機械まで、かなりのいい設備が揃っている事を告げると
「それが事実なら、そちらの方がいいかもしれんな。」
「その内容が本当なら、一度そこで検査してみるのがよさそうだな。」
と、まだ時間もあるしどちらにしろ一度は見ておくべきだなと2人も賛成してくれ
次の行き先は実戦型訓練場になった。
『悪いが図書室ですぐに調べたい事があるんだ』という山田さんと本宮殿の中央水晶の間で別れ、
僕らは胸を踊らせながら実践型訓練場に向かった。
『秘められた力』
主人公が持っているのは定番だよね。
『貢献度』
魔王討伐貢献度。チュートリアル時代は中々上げる方法が存在しなかったため、10ポイントも実は高いのでは?と言われていたが、後々には100とか1000とかインフレを起こし、
10|(笑)ポイント|(失笑)となり、10ポイントは参加料|(笑)である事が判明した。
なお貢献度一桁しか貰えない魔物や魔族に対し
「貢献度参加料以下かゴミめが。」
というのが勇者達の間でははやった。
『カード』
通称冒険者カード。正式名称貢献度確認カードなのだが、どうみてもゲームとかでよくありそうな冒険者カードなので誰もそう呼ばず、正式名称を知る機会も少ないため、冒険者カードで定着することになる。
なお、このカードは本人以外の物が持っても意味がなく、
勇者達の能力でも偽造や改造不可能で、
おまけに、いくらでも再発行可能といたれり尽くせり。
しかし再発行に一週間もかかるため、なくさない、拾ったら持ち主に届ける事が勇者達の暗黙の了解となった。
とある科学者の分析によると、魔法的な力では一切動いておらず、人類とは比べ物にならない程の超科学技術の結晶であるとの事。
ネタバレになるが、魔王討伐後、神に貢献度確認カードの~と言われ、冒険者一同「ナニソレ」となる話がある。
『知力評価 H---』
彼以外誰もHが確認されず、水晶の故障かな?となり、パラメータはGが最低と説明書きも見つかったため、
この事実はその後勇者七不思議の一つとなった
『一球目で常に快打』
野球を知っていればありえないチート行動だとわかるが、
親友が野球やってて応援しに行った程度で、たいして詳しくない主人公にはすごい事だとわからなかった。
なお中学生だが、プロのスカウトが見に来ているとの噂が他の勇者の間で実しやかに囁かれる事になる。
『現実世界で自分に使えるPAR』
売っていたら私も欲しいです。
『能力値』
平均はDである。が、ありとあらゆる種族の平均値であるため人間の平均が見つかる事で、チートといえる能力を持った人達と、一般人層にわかれる事になる。
このどういう訳かついた能力の差は与えられた力の差の問題もあわせ、後にとある問題を引き起こす。
『僕って実は虚弱体質』
あなたは普通です。
事実、この3人はそののち、水晶で閲覧できる事が判明する能力値ランキングでトップ10に入る。
『山田太郎』
適当な名前だが出番も少ないので構わない。
『真相究明』
本編で語られる事はないのでここに書くが、ある程度の情報でもありとあらゆる物事の真実に辿り着く能力。
彼は『運』が悪かった。
『びっくりチート人間』
こう呼ばれた彼は、後にチュートリアル時代から魔王討伐まで能力値ランキング、実績ランキング、戦闘評価ランキング、総合ランキングでトップを独走し続け、最終的には貢献度ランキングもトップとなり、他の勇者から『真の勇者』の称号を贈られる。
『称号』
普通、召喚されて活躍してから手に入るもの。
最初から持っているのはチートの証である。
『実戦型訓練場の最初のフロア』
無論、努力描写はカットである。
『 』
別に改行のミスでもなんでもない。
カードに記入された情報は持ち主が見せようと思わなければ隠す事が可能なのである。
彼が何かを隠していた事を主人公が知るのは後編の話。