表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10000人の勇者達  作者: 山腹雪人
チュートリアル編
2/4

1話 神の集団説明会

突然

水を打ったかのように静まりかえる場

今思い起こせばこの時が俺の『運命』の始まりだったのかもしれない



『よくぞ参った!1万の勇者たちよ!』



 広間に響き渡る朗々たる声に、応えるものは、否、応えれるものはいなかった。


 広間の中央で、声を出しているはずなのに、壁際にいる俺にも不思議と届く朗々たる声。


 広間の中央にいるのに、どうしてかはっきりと見て取れるその例えようのない程に完璧な容姿。


 広間中央の空中に浮かぶ、男。


 ただ自分等のおかれた理不尽な状況を、理解不能な状況を、ただ知ることができると本能的に悟ったのか、


いや、特段威圧感があるわけでもないのに、どこまでも、常軌を逸したその姿に、気押されたのか、


広間にいる人々は先ほどの喧騒が嘘のように押し黙り、広間は痛い程の静寂に包まれる。



あれが本当のイケメンか。

誰かが思わず呟いたと言ったその一言に、確かにその通りだなと、思わず納得する。


雑誌やテレビでイケメン男性と紹介される男性を幾度か見たことがあるが、ただ今風のカジュアルな格好をして今風の髪型をしているだけの男性が多い。

顔の作りは中性的だったり女顔に近いのが多かったかもしれない。


しかし、宙に浮く男は違った。


 一目見て、男とわかる顔。しかし、男臭い顔でもないのに、どこをどういじっても完璧な顔にしかならないであろうという程完璧に整った、まさに男だとわかる顔。

誰もが思い描く理想の自分の姿とか、格好いい姿がとてつもなくブサイクに見えてくる、厭味な程桁外れな…

特別な点はない、だか特別な点がないのに、無個性でなく、とても個性的な顔。

なんとなく人が悪そうな顔だなぁと思ったのは、俺だけかもしれないな。


 ただ無造作に流している髪を見ると、今流行りの髪型が、いかに手を込めすぎて汚くなっていると感じる程の単純だが、決して誰にも真似できない流麗さを持って髪がなびいている。


 服のデザイナーが見れば驚きのあまり涙を流して感動するのでは?と思わず考えてしまう程彼のためだけに完成された服。

この服もすごい、どこから見ても、着る人間を引き立てるよう最も似合う様にすべての配置や模様をスーパーコンピュータで完璧にシュミレートして作り上げたかのような、どこまでも完璧な服。


完璧、完璧、完璧…陳腐な表現だが、そう表現する以外どう表現すればいいのだろうか?

例えようがない。

どんな風に例えようとも、俺が知る限りのどんな生き物光景芸術作品も、ありとあらゆる比喩表現も、

すべて彼の足元にも及ばない。

何かに例えて表現すれば、必ず劣化してしまうという事を痛感してしまう。

文章を書く事を仕事にしている人が見たら、この光景を表現できず、発狂して死んでしまうかもなと、またどうでもいい考えが浮かぶ。


これは見た者にしか理解はできないだろう。



そんな嫉妬もわかない程、

いや、どうやって嫉妬すればいいのか悩むほど完璧な顔をした男は、ただただ、宙に浮いている。



それだけなのに、この光景を絵にして教会に飾れば、

すべての人が跪いて救いを求める絵ができるだろうという程美しい立ち姿。



そんな圧倒されるだけの完璧な容姿について、表現できないかと今にして思えばどうでもいい事をぼんやりと考えていた。


誰も何もいわずに彼の言葉を待ち、静寂が広がる地平線ならぬ人頭平線が広がる部屋に、朗々たる声が再び響く。


『まずは自己紹介。我こそはこの世界を臨時に管理する事を命じられた神ラディアスである。』



神と名乗っても、普通は何言ってるんだこいつ?と思うかも知れないが、

こんな美しすぎる男が神でなければ、一体何だというのだろうか?

そんな思いがあるからか、神だと言われても、誰も疑問に思わない。



『我が呼びかけに応じ、1万人もの勇者を呼べた事嬉しく思うぞ。』




呼びかけに応じた?勝手に呼んでおいて何言ってやがる!


とか、


異世界召喚キターー!!!


とかいくつかのそんな声が響き渡る。

空気の読めないやつはどこにでもいるのだなあと、思いながらこれからどうなるのかを多くの人は固唾をのんで見守る。


『この場にいるという事すなわち、心の奥底で異世界に来る事を望んでいたに他ならない。』


律儀に神が答えた。

しかし、異世界に来るのを俺は望んでいたのだろうか…?

自分の事なのに答えのでない疑問の解答をだす考えに耽る前に、次の神の一言が俺の思考を中断する。


『さてこれ以上の質問に答える前に諸君等のなすべき事、そして報酬などを先に語ろう。さすれば諸君等の多くの疑問は氷解しよう。』


何も変わっていない光景に、変わらず浮かぶ神の声が高らかに響き渡る。


『聞くがいい!人の子らよ!』





神は語る。

かって栄華と繁栄を極めしこの世界。名をエレメスフィアという。

エレメスフィアは魔法の力と、この世界の本来の管理者エレメティアスの保護と干渉により繁栄を極めていた。

その時のエレメティアスの様子はエデンの園のようなミルクと蜂蜜の川が流れ、ありとあらゆる果物がなる木であふれかえりすべての人は飢えを知らず、

他者を害して食事をする必要もなく、常に最適な気温は裸でいても不便を感じない温度で、

他者と争う必要もなく、常に幸福に満ちた穏やかな時がすぎていた。


ある時この世界を管理するエレメティアスは思った。『もっとこの世界のものを幸せにできないだろうかと』

そうしてエレメティアスは別世界の神に相談し、その世界の賢者を招き世界に生きる者のために行動させる事にした。


賢者はまず人々に道具を与えた。道具を得た人はその便利な品物に心奪われた。

道具を得た人々はその道具と魔法を組み合わせ今までできなかった事、できたけれど苦労する事を簡単にすませれるようになり、

人々はより笑顔を深めるようになった。

こうして賢者は人々に笑顔を与え幸福を深めた。


しかし、道具を使えたのは人間だけだった。




変わらぬ光景で神は語り続ける




賢者の死後エレメティアスは長い間この世界のものの為になる事を考え続けた。


その間人は、道具を使える人間だけが簡単に物を集めれるようになり、ついには独り占め、奪い合い、他種族の排除にまで動きだした


神は次の招く人の交渉のため別世界に旅立った。


その間人は、多くのものを奪い合い大地を汚し、かつての反映は見るも無残な姿となった。


神はついに次に招く人を決め、かの人の説得を行い説得を成功させた。


その間人は、人間の横暴に怒った多種族たちとの戦いに明け暮れた。


神が戻りし時、世界には荒野が広がっていた。


人は他種族を奴隷とし働かせ、飽食と飲酒、情欲に耽りその堕落した姿は神を大いに嘆かせた。

ついには堕落した人を滅ぼし、虐げられた人の解放に動こうとした神


『お待ちください!』


招かれし人がとめた。

彼は言った。人々にもう一度チャンスを、そして私に彼らを救う機会をお与えくださいと神に願い出た。


自身の作りし者達を殺めることに抵抗のあった神は彼の言葉を受け入れて神は勇者をエレメスフィアに送り出す。


かくして勇者は地上に降り立ち、神の助力の元、数多くの奇跡の力を得て、多くの仲間達にささえられ、


ついにはすべての奴隷を解放し、堕落した人の王を討ち倒し、地上の生きとし生けるもの達と共に神に誓う


『常に驕ることなく、助け合い、皆でかっての繁栄を取り戻すことを誓う』と




変わらぬ光景に神の言葉は続く




されど時は過ぎ、勇者は老境にさしかかる。


髪は白く、肌は皺がれて、かつての栄光の姿を失った勇者は老いと死を恐れた。

そして勇者は禁忌に手を伸ばす。


神より与えられし奇跡の力にて自身の延命を。


一度たがが外れた勇者はそうするのが当然かのように自身の都合のいいように力を振るい出す。


勇者は奇跡の力にて自身に都合の悪いあらゆる法則を捻じ曲げる。


かくして堕落した勇者はついぞ神に討たれる。


されど勇者が乱した世界の法則は歪み、壊れ、間違った法則を神が治す前に魔王となりて世界に現れた。


神は魔王を倒すため魔王に挑む。


この世界の者は神を傷つけれない法則。されど、壊れた法則から生まれ、法則から外れた魔王はある意味この世界の"モノ"ではなかった


故に神をも傷つけた。


そして、魔王との戦いでエレメティアスは深手を負いこの世界に当分干渉できなくなった。


されど魔王を放置すれば愛する世界のに生きる者達が滅び消える。


そして彼は他の神に助力を求めた。


そして彼に助力するために現れたのが自分、ラディアスであると彼は語った。




長いので3行で纏めると、


よくある人間は愚かで自分勝手ですねその性で魔王が現れましたっていうテンプレ話

1行ですんでしまったな。無理やり3行にしてみよう。

ああ、あああぁああ?あああぁあああぁああああ。





ここまでの話を聞いてあたりがざわつきだす。

テンプレ展開キタコレという声やまさか本当に勇者召喚だとわ…という声が聞こえる。

うはwww最強チート能力のwww俺www無双wwwという声は 気 の せ い だ 




変わらぬ光景で神は語る




ラディアスは語る


『神すら傷つける存在である魔王に、我も軽々しく挑むことはできん。』


神様も怪我するのが怖いらしい。


『そのうえ奴はすでにこの世界の一部となった。そのため神といえど軽々しく奴を滅ぼすことが出来ん。』

まぁテンプレ的な理由だ。


『そこで我は考えた。神以外が倒せばいいと』

そこで最強チート勇者の出番ですね。と周りから声があがる。


『そこで諸君等が呼ばれたわけだ』

あれ?でもそうするとこんなに人はいらなくないか?

それとも魔王とは最強チート勇者が1万人いないと勝てないとか?

まさか、ここから真の勇者を決めるバトルロワイヤル…?



『さて諸君等はこう思うであろう。神すら傷をつけれる存在に、人間である自分等がどうやって倒すのかと。』


『案ずるがいい諸君等にはすでに奇跡の力が与えられている。』


ざわめきが広がる。

なんてこった俺はもうすでにレイフォースに目覚めていたか!という痛い声が聞こえるが気のせいだろう。


しかし、最強チート能力を得た割に、身体的にも精神的にも何かが変ったようには思えないのだが?

それにこれだと先ほどのも魔王とは最強チート勇者が1万人いないと勝てない存在である事が現実味を帯びてくる…。


そんな俺の疑問に答えるかのように


『案ずるがいい、魔王は何もそなたら1万人全員で掛らねば倒せぬ様な超常的な存在ではない。』


『これは諸君らに与えた奇跡の力に掛けた制約のためだ。』


その後の神の説明によれば


最初は一人の人間に魔王を倒せる力を与える案も考えたが、

今回の魔王が生まれた原因をたどれば、一人の人間に大量の奇跡の力が授けられその人間が暴走したのが原因である。

そのため今回も一人の人間にそんな力を与えれば、魔王を倒してもその後第2の魔王を生みかねない。

しかし、与える奇跡の力を魔王を生み出す可能性が無くるように制限すると魔王には勝てない。


そこで神は考えた。


要約すれば、一人が無理なら集団で挑めばいいじゃない


どこぞの王妃の逸話のような発想だが確かにその通りだ。

そうして、この世界に召喚された僕らは奇跡の力を一つだけ得たそうだ。というか目覚めたときにはすでに使えたらしい。

またこの時与えられた力をもし悪用しても魔王を生み出すような事はない力がランダムにここにいる皆に与えられたらしい。


というかそこら辺だけ適当だな。適正を見て与えるもんじゃないのか?

まぁ1万人もいれば神でも一人ずつ適正を見るのは大変なのかもな。



ふと、変わらぬ光景に違和感を感じる前に…



ふと、1万人もいると悪用しようとする奴がでるんじゃないかと思い浮かんだとき


たまたまタイミング良く神が私の疑問に答えるように、


『ここで目覚めた時、諸君等は寝ていたであろう?これは我が諸君等が問題を起こさない人物であるか判断するために眠らせ、

  その精神に問題がないかを調べていたためだ。』


1万人適当に集めた割に結構マメにチェックしているらしい。

あれ?待てよ、1万人もいるから一人ずつ与えるのは大変だからランダムに力を与えたと考えたが、1万人の精神面のチェックはしている…?

その時に適正を見て力を与えれば良かっただろうにどういう事だ?




そんな俺の思考を遮るかのように、なんとも間の抜けた疑問の声が聞こえてきた。




「なぁ?これどういう事なんだ?」

今の話を理解していないのか遠くで誰かが近くの少年に尋ねている声が聞こえる。


「つまりだ、皆で協力して魔王を倒せば元の世界に戻れますよって事だよ、勇次。」

実に簡潔な答えだ。

しかし、まだ魔王を倒せば元の世界に戻れるとは、まだあの神は一言も言っていない。




『さて、ここまでの話である程度おかれた状況がわかったであろう。』

まだ、最も肝心な事は何一つ話していないがな。


『さてこれからは諸君等が最も気にかけている事に答えよう。』


多くの人の息をのむ音が重なり響き渡る。


息をのむ音が響き渡る…か…。

こんなレアな経験をしたのは世界広しといえど俺…いや他に1万人いるか。

つい苦笑していると近くにいる女性が不思議そうにこちらを見ていたので笑ってごまかす。

まぁ自称神の次の言葉の方が気になるのか、すぐに視線を神に戻したので無駄になったが。


『魔王を倒したあかつきには、必ず、絶対に何があろうとも諸君等を元の世界に戻す事を神として約束いや確約しよう。』


やけに間を空けた割に飛び出した神の言葉に拍子抜けしたのは俺だけではないだろう。

事実、あっけにとられた様な顔をした人も多い。

しかし、やけに元の世界に戻すことに念を押すな。

まだ、何か条件があるのかもしれないな?

ぬか喜びさせるとはな、あの神、案外人が悪いのかもしれないなと、何となく思ったところで神の更なる言葉が場を色めき立たせる。


『ただし』


やけに間をためる神。

張りつめて緊張感漂う場に響く何か条件が?という囁き声


『生きている人間だけが戻る事ができる。』


張り詰めた緊張は当然と言えば当然の条件で一瞬で解れた。

やはりあの神、人が悪いな。そう思ったのは俺だけではないだろう。


『また諸君等にはわざわざ御足労願ったのだ、ただ元の世界に戻すだけが報酬というわけではない。』


『魔王を倒したあかつきには諸君等の願いを一つだけ叶えよう。』

まぁどうせ全員で一つとか魔王を倒した人間だけとかだろう。


『叶える願いは全員で一つではない。生き残った人々一人ずつの願いを必ず叶えよう』

これはまた大盤振る舞いだな。人は悪いが太っ腹な用だ。まぁどうせお得意のただしがつくのだろう。


『ただし』


『叶えれる願いは後で説明する魔王討伐貢献度システムの貢献度に応じて変化する』

まぁ願いを叶えて貰う事だけが目的なら誰かが魔王を倒すのを待てばいいからな。

ある意味当然の条件。そして魔王討伐貢献度システムか…まるでゲームだな。




変わらぬ光景に…いや、




その時中央付近でどよめきが起きた。

何か出現した?

神の真下に今まで見えなかった水晶のような物が現れたのだ。

神が語った事によると、この水晶が自動的に部屋割りを決めてくれるらしい。

また、部屋割を決めるときに友人などがいれば近くに配置できるなど、水晶はそういう人間関係に配慮して部屋割りを決めてくれるらしい。

部屋割りは後で友人ができた時に変更も可能らしい。

さらにこの時自分の能力が何かを水晶が調べてくれ、さらに使い方や能力について簡単に教えてくれるらしい。

能力の詳細は別室の図書室で詳しく調べられるらしい。

また、自身の貢献度がわかるカードが渡される事、そのカードに自身の能力なども記入される事も語られる。

詳しくは水晶を使う時にわかるそうだ。



中々にサービスがいいなと思っている間も神の説明は続く。



『諸君等が最初に召喚されたこの場所はチュートリアル城といい、』


神が付けたと思われるこの城の思いもよらぬネーミングに、あちこちで失笑や苦笑が見受けられる。


『諸君等に能力の使い方や、武器の扱いや身体的訓練、またこの世界の知識を得るための本や、この世界の一般常識を試験するための部屋など、今後諸君等の役にたつであろう物があふれている。』


他にも全員の栄養バランスを考えた最適な食事が3食振舞われること、この世界の一般的な服装だが予備の服も大量にある事、

さらにこの1万人もの大人数分の武器にその予備の武器が用意された武器庫などなど

至れり尽くせりな内容に思わず驚く。テンプレ展開だと、もっと粗雑に扱われる事が多い気がしたがな、

事実と小説は違うか等と考えている間も神の説明は続く。


『また地下には諸君らがこれから望むであろう魔王との戦い方を学ぶのにいい実戦型訓練場が容易されている。』


詳しい説明は訓練場入口で聞くといいと神は言った。

実践型訓練場?テンプレ的に考えればダンジョンとかであろうか?

18にもなってこういうのは可笑しいだろうか?とてもワクワクしている自分に気づき微苦笑する自分。

その後の神の一言は、俺に久方ぶりの歓喜とも言うべき感情を与えた。



『あぁそうそう、諸君等が来た世界には魔法がなかったのだな。』


『この世界では魔法が使える事は重要な事だ。魔王を倒そうとするのなら、魔法が使えることは必須だ。』


『もちろん諸君等も魔法が使えるし、個人で覚えるのは大変なので魔法を覚えるための教師も用意してある。』



広間が歓喜の声に包まれる。



まぁ無理もないか。魔法や超能力が使える作品の人気が高い事からも、魔法への憧れが強い人間は多い。

かくいう俺も、魔法を使えると聞いて喜んでいる一人なのだから。

しかも今まで魔法を使った事のない俺達に、教師まで用意して教えてくれると言うのだ、これは覚えるしかないであろう。


『我にできうる限りの事をさせて貰ったつもりだ。我は一人でも多く、諸君等に元の世界に戻ってもらいたいからな。』


神の言葉を聞き

一万人もいれば誰か一人でもいいから魔王を倒せればいいのだから使い捨てで使えばいい。

と考えるのが普通だなと思い、ここまで待遇がいいと、どこぞの宗教の言う神は我らを見守っているという言葉に納得…



『諸君等が来た世界には魔法がなかったのだな。』

待て、



『魔王を倒そうとするのなら、魔法が使えることは必須だ。』

どういう事だ…?



今度は、どんな言葉も届かぬ位悩んだ俺の疑問は


悩んでも、神が答えなければ確信に近い部分は解決できないであろう俺の疑問は


1万人の中の1人でしかない俺の疑問は


神が解決するはずもなく


そのまま神の説明は終わりを迎え



この神の説明の終わった後の親友の一言と会話で



能力のチェックで



俺の疑問はやがて疑念となり、



よく考えれば、説明しているようで、実は説明していない事も多い事に気付き、



その後も自分なりに調べ推察していき



疑念が不信へと成長する事になる。



それが俺と親友の未来を決定づける行為だったと気づく事なく。



秘かに自分が、神に見られていたと気づく事なく…。



すぐそこにまで迫った自身の運命に気づく事なく。



ただこの時誰の目にも見えない物語が 静かに 動き出していた



何か皆の長い沈黙の時間が終わり、空気を読んで黙っていた俺にはいきなり喧騒を取り戻した広間は不気味だった


何か考え込んでいる感じの親友に俺は聞いて見た。


「なぁ、一体何が起こったんだ?」


一瞬、親友が何を言っているのかわからないという顔をしていた。

別にどこぞのテンプレの用に俺はバカというわけではない。

この親友にとっては要領を得ない疑問の声を解決する為に親友は色々俺に話かけてきた。


思えば、この時親友にこんな疑問を投げかけなければ、


思えば、                    、


思えば、                    、


ただのきっかけに過ぎないと理解している



でも



全ての会話を終えた時




考え込む親友に




何か気のきいた事を言っていれば




こいつは死ななかったのかもしれない


それが、俺の人生に残る唯一の後悔だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ