第48話 ゴミ箱空間
そのころ……
消えてしまったジブルは真っ暗な空間へ転送されていた、そしてそこへはレッドも同時に転送されていたのだ
「レッド、ここどこだと思う〜?」
ジブルは一枚の金貨を投げて遊びながら、レッドに尋ねる
「わ…わからないです!こんな真っ暗な空間、こんな、怖すぎて死んじゃいそうなんです、あの、ぎゅってしてもいいですよね?」
「ぎゅっと?」
「そうです」
レッドはジブルの体に抱きついた
が、そこに何かが迫ってきていた
怪物だ
「待ってね、何かが来るみたいだよ〜」
ジブルはレッドを護るように、レッドを背後へ立たせる
「あ、あ、わ、私あの、ったたかあの、あああ、ジブルさん、助けて〜!」
現れたのは、得体の知れない何か!
何とも形状し難いゾンビのような見た目の、得体の知れない何かは、こちらに向かってくる
「えい!」
ジブルが首を絞めると、ソレは簡単に消えてしまった
しかし、9体の得体の知れない何かがまた現れてしまった
それらは怯えて動けなくなったレッドにじりじりと近づいていくのだった
「何で体が動かなっあっ!はっ!あああ、ジブルさーん!たすっ助けて!」
「待って!僕も敵が多過ぎて……」
しかし助けたくても、別の得体の知れない何かに行く手を阻まれ、助けにはいけない、このままレッドは死ぬのか……
その時だ!
暗闇から一人の女性が現れた!
「ラッキー!誰か来た?」
「悪いけど説明してる暇はないでしょう、デリートプログラムを起動するわ!」
女はそう言うと、謎の巨大な機械を取り出して起動する
その瞬間、機械の周りで空間が歪む
歪みからはどんどん赤い化け物が溢れてくる
召喚された謎の赤い化け物が、得体の知れない何かを食い荒らしていく
ついに得体の知れない何かは全滅した
「それで、結局あなたは誰なんですか?」
レッドはすぐに尋ねる
「ああ、私?私はパシー、そうねぇ、宇宙協会ハートフル元幹部とでも言えばいいかしら?」
女はパシーというようだ
「ハートフル元幹部ね〜、じゃあここの事、何か知ってる〜?」
「もちろん、あのね、この空間は現実空間で消された人が来るところなの」
「消された?」
「あなたたちは、何で消されたか分かる?」
「あ!分かりました!夢司超皇神が死んだんですね!」
「ああ、別に死んではないの、第一、それならあなた達以外の大勢のファンタージ人も転送されているはずよ」
「じゃあ、どうなって?」
「どうもハルマゲドンに操られているティラノサウルスが貴方達のプログラムを解除したらしいのよ」
「で、その影響で、夢司超皇神に作られた私達は消えてしまったということですね!」
「そうよ」
「ていうか〜どうしてそんなこと知ってるの〜?」
「ふふふ、私の能力はね、【以心伝心】と言ってね、これを使えばいつ、どこででも、誰とでもテレパシーで会話をすることができるのよ」
「で、君は何でこんなところに?」
「私のことが知りたいのね、では、10年前に遡るわ、あの、賢者リトが国王ベントを殺害したあと、賢者リトはハルマゲドンに吸収されてしまったの」
「それで、賢者はどうなったんですか」
「リトは消滅したことで、この空間に送り込まれたの、ちなみにそのとき、暴走したリトを止めた人こそが私の娘のレゾナよ」
「え、ということは、君はプリズムとレゾナの母親、そして錬金術師アーチの嫁ということになるね〜」
「まあ、そうね、そして翌年暴走したレゾナを私が倒して、また、レゾナが消される前に、発信機をつけておいたの、すると発信機からのデータから、この空間の情報が手に入ったの」
「それで?」
「あとは、脱出プログラムの【BackDoor】を開発して自分の体にダウンロードして、翌年私もこの空間に来ることになったわ、それで3人で帰るつもりだったのだけどね、私、この空間の研究がしたくなったから、やっぱり私は残ることにしたの」
「ん?ちょっとよくわかんないだけど」
「分からなくたっていいわ、とにかくなんとかなるって」
「じゃあ、僕たちはそのBackDoorを使って脱出できるんだね〜」
「無理よ、あなたたちはティラノサウルスの力なしに存在できないわ」
「ええ〜」
「でも大丈夫、あなたの精神的データはまだ残っているわ、あと肉体的データなんだけどね、それは私の【以心伝心】を使って、世界樹のバックアップデータから復元してみようかな」
「ちょっと待ってよ!つまり、つまり、ん?世界樹ってどういうことなの?天才の私でも分からな〜い!」
「うーん、つまりシュークリアの世界樹に直接アクセスするってことよ」
「シュークリア?ああ、まさかグランダード共和国にある木のこと?それならドロップから聞いているよ〜」
「その通りよ!……あら、さっそくバックアップデータが送られてきたわ、じゃあまずはこの肉体データを現実世界に置いてきた転送用マーカーへ転送する必要があるわね」
「て…転送?」
「5、4、3、2、1、完了、あら、もうデータの転送がコンプリートしたわ!それで肉体の3Dプリントも始まったわね」
「なんか知らないけどすごいね〜」
「あとはあなた達の精神的データをインストールすれば…」
ところが、そのときだ
「ワレの名はボルト!キサマ達の思イ通リにはさせナイ!」
金色に輝く大きな鳥のような姿の怪人が現れた
「……まずいわね、私、ほとんど戦えないのよ」
女はじりじりと後ずさる
「え?さっき変な怪物出して戦っていたじゃん?私達もそんなに戦えないし、どうにかならない?」
「さっきのは緊急防衛システムなの、あれが私の出せる全力だったの、あれじゃ、こいつは…!」
ボルトはその翼を羽ばたかせる
その度に雷を放った
あちこちで雷が降り注ぐ
レッドは蝙蝠に変身して雷をうまく避けていた
しかし雷の槍は、あまりにも速かった
ジブルは雷をうまく避けれなかった
直撃する電撃に、倒れてしまう
「ジブルさーん!しっかりしてよ!」
「大丈夫、今のあなた達はデータだけの存在、一度ぐらいのダメージなら……でも次は保証できないわね」
「そんな」
「…レッド〜いい考えがある、ちょっと前にもやったことがあるはずなんだけど〜」
起き上がったジブルが提案する
「え?まさかあれですか?いやなんですけど〜」
「いや、やってよ、これは王からの命令だよ〜」
「分かったよ!」
再び蝙蝠に変身したレッドはジブルの首筋に噛みつき、巨大化させた蝙蝠の羽でジブルの体を覆った、そしてそのままジブルと融合したのだ!
「よし、合体完了だね〜!」
ジブルの青い髪とレッドの赤い髪が混ざり合い、背中には羽が生え、瞳は藍色に染まる!
「何ヲしようト無駄だ!」
ボルトは雷を大量に放った
しかし、ジブルは空を飛び回り避けてみせる
「人間ヨ滅びヨ!」
ボルトはジブルを鷲掴みにして飛んだ
「ジブルさん、私に任せて!」
ジブルの体の主導権を奪ったレッドはボルトの足に噛みつき血を吸い出した
するとボルトの足は壊死したのだ
「よし、ありがとう」
ジブルは体の主導権を取り戻すと、透明化の秘術を使った
ジブルを見失ったボルトは無茶苦茶に飛び回り始めた
ジブルを探しているのだ
「どこダ?どこニ消えタ?!」
「まいったな〜あんなに暴れ回るたらとどめを刺せないね〜」
そこでだ、パシーがテレパシーで語りかけてきた
(ねえ、何か私にできることはないかしら?)
(う〜ん、そうだね〜、そこにある板を僕に投げて渡してよ)
(この板ね、分かったわ)
パシーは近くに落ちていた板をジブルに投げ渡した
板を受け取ったジブルは板に透明化の秘術をかけた
「ジブルさん、それ、どうするの?投げたりしてみる?……あ?でも投げてどうするんだ?う〜ん、難しいな」
「見ててよ、レッドちゃん〜」
ジブルは透明の板をボルトに投げつけた
恐ろしい勢いで飛び回っていたボルトは突然見えない何かにぶつかったので、衝撃で気絶し墜ちてしまった
「ジブルさん、後は私に任せて」
またレッドが体の主導権を奪い、ボルトの頭に噛みついた
「痛ィ!何だこれハ!ああああああア!」
ボルトは脳が腐り、死んでしまった
「ラッキーだったね〜」
「あ、ジブルさん、もう解除しまーす」
二人は再び分離した
「じゃあ、私はまだここに残るから行ってらっしゃい、あなた達の体はもうティラノサウルスに依存しない状態よ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、データを転送するわね」
「はい」
「転送完了まで5、4、3、2、1、 インストール!」
あらかじめ転送しておいた体に二人の魂が紐付けられた
「ここはどこかな?」
「う〜ん、ここはたぶんエレスタ王国の迷いの森だね〜」
「迷いの森?そういえば迷いの森にはモノリスとかいう不思議な石碑が置かれているところだよね…あれ違ったかな、ちょっと記憶が曖昧なんだよね」
「もしかして、あれじゃない?」
確かにそこにモノリスはあった
しかし何者かによりへし折られて粉々に粉砕されていた
「ジブルさん、もしかして、私達がいない間にとんでもないことが起こっていたんじゃ」
「そうかもしれないね〜アンラッキーだね〜」
ジブルはまた一枚の金貨を手でクルクル回していた
「そういえばジブルさんっていっつも、そのコインみたいなの持ってますよね!」
「ああ、これ?これはそうだね、大切な友達から貰ったものなんだ〜」
「ええ?そんな友達なんていましたっけ?」
「ああ、レッドが夢司超皇神に創られるより前に会った人でね、もう今はどこにいるか分からないんだけど」
「……ああ!分かっちゃいました!確かずっと前に一人の人間がファンタージに迷い込んできたってティラノサウルスが言ってましたけど、それですね!」
「ああ、その人だね〜カトロっていう名前の男の子だったんだけどね〜」
新形態ジブルレッドのお披露目会でした、そして超重要キャラパシーも登場しましたね。
さて、しかし、この間に現世ではとんでもないことが起こっていたようで……




