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雪の精霊 ~命のきらめき~【PV61000突破☆感謝!】  作者: あるて
第1章 充電期間

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第3曲 家族団らん

 ようやく訪れた3人での帰り道は喧騒から逃れてホッと一息といったところ。


 あいかわらず道行く人からの視線は感じるけど。

 美人二人、両手に華なのがうらやましいんだな。……虚しい優越感なのは分かってますけど! でも三姉妹じゃないんだもん!


 心の中で誰にともなく言い訳していると、ひよりが苦情を言ってきた。


「ゆきちゃんひどいよ! 今朝はなんでかわいい妹を置いて先に行っちゃったの~?」


 わたしの腕を捕まえながら頬を膨らませて拗ねている。中学生になってもお兄ちゃん子だなぁ。

 普通の妹は兄をごみのように扱うことも多いと聞くので、この甘えん坊の妹がかわいくて仕方ない。


 あぁもう! 拗ねた顔も可愛いなこいつは!

 締まりのない顔になりながらひよりの頭を撫でる。

 孫を甘やかすおじいちゃんみたいだ。


「ごめんってば。だって早く学校に行きたかったんだもん。待ちきれなくて」


「もう~! ほんとにゆきちゃんは学校好きだよね」


 わたしの言い訳に、しょうがないなぁといった表情をするひより。


「そりゃわたしは雪の精霊だからね! 人の集まるところが好きなんだよ!」


 人々に幸せを届けるのが使命ですから。

 人が多く集まるところを好む生き物なんです!


「出た、いつもの厨二病設定」


 二重の意味でひどい言いざまだ。中二だけど厨二じゃないし! それに設定とかゆーな。

 口調がぶっきらぼうだし表情筋も死んでるから誤解されやすいけど、本当は世話焼きですごく優しいあか姉。歳も近いし親しみやすい、大好きなお姉ちゃん。


「あんまり人前で言うとイタイ子だと思われる」


 でも時々毒を吐く。


 通学路はそんなに長くないので他愛ない会話をしているうちに我が家へと到着。

 かつて日本で住んでいた家は狭くて、家族みんなで雑魚寝状態だったけど、アメリカの家は広かった。自分の部屋を経験してしまうともう戻れない。


 わたしが子役時代の芸能活動で稼いだお金を両親が貯金してくれていたので、そのお金も奮発してもらって夢のマイホームを購入!

 わたし達の要望で姉弟全員がマイルームを獲得。

 次にリビング。基本うちの家族はリビングで過ごすことが多い。だから十分に広いスペースを確保してもらった。

 

 もうひとつだけワガママを言ったんだけど、その話はまた後で。


 玄関で靴を脱ぎ、憩いの間に入るとかの姉が先に帰っていて、ソファでテレビを見てくつろいでた。


「あらあら~。みんなそろっておかえりなさ~い。」


 口調の通りおっとり系のかの姉は我が家の癒し。

 ただ、ひたすらマイペースでなにかと手のかかるところもある。あか姉が世話焼きになったのは間違いなくかの姉の影響だろう。

 どことなく母性が感じられる優しさで一緒にいると安心できる。もちろん大好きなお姉ちゃん。


「ちょっと校門前で捕まっちゃってね。より姉はまだなの?」


「まだ帰ってこないわねぇ。にしてもゆきちゃんの人気ぶりは相変わらずなのねぇ」


 何も言っていないのに、なぜわたしが捕まったことになっているのか。


「ほんとゆきちゃん人気がすごくて、わたし達が見つけた時には芸能人並みに囲まれてたから近づくのも一苦労だったよ!」


 異論をはさむ前にひよりが肯定。

 あか姉がそれにうなづいたのでわたしの言論は封殺されてしまった。


「ゆきちゃんはどこに行ってもみんなに好かれますから」


 かの姉の太鼓判で判決が確定。


「みんなも十分人気者じゃない。男子のファン多いらしいよ!」


 なんだか恥ずかしくなってきたのでささやかな抵抗を試みる。


「ゆきは男女問わず」


 見事なカウンターで撃沈。


「ぐう……」


 なんとかぐうの音は出た。


 同性にモテても嬉しくないし! 異性からは珍獣のような扱いだし、わたしはツチノコか!

 友達が増えるのは嬉しいんだけどね。

 何度でも言うけど中身はちゃんとノーマルな男の子です。


「たで~ま~」


 そうこう言っているうちに長女のより姉が帰宅。


「おかえり~」


 あいさつは大事。我が家ではおはようからおやすみまであいさつ徹底。

 話題も変えられて一石二鳥。


「おーみんな帰ってきてたかー。ひさびさに帰ってきた日本は楽しかったか」


 思春期真っただ中だったせいか、一時期新しいお父さんに反抗していた時期があったより姉。その影響でちょっと口が悪いけど、誰よりも家族愛の強い我が家の長女。


「すごく親切にしてもらいましたよ~。やっぱり日本人は思いやりのある人が多いですね。」

「友達できた」

「みんな優しくて楽しかったよ! 相変わらずゆきちゃんは大人気だったしね!」

「質問攻めでちょっと疲れたけど楽しかったよ」


 みんなの報告を聞いてより姉は満足げにうなづく。


「そかそか。みんな楽しそうで何よりだ! ゆきも相変わらずみてーだしな! わははは!」


 笑い方。アニキって呼んでいい?


「ゆき、なんかよからぬこと考えてないか?」

「みんな帰ってきたことだし、晩御飯作り始めるね」


 華麗にスルー。



 我が家の食事はわたしの役目。

 わたし自身料理が好きだし、みんなが美味しそうに食べてくれるのを見ると、とっても幸せ。

 だからこの役目は譲れない。


 子役を引退してすぐお母さんの手伝いをし始めて、グレード7――アメリカは十二年制、つまり中学一年生――になるころには「お母さんが作るより美味しいよ」って褒めてもらえるくらい上達。

 それ以来ずっと作り続けてるんだけど、もっと幸せそうな顔が見たくてレパートリーがどんどん増加中。

 料理にはそれなりの自信がある。


「今日は和食だよ。やっぱり日本は調味料が豊富で料理の幅が広がるな~!」


「しばらくは引っ越しの後片付け大変だったもんね。ゆきちゃんの和食楽しみ! あ~おなかすいた~」

「我が家のおふくろの味はすっかりゆきの味」

「いつもわりーな、ゆき。今日は転校初日だし疲れてるんじゃないか?」


「全然大丈夫! それにみんなのお世話をするのはわたしの生きがいだし!」


 みんなが安心して暮らせるように家事をするのがわたしの喜び。だから料理と掃除はわたしの担当。

 本当は家事全般したいけど、そこはさすがに年頃の女の子たち。ちゃんとわたしを男の子だと認識しているようで、洗濯だけは交代でやっている。

 わたしも姉や妹に下着を触られるのは恥ずかしいんだけどな……。


 まぁみんなの下着を洗濯するっていうのも複雑な気分になるだろうから我慢するけど。

 

「手伝うことがあったらなんでも言ってくださいね~」


「大丈夫だよ! それより、お父さんとお母さんは遅くなるのかな?」


「あー今日も遅くなるみたいだ」


 両親はいつも仕事で忙しい。だから自然とわたし達が家事をするようになった。

 強制されたわけでもないのに自発的にそうなったんだから、思いやりの心からだと思う。

 わたしが料理している間も部屋にこもったりせず、リビングで思い思いに過ごす姉妹たち。

 一緒に過ごすのが大好きな温かい家族。


 みんなの姿が見えて安心する。対面キッチンにしてよかった。


 ちなみに今日の献立はぶり大根と菜の花の胡麻和え、筑前煮にお味噌汁。和風調味料が嬉しくて煮物が二品になっちゃった。

 女の子とはいえみんな育ちざかりなのでけっこうな量を作る必要があるけど、それもいつものこと。手際よく料理してほどなく完成。

 配膳や食器を出したりは手伝ってくれるのですぐに準備も終わり、わたし以外はみんな食卓に着いて待機。

 調理器具を洗うわずかな時間だけど待ってくれている。


 我が家では仲間外れは許されない。洗い物も終わり、わたしが席についたのを見てより姉がみんなに呼びかける。


「みんな揃ったなー。んじゃ食べっか」


 全員声をそろえて『いただきます』

 いつもと変わらない、みんな揃っての食事。

 なんてことはない当たり前、日常の一コマに過ぎないこの時間がわたしにとっては至福の時間。


「おいし~! さすがゆきちゃんだね! 短時間で作ってるのに煮物もしっかり味が染みてるのすごいよね」


「料理にもセンスが必要って言うし、ゆきには歌と踊り以外に料理のセンスもあるってこった。下手なお店よりうめーもんな」


 舌鼓を打ちながら、絶賛してくれるひよりとより姉。ただの時短調理法なんだけどな。

 

「普通にお金とれるレベル」


 それは大げさだよ、あか姉。

 

「ほんとゆきちゃんはいいお嫁さんにますね~」


 嫁ちゃうし。

 さりげに失礼だよ、かの姉。


「そんな褒めてもデザートのわらび餅くらいしか出ないよ~」


「やった~! ゆきちゃん手作りのわらび餅だ!」


 無邪気にはしゃぐひよりが可愛い。


「手作りかー。あいかわらずのことだけどゆきはほんとなんでもできるな」


「そんなに難しいもんじゃないよ。覚えればみんなでもできるくらい」


「それできるやつ理論」


 あか姉いわく、その辺で買えば決して高価でもないものをわざわざ自分で作ろうとすること自体が、できるやつだから。

 まず作ろうという考えすら浮かばないとのこと。

 どうせならおいしいのを食べてほしいから手作りをするだけなんだけどな。自分で作れば好みの味に調整できるしね。


「ちょっとしたものでも一番いいものをあたしらに提供しようとしてくれてるってことだろ。ゆきみてーなできた弟をもったあたしらは幸せもんだな」


 褒められたら悪い気なんてしない。

 でもね、優しい姉さんたちと可愛い妹に囲まれて暮らしてるわたしが一番幸せ者だと思ってるよ。恥ずかしいから口には出さないけどね!



「おいしかった~!」


 いつも一番遅いひよりも食べ終わったところで、みんな揃って「ごちそうさま」

 その後に出したわらび餅をおいしくたいらげて、何も言わずとも各々がシンクに運んでくれた食器を洗い出す。

 これもみんなのお世話の内だからわたしのお仕事だけど、いつも誰かが手伝ってくれる。今日はひよりが食器拭きを手伝ってくれた。


 そして食後のまったりタイム。

 コの字型に配置されたソファー。いつもわたしは中央に座らされ、みんなが周囲を取り囲む形に陣取る。


 テレビを見ながら何気ない会話をしていたら、いい時間になってきたのでお風呂に湯を張った。

 我が家のお風呂もこだわりポイントのひとつで、とにかく広い。

 旅館の家族風呂なみの広さがあるので姉妹たち全員で入っても余裕なくらい。

 シャワーは4つ。

 

 本当はもっと増やそうとしたけど水圧が維持できないという理由でこうなったみたい。でもそれ以上増やす意味ないよね?

 家族全員で入る気だったのか?

 わたし、両親にまで性別を忘れられてるのかなぁ。

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― 新着の感想 ―
 人懐っこさを感じる陽愛ちゃんや、快活さのある依子さん等を含む家族とのやりとりが微笑ましかったです。
家族団欒の会話の様子とか日常の描写、読んでいてすごく和みました! 幸せなんだなぁって伝わってきました!
悠樹君? ゆきちゃん? 一人称は「わたし」なんですね?
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