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世界に愛を届ける雪の精霊は超絶美少女!でも現世では配信者(♂)  作者: あるて
第1章 充電期間

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21/30

第21曲 その頃彼女たちは

 久しぶりの家族旅行ということで東京までやってきました。


 はじめての東京と言うこともあってひよりちゃんは大はしゃぎ。いつも無口で無表情な茜でさえ目をキラキラさせています。


 依子さんもゆきちゃんの保護者同伴という気持ちがどうしても抜けないのか、ずっとべったりでいますけど旅行そのものは楽しんでいるようでしきりにゆきちゃんに話しかけています。


 妹2人がはしゃいであちこち見て回っているおかげで、ゆきちゃんの隣をゲットするチャンスができたので腕を抱きしめてしっかりとキープ。


 隙があったら見逃しません。


 でも初日の観光は収録の事前打ち合わせということでゆきちゃんがまだ日も高いうちから早めに離脱してしまったので少し残念です。


 ですがわたし達4人姉妹も仲が悪いわけではなく、むしろ普通の姉妹に比べても仲はいい方なのでそのまま楽しく観光を続行。


 お買い物はゆきちゃんも揃う明日に回そうということで観光スポットをまわることに。


 東京は狭いようで意外と広く、雷門や東京タワーなど数カ所を回っただけでそれなりの時間になり予約しておいたホテルにチェックイン。


 空いた時間を思い思いに過ごし、夕食ではホテルの豪華な食事を堪能。確かに美味しかったのですが、わたしとしてはやっぱりゆきちゃんの手料理が最高の五つ星です。


 夕飯が済むとみんなそわそわしだして、何を考えているのか手に取るようにわかります。かくいうわたしも同じ心境ですから。


 もうすぐゆきちゃんの初コラボの配信が始まると思うと気が気ではありません。夕飯が終わるとみんなしてそそくさと部屋に戻り、スマホとイヤホンを装着してスタンバイ。


 空き室の都合上わたし達4人が4人部屋1室で同室になり、ゆきちゃんは両親と同室。


 2人部屋しかなかったらゆきちゃんと同室になるチャンスもあったのに残念です。




 刻一刻と時間が近づいてくるにつれて、楽しみな気持ちと心配がないまぜになった複雑な気分になっていきます。


 はじめてのコラボ相手は大人気Vtuberとはいえあくまでも女の子。


 スタジオではアバターもなしの素の姿で向かい合うことになるので、男女の垣根を超えた美しさを持つゆきちゃんの魅力にただならぬ感情を抱いてしまったらどうしましょう。


 わたし達の弟はただ見ているだけで幸せな気分になれる妖精のような美貌をもっているのですが、困ったことに男女問わず魅了してしまうのが悩みどころです。


 ゆきちゃんはわたし達の癒しであり、誇りであり、愛する人。なので誰にもあげるつもりなんかありませんよ、彩坂きらりさん。


 そんなことを考えていうるうちに「おまちください」の画面が切り替わり配信の時間が来てしまいました。アバターのせいでゆきちゃんの顔を見ることは叶いませんが、あの美しい声を聞いているだけでも心が満たされていくようです。


 2人の掛け合いは息も合っていて、悔しいですが見ていて面白いです。嫉妬心がついつい頭をもたげてきてしまい……。


 いやいやこれはただのコラボだからと自分に言い聞かせ、気を取り直して視聴を続行。そんな気持ちで折角のゆきちゃんの雄姿をみていたくはありませんから。


 2人の話題にも出てきましたけど、ゆきちゃんはいずれVtuberをやめる予定なのでその時には全世界がその美貌を拝めるということになります。


 その素顔は国宝?何を言ってるんですか、この人は。そんなわけないじゃないですか。


 ゆきちゃんは人類の至宝、至高の存在ですよ。国宝なんていう国内でしか通用しないケチなものではありません。まだまだわかっていませんね。


 やがておふたりの歌を披露する時間になり、年齢順と言うことで先に彩坂きらりさんが歌ったのですがさすがは大物Vtuberというだけあってその歌唱力は確かなものでした。歌い終わってステージから下がる姿も堂々としたものです。


 ちょ!どさくさに紛れてうちのゆきちゃんに抱き着きやがりました!


「あああぁぁ~~~~!!」


 4人揃って全く同じタイミングで上がる批難の叫び声。


 やっぱりこの人油断できません!


 ゆきちゃんが軽くあしらってるからいいようなものの、要注意人物認定です。


 そして続いて歌うのは我らがゆきちゃん!待ってました!みんなイヤホンを押さえてわずかたりとも声を聞き逃さない体制に。


 この人また気安く抱き着こうとしてましたけど、今回はゆきちゃんが阻止したので一安心。さすがゆきちゃん。


 わたし達は家で投稿動画の収録を聴きなれているのでいつものように美声に聞き惚れていましたが、きらりさんは雪つちゃんお生歌を聞くのは今日が初めて。


 初めて生でその圧倒的な歌唱を聴いた時の衝撃はよく理解できます。


 今のきらりさんの様子を見ても分かるように、心を鷲掴みされたような気分になって言葉が出てこないんですよね。その呆けた顔、すごく共感できます。しばらく余韻に引きずられてしまうのも。


 お互いの歌を歌いあう時間が終わるころにはその多様な才能と実力を痛感したようで、最初の頃とは少し雰囲気が変わってゆきちゃんへのリスペクトが感じられます。


 今回のコラボをやってよかったと感謝しているようですね。当然です。


 ゆきちゃんをお手本にすればきらりさんも今よりもっとレベルアップをすることができるでしょうね。


 もしデビューする順番が逆だったらきらりさんにとってゆきちゃんは手の届かない存在になっていたに違いありませんから。


 あとはデュエットを唄えば終了。ゆきちゃんとのデュエットは羨ましい限りですが残念ながらわたしは歌唱に全く自信がないので仕方ないです。


 2人のデュエットは誰が聞いても見事なものでした。


 その見事なハーモニーに聞き惚れ油断していました。


 またしても彩坂きらりがゆきちゃんに抱擁!


「なぁぁぁあ~~~~!!」


 再度4人同時に上がる批難の叫び。


 しかも今度はゆきちゃんも感極まっていたのか拒否したりせず、あろうことか彼女の頭を撫でてあげているではありませんか!


 これには思わず悔しさでスマホを握りつぶす勢いで握りしめてしまいました。


【そこ代われ】とコメント投稿。もちろん4人同時。


 こうしてわたし達にとってはなんとも心臓に悪いコラボ企画が終わり、みんな同時にイヤホンを外して感嘆のため息。


「はぁ~よかった。歌唱力のある2人がコラボするとすごい相乗効果があるんだね~」


 ひよりちゃんがそう言いながら伸びをしていて、猫みたい。


「確かによかったな。でもあの抱擁は許せねぇ!」


 それについては完全に同意。


「彩坂きらり、許すまじ。あれは完全に惚れたな」


「でもきらりさんてけっこう年上だったと思うからゆきちゃんの守備範囲外でしょ。より姉の1個上だったと思う」


 ひよりちゃん、その言い方だと依子さんも守備範囲外ってことになります。


「そうだな。ギリギリアウトだ」


 ギリギリということにして自分を範囲内に収めましたね。さすが依子さんです。


「でもゆき、すごく楽しそうだった」


 茜の言う通り、ゆきちゃん自身もすごく楽しそうでした。彩坂きらりさんに憧れていると言っていたので、そんな方と一緒にステージへ立てることが余程嬉しかったんでしょう。


 やきもきさせられる場面もありましたが、ゆきちゃんが楽しかったのなら何をおいてもそれが一番です。


「歌もダンスもいつもより生き生きしてましたね。同じ世界を共有してる人とおなじ舞台に立てるということが純粋に楽しかったんでしょう」


「そうだな。ゆきが楽しんでることは伝わってきたからな。それがなによりだ。一部許せねーところはあったけど」


「わたしも明日はゆきちゃんにいっぱい甘えて頭なでなでしてもらおーっと!」


「明日はわたし達がゆきを独占」


 そうですね。明日はゆきちゃんも一緒に心置きなく東京観光ができるのでもう今から楽しみです。


 今日ヤキモチを焼かされた分、明日はわたしもめいっぱいゆきちゃん成分を補給させてもらうことにしましょう。

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