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雪の精霊~命のきらめき~  作者: あるて
第2章 開花・覚醒

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116/133

第116曲 ゆき会長、受難の文化祭

 密度の濃い時間を過ごした夏が終わり、文化祭に向けて準備を始める時期になった。


 今年は生徒会として何をしよう。


 さっそく議題にかけるため、ホワイトボードに書こうとしたら文香が鼻息荒く手を挙げた。ヤな予感……。


「今年は! 今年こそはミスコンの開催を!」


 やっぱりか。


 なんで文香はそれにこだわるかなぁ……。


「他に案は……」


 沈黙。


 こいつら……。


 今年はもう演劇部の濃い……高坂先輩もいないし、助け舟が入ってくれる見込みがない。

 去年わたしも出演した演劇が好評で、その後演劇部にも入部希望者が集まり、今年は人手も足りているようだ。


「一応、念のため確認なんだけど、そこにわたしは?」


「「「「もちろん出場で!」」」」


 くっそー声を揃えやがって! 会長をおもちゃにするんじゃありません!


 がっくしとうなだれるわたしに向かって文香が優しく語り掛けてくる。


「でもゆきちゃんがダントツ優勝なのは間違いないから、審査も兼ねた特別枠で出場ね」


 慰めになってねーよ! 何良いこと言った雰囲気出してんの!


 もはや決定事項と化してしまっている現状、わたしが何を言っても大勢は覆りそうにない。

 誰か助けて……。


 今年もほら! いつものご都合……天の助けが入る頃合いじゃない!? そろそろ扉がバーンと開け放たれて「話は聞かせてもらった」っていうお約束のあれ!


 ……。


 一縷の望みをかけて扉を見つめるも、音沙汰なし。


 チクショー、神様のばかやろー!


 燃え尽きてしまったわたしに代わって文香が議事進行を行い、あれよあれよという間に審査内容が決められてしまった。


 わたしのあずかり知らぬまま、当然のごとく水着審査も盛り込まれ、挙句にお嫁さんアピールなんてものまで追加しやがった。

 抵抗するだけ無駄なのは知ってるよ。もう煮るなり焼くなり好きにして……。



 こうして生徒会長と副会長の間に多大なる温度差を抱えながら、ミスコンの準備は着々と進行していった。


 わたしの予想に反して多数の参加希望者が集まり、かなり規模が大きくなってしまったので講堂を使用すると他の演目に支障が出てしまう。

 そこで急遽プランを変更し、講堂ではなくグラウンドに特設ステージを設置することが決定した。


 とてもじゃないが生徒会だけではそんな大仕事ができるわけもなく、有志の協力を募集したところ、薫先輩が率いる『ゆき会長ファンクラブ』から数十人規模で参加してくれることになった。そんなクラブ公認した覚えはないよ。


 その珍妙なクラブからの参加者が大多数ということで薫先輩に陣頭指揮を執ってもらい、特設ステージは急ピッチで作られていった。


 着々と制作は進み、文化祭当日までけっこうな余裕を残してステージは完成。

 高校生の制作とは思えない程そのクオリティは高く、体育の時間や部活動の邪魔にならないようにと、分割式にして端に積み重ねておき、当日組み立てられるようにするという至れり尽くせりの出来。


 くそ、私設クラブとはいえ侮れない。まずもって名前が気に入らないので、すぐにでも解散させたいのだけれど。

 薫先輩が卒業すれば自然消滅してくれるかな……。


 そして去年と同じく、風紀委員が文化祭中の見回りを手伝ってくれることに。

 これも薫先輩の手回し。さすがは元風紀委員長といったところだけど、そのおかげで今年は生徒会役員も全員クラスの出し物を手伝えることになった。



「ねね、それでうちのクラスの出し物は何に決まったの?」


 文化祭実行委員によるクラス会議は放課後に行われるため、今年は生徒会の方が忙しく参加できなかった。なので同じクラスである文香に聞いたのだけど、考えてみれば副会長である文香はわたしと同じで知るはずもない。穂香も同じく。


 仕方なくクラスに戻り、他の生徒に聞いたところ想像もしていない答えが返ってきて言葉を失ってしまった。


「お化け……屋敷……?」


 絶句。


 いやいや。


 待て待て。


 気は確かか諸君?


 わたしにお化け役をやれと?


 ムリムリムリムリかたつむり! 絶対無理だってば!


「あー、わたし今年は生徒会が忙しいから参加できないかも~」


 ひきつる笑顔でずりずりと後ずさりすると、両サイドから肩をがっしりと掴まれた。文香、穂香……。


「風紀委員のおかげでわたしらもクラスの出し物手伝えることになったよな!」


 笑顔の穂香が仁王様にしか見えない……。


「さっきまであんなに楽しみにしてたでしょ!」


 文香まで……。金剛力士め~!


「そ、そうだ! わたしは小道具か何かで……」


「生徒会の準備で忙しいんだから、普段は何も手伝えないよ?」


「やるなら当日参加になるから脅かし役しかないよな」


 阿吽の呼吸でわたしの退路を断たないで!


「この裏切り者~~!」


 わたしの悲痛な叫びが放課後の校舎に響き渡った。

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