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歴史の歪み、そして悲鳴

「てか聞いたか? 隣国と戦争するかもって話」

最近、耳にするのはそんな生易しい噂ではなかった。すでに国境では小競り合いが始まっており、戦争への緊張は日々高まっていた。

蓮の問いに、颯真は冷静に答える。

「あー、まぁ、いつものことだろ。どうせすぐに手打ちになる」

この国は、織田信長が天下統一を成し遂げて以来、安定した支配体制を築いてきた。しかし、その平和は常に脆いものだった。近隣諸国との戦争は、いつもの権力争いの延長線上に過ぎないと颯真は考えていた。

「てかさ、今度家の中の整理頼まれてさー。手伝ってくれませんか? 颯真様ー」

「しゃーないな。貸し1な」

「さすが我が親友だー」

そんな緩い会話で、明日の予定が決まった。颯真は蓮のペースに乗せられるのがいつものことだった。

翌日、蓮の家。

「やっぱ広いなお前ん家」

改めて来ると、その規模に圧倒される。颯真の家も同じく広大な敷地を持つが、蓮の家はまた違った古風な威圧感があった。慣れない使用人が迷うほど広い屋敷だ。

「この部屋と、この部屋と、あとあそことあそことあそこの部屋かな」

片っ端から作業を始める。2人でやるおかげでみるみる部屋が片付いていく。古びた木箱や埃をかぶった書物、使われなくなった刀剣が次々と出てくる。何時間やっただろうか。かなりの時間作業をした気がする。

蓮に声をかけ休憩にしようとすると、蓮が何かに夢中になっていることに気づく。古びた書斎の隅にあった一冊の本を、食い入るように読んでいた。

「何見てんだ?」

「……織田信長って、天下統一したよな?」

本から顔を上げずに、蓮が問いかける。その真剣な眼差しに、颯真は思わず身構えた。

「当たり前だろ、何言ってんだ?」

「この本さ、多分歴史の教科書なんだけど、なんかおかしいんだよ」

「おかしいって、なにが?」

「この教科書だと、織田信長が家臣の明智光秀ってやつに殺されて、死んでんだけど」

その言葉を聞いた瞬間、颯真は笑いが込み上げてきた。

「はははは! そんなわけないだろ。信長公が本能寺の変を返り討ちにして天下を統一したのは、俺たちに脈々と受け継がれてきた歴史だ。これが本当なら、今の日本はなんだって言うんだよ。蓮、これ絶対偽物だ」

「いや……偽物だとして、誰がこんな凝ったことするんだよ?まんま本物そっくりだぜ」

蓮と颯真が顔を見合わせ、その謎について考え始めた、その時だった。

屋敷の奥から、けたたましい悲鳴が響き渡った。


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