俺たち
現代日本――表向きは平和だが、政治の頂点に君臨するのは織田信長の一族だった。
総理大臣、財界、メディア……ありとあらゆる権力を掌握し、歴史を自分たちに都合よく塗り替えていたのだ。
しかし、その背後で糸を引く存在がいた。
三ヶ月前、忽然と姿を消した二つの家系の分家たち――光と影を操る血筋――。
彼らは歴史の改竄者であり、二人の家族もその手で無惨に殺された。
親を失った蓮と颯真は、絶望と怒りの中で一つの決意をする。
「俺たちで、歴史を元に戻す」
「絶対に、奪われたものを取り返す」
二人は家系に伝わる秘術を駆使し、戦国の時代へと跳ぶ。
光を操る剣士としての力、影を操る忍としての才――二つの血筋が交錯し、戦国の時代に大嵐を巻き起こす。
過去で出会うのは、戦乱の世を生き抜いた英雄たち――織田信長、伊賀忍、猿飛など。
しかし、歴史はすでに改竄されており、二人の前に立ちはだかるのは、予想を超えた陰謀の数々。
「ここを変えなければ、現代の世界はもう取り返せない――!」
歪んだ時間の中で、少年たちは戦い、裏切りに直面し、時には自分たちの存在すら疑わなければならない。
それでも、失われた歴史を取り戻すため、宿命に抗い、過去と未来を駆け抜ける――。
果たして、二人は家族の仇を討ち、歪んだ歴史を正すことができるのか?
それとも、時の迷宮に飲み込まれ、永遠に迷子となるのか――。
──これは、光と影を背負った少年たちの、歪んだ時間を超える宿命の物語。
昔、戦国の世に2つの豪家があった。
ひとつは、太陽を象徴する侍の家系。彼らは織田信長に仕え、その圧倒的な武勇で天下に名を轟かせた。
もうひとつは、月を象徴する忍の家系。風魔、伊賀、猿飛を従え、歴史の影で暗躍し、戦国の闇を操った。
2つの家系は、途絶えることなく現代へ。
彼らの血と技は、今も静かに受け継がれている。
「おーい、颯真ー!」
蓮の声が、放課後の校庭に響く。
東雲蓮。正々堂々とした佇まいと、光を宿したような瞳を持つ、次期党首だ。
「なんだよ。相変わらずうるさいやつだな」
月影颯真。影のある端正な顔立ちで、どこか達観したような雰囲気を纏っている。彼もまた、次期党首だ。
2人は幼なじみであり、互いの家系の跡取りとして、生まれながらにライバルだった。
「俺、また新しい術覚えたんだよ!」
「どうせまたヘナチョコな術だろ」
「うっせぇ、見てろ!」
蓮が深呼吸をすると、あたりが静まりかえった。彼の集中力が空気を震わせる。
「カマイタチの術!」
ふわっとした、心地よい風が颯真の横を通り抜けていく。何の変哲もない、ただの風だ。
「どうだ、すげーだろ!!!」
自信満々な顔で胸を張る蓮。しかし、颯真は呆れながら心の中で呟いた。
(やっぱり、いつも通りじゃねぇか。風を操るなんて、実戦で何の役に立つ)
「とりあえず、組み手しようぜ」
蓮が構えを取る。颯真も渋々ながら、相手に合わせるように構えた。
2つの若き才能が、今日もぶつかり合う。それは、遊びでも、ただの訓練でもない。数百年続く、宿命の続きだった。