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覚醒と代償


体にどれだけ力を入れても立ち上がることが出来なかった。

 だけど、今は違う。立ち上がって目の前の悪魔を見つめる。


「なに?……なぜその体で立ち上がれる?」


「〈宿れ光剣我が手に〉」

 

 眉をひそめているが、私は何も答えず『ライトソード』を詠唱し、ノーモーションで一瞬でフロウアの胴体に傷をいれた。


「……っ!?ヒューデットっ!」


 フロウアの反応速度は思ったより早く、傷は浅いがかなり動揺しており、周りのヒューデット達に私を襲うよう指示を出す。


「〈癒し施す陣よ〉」


『サークルリカバリー』で足元に魔法陣を出現させ、魔法陣の中に入ってきたヒューデットは一瞬で灰となり消滅していく。


「……っ、魔法の効果が上がってる?傷も治ってるし、『サークルリカバリー』で一瞬で全員倒せた……。」


 自分で治った自分の体の傷と、周りで灰となったヒューデットを見て使った魔法の効果の高さに驚く。


「まさか本当に神様が助けてくれたの?」


「そ、そんなはずあるかっ!ゆけっ、ヒューデット共!」


「「「「ガァァァッ!!」」」」

 

 フロウアが片手をあげると、フロウアの背後に巨大な闇のオーラを纏った扉が出現する。そして扉が開くと、100……ううん、それ以上。多分300を超える変異種や通常種が混じったヒューデット達が声を上げながらこっちに向かってきた。


「〈宿れ光剣我が手に〉、はぁっ!」


 全身の傷が治ったことでさっきよりも軽くなった体で、さらに動きを増し、『ライトソード』を片手にヒューデットの群れに突っ込んでいく!


「はあぁぁぁっ!」


 さらに『ライトソード』に力を込めると、『ライトソード』の刃渡りが10倍ほどに伸び、ヒューデットを数十体まとめて斬り裂く。


「まだ……足りない。」


 大勢のヒューデットが盾となっているため、フロウアを害するのは困難だ。

 そう思っていると、脳内に新たな魔法の詠唱が流れてくる。


「これなら……行けるはず!〈輝け光よ〉!」


「「「「ガァァァッ!?」」」」

 

 詠唱に時間がかかる。そう判断した私は手を掲げ、ヒューデット達に向かって『フラッシュアウト』を放つ。

 やっぱり私が使う全ての魔法の効果が上がっているらしく、『フラッシュアウト』もこれまで以上の光を放ち、さらにキィーン、と聞くだけで気持ち悪くなるような音が響き渡る。先頭にいたヒューデットはもちろん、後ろの方にいるヒューデット達の目をも眩ませ、音の効果もあるのか耳を塞いで方向感覚を失い、ヒューデット達が互いにぶつかりあったりしている。


「今ならいける。〈陣・宙浮かべ・溜めよ・溜めよ……」


「まさか……その詠唱はっ!ヒューデット達、やつを止めろぉっ!」


 私の詠唱を聞き、フロウアは慌てたようにヒューデットに命令を下す。だけど『フラッシュアウト』でほとんどのヒューデットは目と耳が使用できなくなり、無事だったヒューデットも『フラッシュアウト』で方向感覚を失っているヒューデットにぶつかったりして私の所まで来ることが出来ない。


「眩く光れ・魔を払う神聖なる光・我穿つ〉!」


 ヒューデット達の目と耳が元に戻る前に詠唱を終える。

 詠唱を終えると、私の目の前に1つ2m程ある巨大な魔法陣が10個の光の魔法陣がヒューデットに向かって完成し、それぞれの魔法陣は光を貯めている。どうして私がこんな魔法を使えるのか、ちゃんと発動するのか、そんなことを思いながらも光のチャージを終えた魔法陣を起動する。


「「「「「ガァァ…………」」」」」


 魔法陣から極太の光のビームが放たれ、もう夜かと思えるほどに暗くなっていた周りが明るく照らす。

 そしてビームを食らったヒューデット達はそのほとんどが食らったところから全身を灰へと変えていき、残ったのはほんの数体となった。


「なぜ……なぜっ!お前なんかが……まだ使えるわけが無い光属性の上位魔法、【聖属性魔法】をっ!

 それも超級聖属性魔法なんかが使えるのだっ!?」


「ふふ……さ、さぁ……どうしてですかね?私も分かりませんよ。

 ……っ、あれ?」


 驚愕に目をむくフロウアに私は笑みを浮かべてかえす。その直後、身体がふらつき思わず膝に手をあて下を向く。

 すると、地面に向かって赤い雫がぽつりと落ち、鼻に違和感を覚え、手で拭うと


「鼻……血……?……はぁ……はぁ……」


 鼻から血が流れ落ち、急に倦怠感が全身を襲う。


「……流石に超級魔法を使うと、体調に影響がでるようだな。」


 その声に顔を上げると、私の顔の目の前で片手を向けるフロウアがいた。


「この距離なら外さん。お前は驚異となり得る存在だ。ここで始末させてもらうとしよう。〈無駄なきま……」


「〈安らぎ与えよ〉っ!」


 フロウアの片腕を握り、『ヒール』を使用する。


「ぐあぁぁぁぁっ、くそがぁ!」


「〈我は力を求む〉、〈さらなる癒しよ〉!」


 ジュッー、と『ヒール』をかけたフロウアの片腕から焼けるような音がし、フロウアは振り払って数歩後ろに後退するが、その隙を逃さず、『パワーライズ』で全身の倦怠感を誤魔化し、さらに強力な『ライトヒール』を片手に、フロウアの胸に向かってかける。


「ぐはぁっ……中級魔法ですら……ぐぅ、この威力だと?」


 胸を抑えながら苦しそうにフロウアは呟く。


「うっ……ぶっ……な、んで……」


 喉の奥から鉄の味が込み上げ、私は口から血を吐いた。


「超級……魔法……使ってない……の……に」


 全身が震え、視界が定まらず、まともにたっているのかも分からない。ついさっきまでの調子が良かった時とは比べ物にならないほど体の状態は悪くなっている。


「今のうちに逃げ……」


「逃がし……ません!〈輝け光よ〉」


「ぐあぁっ!」


 私の状態を見て翼を広げ、飛んで逃げようとしたフロウアに、片手を伸ばし『フラッシュアウト』を放つ。こんなボロボロの状態なのにも関わらず、魔法は先程のように通常の私が使う時よりも強力な効果を発揮し、強烈な音と光でフロウアを襲い、上手く飛ぶことが出来ず地面に激突している。


「っぅ……〈じ……ん・宙浮か……べ・溜めよ・溜……めよ!」


「くそがぁ!目がっ!見えぬっ!」

 

『フラッシュアウト』の効果で目を抑えながら、叫んでいるフロウアを狙い、再びさっき放った『シャイニングブラスター』を詠唱する。視界がさっきよりもぶれて、立っていることすら奇跡と思えるほどに全身から力が抜けているが、フロウアを倒すこと。それだけに意識を集中することで途切れ途切れだけど詠唱を進めていく。


「・ま、ばゆくぅ……光れ・魔を……払う神聖なる……光っ!・わぁ……れぇ、穿つ〉っ!」


「よし、目が見える!なっ!?〈数多の魔の力・我囲み・この身に魔を取り込みて・さらなる力求む〉っ!」


 視力が回復したのか、フロウアはさっき私が唱えた超級聖属性魔法、『シャイニングブラスター』を見てギョッとした表情を浮かべ、魔法を唱え、さっきよりも素早く翼を広げる。


「いっ……てぇ!」


私の言葉で魔法陣から10の光のビームがフロウア目掛けて放たれる。


「ぅっ……ぁ……」


 魔法を放った瞬間、全身から全てと言っていいほど力が抜け、その場で地面に倒れる。地面に手を伸ばして衝撃に備えることも出来ず、地面に頭を打ち付けた衝撃で脳が揺れる。

 口は半開きで、さっきよりも多くの血が喉の奥から込み上げ、口からこぼれ落ちる。


「よくも……やってくれたなぁッ!」


「こ……ほっ……」

 

 急に体が浮遊し、喉が締まる。目だけを動かすと、フロウアが片手で私の首を掴んでいるみたいだ。フロウアは体の所々から焼けるような音を立てており、見るからにボロボロだ。


「おかげで……魔王様に貰った力の一部が失われてしまったでは無いか!魔王様に頼めばもう一度力を貰えるとはいえ……。」


 手に先程器の欠片と言っていた紫色の器を1つ手に持ちこっちを睨んでいる。

 殺される――そう思ったが、フロウアは口に笑みを浮かべた。

 

「惜しい……惜しいな。もう少しお前が上手く魔法を使えれば……まともにダメージを与えられたものを。しかしなぜ突如あそこまで強くなったのか……」


 離して、そう言おうとするが、口すら動かずにただ無防備に首を絞められ、力が全く出ないため反抗すらできず、徐々に意識が揺らいでいく。

 

(だめ……意識が……)


「〈赤き炎を纏いし火矢よ・刺し射抜け〉っ、届けぇっ!」


「ぐはぁっ、一体何だ!?」

 

 徐々にフロウアの力が増していき、意識を失う。その直前にフロウアの無防備な背中向かって『ファイアアロー』が突き刺さった。


 フロウアは驚きに器の欠片を落とすが、それに構わず、乱暴に背中に手を伸ばし、矢を引き抜き『ファイアアロー』が飛来した方を向いた。


「……っ、ュ……ィ」


 その姿を見た途端、両目から涙が溢れてきた。たった3日間会わなかっただけなのに、こんなに安心感が心を満たすのは2日の間あまりにも非現実な出来事ばかり続いて心が疲れ果てたからなのか……

 ユウキさんを見て涙を流す私を見てフロウアはふっ、鼻で笑った。


「お前は……確かこの女とパーティを組んでいたやつだな。確かユウキとか言ったか?」


「なんで俺の名前を知ってる?」


「俺はヒューデットと感覚を共有できる。数日前にお前とこの女が倒したヒューデットと視覚を共有していたから知っているということだ。

 ……そして、お前の実力も。」


 フロウアの言葉にハッとする。ユウキさんの姿を見て安心した自分を殴りたくなる。ユウキさんに伝えなければいけない。これは私達が勝てるような相手じゃない。早く逃げてって言わないと。


「おやリーフは何か言いたいようだぞ?ほれ返してやる。」


 フロウアの手によってユウキさんの元に投げられる。相変わらず体は全くと言っていいほど動かず、ユウキさんに抱き止められる。


「うおっと!」


「〈無駄なき魔弾よ〉」


 ユウキさんに抱きとめられた瞬間、フロウアの詠唱が聞こえ、全身が凍りつく。私とユウキさんを同時に仕留める気だと気づいたから。


「チッ、危ねっ!」


 ユウキさんも詠唱に気づいたのか、私を抱きとめたと同時に、横に飛んだ。


「大丈夫かリーフ?て、どう見ても大丈夫じゃないよな、待ってろすぐに助けてやる。〈更なる魔力纏いて・爆ぜよ魔弾

〉っ!」

 

 衝撃に目を閉じ目を開けると、目の前にユウキさんの顔が映り、そう言ってフロウアの方を向き、魔法を放った。










今回使用した魔法

シャイニングブラスター 超級聖属性

魔法攻撃力 S+

魔法制御力 S

射程 A++

消費魔力量 A++

魔法発動速度 S-

詠唱

陣・宙浮かべ・溜めよ・溜めよ・眩く光れ・魔を払う神聖なる光・我穿つ

説明

宙に10個の光の魔法陣を作り出し、魔法陣から極太の光のレーザーを撃ち出す。


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