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襲撃


あれから数分後、俺達は無事に集会所へとたどり着いた。途中何体も化け物が襲ってきたが、アインダが大剣で全て斬り倒すことでここまで来ることが出来た。流石Aランクと言うべきか、傷一つ負わずにあれだけの数の化け物達を倒すのは至難の業であることが冒険者じゃない俺にすら分かる。


「周りには棚や農具でバリケードを作っているな。周りに化け物の死体が大量にあるが、これは俺のチームメンバーが倒したものだろうな。」


 何十もの化け物の死体がそこらじゅうで倒れており、活動している化け物は今のとこいないようだ。


「またいつ化け物達が襲ってくるかわからん。集会所に入ろう。」


 化け物達の死体の横を歩きながらアインダを先頭に、その後ろにアイナ、俺と続いて集会所のバリケードを乗り越え中に入る。

 そこには数十人の見慣れた顔ぶれが揃っていたが、皆表情が暗く中にはないている者もいた。


「帰ってきたかアインダ。生き残っていたのはクレイン家の2人だけか?」


 アインダの姿を見て杖をつきながらこっちに来る年配の男が声をかけてきた。


「村長……無事だったんだな。」


「ああ、化け物達が現れた時アインダ達が来てくれてここに避難させてくれたのだ。」


「そうだったのか……それで生き残りはここにいるヤツらだけなのか?」


 ミラン村の人口はこの辺にある村よりも遥かに多く、数百人いる。しかしこの集会所にいる村人は100人にも満たないだろう。

 村長はアインダを見ると、アインダはこくりと頷いた。


「どうやらそのようだ。アインダに生き残りを見つけたら集会所に来るように言ってもらい、村中を探してもらうよう依頼したがどうやらこれだけらしい。」


「俺がこの村に到着した頃にはほとんどの家が化け物に襲われていた後だった。この人達とカーフとアイナは家が村の奥の方にあったから助かった。」


「そうか……なあ村長、一体何が起こったのか分かるか?」


「あの化け物達の正体ならおそらく分かる。……想像したくもないがな。」


「化け物の正体か……それなら俺達も検討がついてる。あれは元村人だろ?ここに来る道中でアイナの弟ダインが化け物になっていた。」


 俺の言葉に村長はアイナをちらりと見て顔を伏せる。


「そうか……すまないアイナよ。わしがこの村を守ることが出来なかったが故に、お主の弟を化け物にしてしまった。」


「村長が謝ることではありませんよ。それにアインダさんが弟を楽にしてくれました。」


 アイナは遠くを見るような目でそう呟く。


「……化け物の正体には気付いていることはわかった。だが、化け物の正体はこの村の者達だけではない。わしは定期的に他の村にも行くが、別の村で見た者が化け物となりこの村で暴れていたのも見ている。」


「ということは、別の村でも同じことが起きていてその犠牲者達が今度はこの村を襲っているってことか?」


「だろうな……ほんの数日前、別の村の村長と交流があった時、その時に妙なことを言っていた。

 最近村人が急にいなくなる、この辺りではゴブリン以外では見ない人型の魔物が発見されているとな。

 わしはその報告を受け念の為にアインダに連絡をした。」


「あぁ、だからアインダがこの村に戻ってきたのか。」


「そういうことだ。連絡を受け、俺は仲間と共に数時間前にこの村に到着した。……もう手遅れの状態だったがな。」


「わしがもっと注意してれば良かった。まさか……まさかここまで早く事態が動くとは思ってもなかった。」


 悔しそうに皺だらけの顔に村長の顔が歪み、杖を握る手に力が入っている。


「俺達が来てから魔物の調査をし、そこから村人に知らせ、村の守りを固めるつもりだったらしい。

 本当はそれが正解だ。魔物の正体が分からない以上、専門家である冒険者に託し、そこから動き出す。」


 村長の手にアインダは手を添え宥めるようにそう言う。


「だが、化け物の行動の方が早かった。ここまで早く事態が動くなんてな。……村長、おそらく相手は化け物達を動かすことが出来る指揮官のようなやつがいると思う。

 この村に来る前にいくつか別の村を通り掛かる時に見たが、全ての村が壊滅していた。そしてこのミラン村は人口が一番多い。周りの村で大勢の村人達を化け物に変え、このミラン村を襲う。多分それが敵の狙いだと俺は思っている。」


「あたしもリーダーの意見に賛成だね。全くその指揮官ってやつはこの村になんの用があるんだろうね?」


 アインダに同意するように一人の女戦士がやってきた。拳にはナックルダスターを装着し、小麦色の肌をしている。

 多分年齢的にはアイナより少ししたぐらいだろうが、戦士だからか、筋肉は俺よりもありそうで腹筋もバキバキに割れていた。


「ナンディナか。オルビィンはどうした?」


 どうやらアインダの仲間らしい。


「屋根上で周りを監視中。リーダーが帰ってきたのが見えたから、一応報告であたしが来たってわけ。」


「そうか……で、化け物達はどうだ?」


「どうだって言われてもね……相手もこの集会所にたくさん村人がいるのを知ってるみたいで沢山責めてきてたよ?でもまああたしら二人で防衛してるからね、リーダーが来るまで結構来てたけど化け物のストックが無くなったのか知らないけど、全く来なくなったよ?」


「もしもミラン以外の村人が全て化け物に変えられていたとすれば、その数は800はくだらない。さらにこの村の村人の大半も化け物に変わっておる。とすれば、1000を軽く上回っておるはずじゃが……。」

 

 村長の言葉にナンディナはうーんと首を傾げる。


「倒すのに夢中になってたから詳しい数は分からないけど、多分あたし達が倒したの100もないと思うんだよね。しかも全部化け物にもならないと思うよ。化け物に村人が殺されてるのを見たけど、その村人は化け物にならなかったし……あ、これ助けようとはしたからね?でも他の村人守りながらで助けられなかっただけで。

 その村人さん頑張って抵抗してたから大丈夫かなって思ってたんだけどダメだったらしくてさ。」


「ナンディナっ!もうちょっと言い方があるだろ!」


 ごめんと舌を出しながら手を合わせるナンディナにアインダが怒鳴る。


「アインダ、良いのじゃ。彼女達のおかげで被害は少なくなっているのは事実なのだから。」

 

「村長……うちのメンバーがすまない。……おい、ナンディナ今周りにはあの化け物はいないと言ったな?それなら村人達を避難させられそうか?」


 若干きつめの声でナンディナにアインダは問いかける。


「今避難させるの?まだ暗いし、化け物の不意打ちが来ないとは限らないし、村の外に出たとしてもあの化け物とか魔物がいると思うからおすすめはしないよ。」


 肩を竦めながらナンディナはアインダの提案を否定する。


「俺達が守りながら行けば……」


「この人数を?あたし達で?無理に決まってるでしょ。

 ましてや、年寄りも女も子供もいるのに、この状況で体力も精神ももたないよ。」


 ナンディナはありえないと、呆れ果てた表情でアインダの言葉を突き放す。


「ならっ……どうするってんだ!村の中にはあちこち化け物がいる!外に出たら化け物と魔物に襲われる!どうすれば、皆を助けられるってんだ!」


「あたしに言うなよバカ!あたしだってどうすればいいか分かんないんだよ!でもな、一つだけ分かることがある。

 あんたの提案なんかにのったらこいつらほとんどが死ぬってことわねっ!少しは考えろよバカっ!」


 互いにヒートアップし、ピリピリとした空気が集会所内を包み込む。しかし、そんな空気を一瞬で掻き消すようにスカーフで口を覆った長髪の男が扉を開け、未だに口論している二人に向かってスカーフを下ろし、口を開く。


「おい、ピリピリしてんのは分かるが、我慢しろ。

 アインダ、あの化け物達がまた出てきた。正確な数は分からんが、50以上はいるぞ。」


 長髪の男の言葉にアインダが目を見開く。

 

「オルビィンそれは本当か?」


「あぁ、どうする?見たことも無い巨大な個体もいるが?」


 アインダ達の会話に、不安気にひそひそと村人達は話し出した。

 

「カーフさん、私達は一体どうなるんですか……。」


「諦めるな……きっと生き延びられるさ。」


 泣きそうになっているアイナを俺は抱きしめる。

 アイナは無言でこくりと頷くも、当たり前と言うべきか、恐怖の感情は抜けないようでちらりと扉を見ていた。 


「おっ、俺は逃げるぞっ!こんなとこで死んでたまるかってんだ!」


 そんな中一人の村人が大声で叫び、扉に向かって走り出した。


「……っ、よせっ、今出たら奴らに襲われるぞ。」


「うるせぇ、ここで籠ってたっていつかは死ぬんだろ!

 なら、化け物達のあいだをかいくぐって逃げ切る選択肢を選ぶねっ!」


 アインダが村人を止めようとするが、村人はアインダを突き飛ばし、扉を開け放つ。


「ガアァァァッ!」

 

「へっ?」


 村人が扉を開け放った瞬間、目の前には2メートル近くある今まで見た化け物達よりもさらに巨大で発達した筋肉を持った化け物がいた。


「は、はなっ……せ……ぎゃぁぁぁぁ!?」


 化け物は逃げようとした村人の腕を掴み、そのまま力を入れて腕を握りつぶし、村人を持ち上げる。そして、集会所にいた村人達を見ると、振りかぶり、村人を集会所の中へと投げつけた。


 ぶしゃり、と壁に村人だったものが叩きつけられ、壁一面に血が飛び散る。

 それだけではなく、村人が投げられた進路上にいた村人達は、ぶつかった衝撃で4人が吹き飛んで死亡し、かすった5人の村人は気絶していた。

 

「っ、ナンディナ、オルビィン、戦闘準備!」


 呆気にとられていた俺達はアインダの声にはっとして、化け物の目の前に立つ3人を見る。


「あの化け物は馬鹿げた怪力を持ってる、バリケードも多分あいつが突破したんだろう。他の化け物達も入ってくるはずだから、村人達は集会所の端に固まっていてくれ!

 俺達が絶対守ってやる!」


「ああもうっ、こんな以来引き受けなければよかったよ!

 でも、ここで逃げるのはなんかかっこ悪いしやってやる!」


 悲鳴あげていた村人達は我先にと生き残っている村人達は集会所の端へと移動し始める。

 途中でナンディナの文句が聞こえたが、ちゃんと戦ってくれるらしい。


「気絶した者を運ばねば、くっ、おい誰か手伝わんか!」


 吹き飛ばされまだ息のある村人を村長は杖を放り投げ運ぼうとするが、さすがに歳のせいか運ぶことが出来ず周りの村人に向かって怒鳴っていた。


「村長、俺も手伝うぞっ!アイナは向こうに行くんだ!」


「分かりました、気をつけてください!」

 

 自分が行っても足でまといになるのが分かっているアイナは、即座に俺の言う通り端へと移動した。


「おい、お前ら村長が自分の村の人間を守ろうとしてんだ!俺らも手を貸すぞ!」


 力のある男どもに向かって俺は声を張り上げると、数人が覚悟を決めたようにこっちに戻ってきて、村長の元へと駆け寄り、生存者を担いで端によった。


「すまんな、クレイン助かった。」


「大丈夫だ、年寄りに力仕事はきちぃだろ?」


 村長の礼に対し俺は笑みを浮かべながら言葉を返す。


「ほう、言うようになったな。……アインダ達は大丈夫だろうか?あの化け物他の個体よりも強そうだ。それに見てみろ。他の化け物共も入ってきたわい。」


 軽く笑みを浮かべた村長だったが、すぐに表情を引き締め、化け物と対峙するアインダ達を見つめる。村長の言う通り、集会所の扉から今まで見てきたのと同じような化け物達が押しかけてきている。


「オルビィンは魔法で支援と妨害を、ナンディナは俺と一緒に奴らを仕留める!いいなっ!」


「承った」

 

「はいはい、了解了解」


 アインダの命令にオルビィンは静かな声で、ナンディナはため息混じりに適当に返事をし、それぞれ命令通りに動き出す。


「とりあえず足を止めてもらおう。二人とも横にどいていろ〈ここに吹け・歩み妨げる・強き風〉!」


 オルビィンは片手を化け物達に向け、魔法の詠唱を口にした。すると、化け物達を押し返すように強風がオルビィンの前方から吹きはじめる。


「『ソードスラッシュ』!」


 風に抗いながらも進もうとする化け物達に、アインダがオルビィンの隣から大剣を振り、剣撃で化け物を少しずつ削っていく。


「そんなちまちまやってたらあっという間にやられるよ!『ハイボディエンハンス』!」


「ナンディナっ!?オルビィンが足止めしてるんだから遠距離から攻げ――」


「ほらほらほらぁ!あたしを殺したいなら捕まえてごらんよぉ!『ナックルアタック』!」


 アインダの横を通り風を背に加速しながらナンディナは化け物達に飛びかかる。それを見てアインダが驚きと怒りをあらわにしながらナンディナに向かって叫ぶが、ナンディナは聞く耳を持たず、化け物の攻撃をうまくかわしながら流れるように拳や蹴りで化け物達を圧倒している。


「ちっ、オルビィン俺も近接戦で戦う。上手くフォローしてくれ!」


「ナンディナめ、人の努力を無駄にして……分かった。気をつけるんだぞ。」


 聞く耳を持たないナンディナを見て舌打ちをしながら、オルビィンに指示をし、アインダも化け物達に向かって行く。


「かなり揉めてるが……大丈夫なのか?」


「彼らを信じるしかあるまいて。わしらではどうにも出来ないのだから。」


 俺の呟きに隣にいる村長が反応し、苦笑いをしながらそう言う。


「でもさすが高ランクの冒険者ですね。敵を圧倒して危なげなく次々に倒していってますよ。」


 俺の隣に戻ってきたアイナが三人の戦いを見て感想を漏らす。

 アインダは大剣を振り敵の首を落とし、ナンディナはナックルダスターで敵の頭を潰し、オルビィンは魔法で敵を吹き飛ばし二人が敵に囲まれないよう上手くフォローしていた。



「これだったらもしかしたら生き残れるかもしれないな。」


 10分も経たないうちに化け物達の数は数えられる程に減少していた。三人も多少息が切れているが大きな外傷はなくまだまだ戦えそうだ。


「こんのデカブツがっ!せっかく人様が苦労して作ったバリケードを簡単に破壊してくれてさぁ!許さないから命で償え!」


「ガァァァッ!」


「いや、ナンディナって人は俺達に命令だけして寛いでただけだったよな。」


 ナンディナが怒りの形相でバリケードを壊したでかい化け物に向かって飛びかかる。それを見ていた村人の1人がポツリと呟くが、幸運にもナンディナの耳には入っていないようでナンディナはナックルダスターででかい化け物をタコ殴りにし、あっという間に倒してしまった。


「とりあえず殲滅完了だな。オルビィン、回復魔法で気絶した村人達の治療をしてやってくれ。」


「承知した。」


 ナンディナがタコ殴りしている間に残りの化け物を倒し終わったらしいアインダとオルビィンが気絶している村人の元へと向かい、オルビィンがしゃがみこんで村人の様子を見る。


「ふむ、直撃はしていないから全員命に別状は無いな。これなら中級魔法くらいで治せそうだ。」


 そう言いながらオルビィンは詠唱を始め次々に村人達を癒していく。


「すまないなオルビィンとやら。ちなみに死者蘇生の魔法とかそういうものは無いのだろうか?」


 オルビィンに向かって、村長は礼をいいながら直撃で死亡した合計5人の村人をちらりと見る。


「期待させてすまない。この村人達はあまり傷がないから治せるが、俺は回復魔法が苦手だ。死者蘇生の魔法なんて聞いたことがないが、もしあるとしたら超級魔法以上だろうな。さすがにそんな高位の魔法を俺は使えん。」


「そうか……。やはり死者蘇生というものは難しいということか。」


 顔を伏せ悔しげに村長が呟く。


「ああ、残念だがこればっかりはどうしようもない。とりあえずこっちの村人達は俺が治しておく。〈癒し施す陣よ〉」


 オルビィンが詠唱を唱えると、5人の村人を包み込むように魔法陣が出現し、光が現れ、村人達の傷を癒していく。


 「オルビィンここは任せた。

 皆、とりあえず襲撃してきた化け物達は全部倒した。これから朝になったらナンディナをビギシティに行かせて応援を呼ぶ。それまでは耐えてくれ。」


 オルビィンの隣を離れ、アインダが村人達に聞こえるように大きな声で叫ぶ。

 

 「はあ!?いったい何言って!」


 「村の皆を連れていくことは不可能、ここにいつまでいてもみんなが危険だ。なら俺達誰かが助けに行けばいい。そしてこの中で一番軽装で体力があって足が速いお前が適任だ。」


 抗議しようとしたナンディナをなだめるようにアインダは言う。


 「空を飛べるオルビィンのほうが適任じゃない!」

 

 「オルビィンは回復魔法が使えるが、俺やナンディナは回復戦技使えないだろ?

 それにまた襲撃が来た時、単体攻撃がメインのお前よりも範囲攻撃がメインのオルビィンのほうがここに残ったほうがいい。奴らは数が多いから範囲攻撃のほうが効果があるんだ。」


 「……確かにそうだけど、ここからビギシティまでかなり距離ある。」


 「お前なら平気だろ?このくらいのことでナンディナは弱音を吐かないよな?」


 わずかに挑発するような口ぶりでアインダはナンディナに言う。


 「当たり前じゃん!いいよやってやるわよ!もし助けを呼べてこの事態が解決したら報酬は全部あたしのものだからねっ!」


 「はいはい、オルビィンもそれでいいか?」


 「ここで頷かなければナンディナは首を縦に振らないだろう?」

 

 村人達に回復魔法をかけ終わって隣に来たオルビィンにアインダは声をかけ、オルビィンは苦笑いを浮かべ首を縦に振った。

 

 「はあ、あたしがいないとほんとダメな男達みたいね!朝に備えてもう寝るわ!」


 そう言ってナンディナは離れたところに腰を下ろし、壁に背中を預けて目を閉じた。


 「みっともない姿を見せて悪いな村長、皆。」


 様子を見ていた皆に向かいナンディナに聞こえないように小声でアインダは頭を掻きながら謝罪する。


 「なに、誤ることなどない。労力に正当な対価を欲しがるのは当然のことだろう。アインダもオルビィンも休むとよい。集会所の応急処置はこちらで行う。おいおぬしら、扉の修復とバリケードの再設置をせい。バリケードを作った際に余った木材などがあったはずじゃ。」


 そう言ってアインダの肩を村長は軽くたたき、先ほど気絶した村人達を運ぶのに協力しなかった一部の村人達を指名し、命令を下した。

 村人達からええ?と困惑の声が漏れるが、

 

 「わしの目はごまかせんぞ、先ほど同じ村に住んでいる者達が危なかったのに我先にとおぬしらは端に逃げ出しておったよな?ここを追い出されたくなければならば少しは役に立て!」


 杖を床に打ち付け、怒りをあらわにし村長は叫び村人達に怒鳴り散らした。


 「怒ると村長は怖いな。」


 それを見ていたアインダは笑みを浮かべ俺に言った。


 「昔からだ。だが、人望もあるから村人達もなんだかんだ従う。」


 作業を始める村人達を見て俺はそう呟く。


 「こう、大変なことばかり起こっていますが、幸運なことが1つだけありましたね。さっきオルビィンさんが回復魔法を使っているのを見て思い出しました。」


 アイナは口元にわずかな笑みを浮かべ、俺のほうを向いた。


 回復魔法というワードを用いてそんなことを言い出したことに俺もアイナの言った幸運なことに1つ思い当たりがあり、そうだな、とこくりとうなずいた。


 「幸運なこと?」


 それを聞いていたアインダが不思議そうに俺を見て何かあったか?と聞き返してきた。


 「ああ、今俺たちの娘、リーフはビギシティに行っているんだ。あいつがこんな事態に合わなくて本当に良かった。」


 「ええ、本当に……。あの子が化け物になったらと考えると、私はもう生きていけません。私の大切な宝物なんですから。」


 「おいおい、私のじゃなくて私たちのだろ?俺もあいつのことはお前と同じように大事に思ってるんだ。」


 「なるほど、リーフ、娘さんのことか。以前村に帰ってきたとき顔を合わせたな。確か回復魔法が使えるんだったか。」


 「ああそうだ。かわいくて優しくてかしこい自慢の娘だ。」


 胸を張って俺はアインダに自慢する。


 「確か5年前に会ったときは、10いったくらいだったか?てことは、今は15,6くらいか。どうだ、ボーイフレンドはできたのか?」

 

 「ははは、いるわけないじゃないか。」


 俺は笑顔で答える。


 「かわいくて優しくてかしこい自慢の娘なんだろ?いてもおかしくないと思うんだが……いや5年前に見たとき年が近い男がいなかったな。だからか?」


 「いやいや」


 「?」

 

 見当違いなアインダの予想に俺は首を横に振り、首をかしげてるアインダに答えを言った。


 「ボーイフレンドなんて連れてきたら、俺がその男をしばきたおす」


 「カーフさん、リーフのこと大好きですからね~。」


 「こわ」


 耳を傾けていたらしいオルビィンがぽつりと呟いた。










今回使用した戦技、魔法

インパクトゲイル 上級風属性魔法

魔法攻撃力 F+

魔法制御力 D++

魔法効果時間 C

消費魔力量 C-

効果範囲 C++

魔法発動速度 B

詠唱

広く広く・吹けよ風・突風の力発し・さらに阻め・敵の歩み

省略ver

ここに吹け・歩み妨げる・強き風

説明

前方広範囲に風を起こし相手の進行を遅らせる。


ハイボディエンハンス 上級戦技

戦技制御力 B-

消費魔力量 C++

戦技発動速度 B-

効果時間 C+

説明

体に魔力を纏わせて身体能力を向上させる戦技。

ボディエンハンスの強化版。

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