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帰還


あの後、アイオンが見張りをすると言い出し、俺は数時間の間さらに眠ることになった。


「アイオンさん、目が覚めたんですね!大丈夫ですか?」


目が覚めると、リリィが魚を焼いていたアイオンに尋ねる。


「あぁ、大丈夫だ。皆起きたな……魚をとってきたから食べるといい。」


1人2匹ずつあり、アイオンは子ども達に魚を渡していき、昨日ヒューデットから守れなかったことを謝る。


「あんなに数が多かったんだから仕方ないですよ!

むしろ俺達全員で1体倒せるかどうかのヒューデットを複数体相手できるのすごいなって思います!」


ドリバー達は実際にヒューデットと戦ったため、ヒューデットの強さがよく分かったのだろう。だからこそ、この感想が出たのかもしれないな。


「アイオンさんが無事でよかったですね。」


隣でリーエンがクスリと笑いながらこっちを見る。


「あぁ、流石にアイオンを抱えていくのは大変だからな。」


下手したら今日も野宿になるところだったため、起きてくれて何よりだ。


「ほら、ユウキとリーエンも食べるといい。」


アイオンが差し出した魚をありがたく受けとり、一口齧る。

……うん、普通の魚の味だ。アイオンになんの魚か聞いてみると、一般的に食べられているFランクのブルーフィッシュという魚らしい。

大して強くもなく、泳ぎが速い訳でもないため、すぐに捕まえることができるんだとか……。


「よし、そろそろ行くとするか。ここからだと、あと1時間ほど進めばビギシティが見えてくるはずだ。皆、着いてこい。」


辺りを見渡し、大体の位置を把握したアイオンは迷わず進んでいく。


「意外とビギシティに近かったみたいですね。野宿しなくても良かったような……」


「まあ、日が暮れた後の森を進むのは危険だからな、昨日野宿して正解だと思うぞ。体力魔力もかなり減ってたし、アイオンも気絶してたしな。」


「あ、そうでした。」


ビギシティに帰ったら冒険者ギルドに行って、クエスト達成の報告と、ヒューデットの報告をしないといけないな。

それに、ビギシティで宿泊してる宿屋、森の休み所に行って心配しているだろうから昨日は野宿をしたことを言いに行かないと……。あと、そろそろリーフもミラン村から来る頃だろうからリーフと合流もしないといけないな。

ビギシティに帰還したらやることが沢山だな。






「アイオンさん、何をしてるんですか?」


出発してから数分後、アイオンの隣を歩いていたランディがギルドカードを操作していたアイオンに声をかけた。


「ん、スキルの構成をいじってるんだ。俺はBランクだから6つまでスキルをセットできるが、6つ以上スキルを持ってるからな。昨日みたいに大量のヒューデットに襲われても対処できるように、変更してるんだよ。スキルの変更が汎用されるのは、スキルを入れ替えてから1分間経たないと反映されないから今のうちにやっておこうと思ってな。いままでは守り重視のスキル構成だったからな。誰かさんのお陰で元気が出たから、攻撃重視でガンガン行こうと思ってな。」


そう言いながらアイオンはチラッと一瞬俺を見るが、すぐに視線を戻す。


「?」


その様子を見ていた子ども達とリーエンははてなマークを浮かべるが、アイオンが何も言わないため俺も離さないでおくことにする。あまり他人の過去を言いふらすもんでもないし。


「お前達もスキルを複数習得したらスキル同士の組み合わせとかを試してみるといい。スキルを使うか使わないかで、戦闘に大きな差があるからな。」


「そういえば、Dランクを超える魔物だと攻撃用のスキルで攻撃してくる魔物もいるって聞いたけど本当ですか?」


アイオン達の少し後ろを歩いていたドリバーがアイオンに尋ねる。


「ああ、そうだな。ビギシティの周りはいままでだと、最高でもEランクのグレイウルフでスキルを使ってこなかったが、Dランク以上のやつだとスキル、もしくは魔法で攻撃してくる魔物がいる。魔物は人類と違って戦技が使えないからな。」


「魔物って戦技使えないのか?」


てっきり使えると思っていたが、そんなことは無いようで思わず声が出てしまった。


「そうだぞ、戦技って言うのは、昔魔物や魔獣に対抗できる手段が魔法くらいしかなく、その魔法が使える魔法使いも今と比べてずっと数が少なかったから、魔法使いとして産まれなかった者に戦技を与え、戦う力を神が与えたという話がある。

そのため、戦技は人類しか使えないって訳だ。魔物のステータスも戦技を使えないから、戦士のような戦技攻撃力、戦技防御力、戦技回復力、戦技制御力という項目はなく、魔法が使えない魔物は筋力、耐久力、知性、魔力量の総合でランク分けされるんだ。

話を戻すが、大体の魔物は攻撃系のスキルである魔力爪や、魔力牙のようなスキルで攻撃してくるんだ。」


「その攻撃用のスキルと戦技ってなにか違いがあったりするのか?」


「ああ、あるぞ。ユウキは魔法使いだから分かりにくいかもしれんが説明しておこう。

まず攻撃用のスキルは、その使用者の筋力、そして込めた魔力量によって威力が変わるんだ。そのため、自分で魔力の込める量を調整しないといけない。

だが、戦技は戦士のステータスの筋力+戦技攻撃力、そしてうまく発動できるかの戦技制御力が大事になってくる。

基本的に人類は魔物達よりも筋力が低い。だからこそ、戦技攻撃力や制御力といったステータスでカバーして対等に戦えるように戦技ってものが与えられたんだ。

しかも、戦技は攻撃用のスキルよりも量が多いし、消費する魔力量も決まってるから、今どのくらい魔力がある、といったことも分かりやすく、戦士の大半は戦技を使用しているんだ。……よし、スキルのセット完了だ。」


どうやら話している間に1分経ったようで、アイオンがギルドカードをみて満足気に頷く。


「なるほど、そういう違いがあるんだな。」


「あれ、でもヒューデットってDランクですよね。

今まで攻撃用のスキルなんて使ってきてないような……。」


「よく気づいたなランディ、お前の言う通り、ヒューデットはスキルを使ってこない。それに、ユウキもこの前一緒にヒューデットのステータスを見たと思うが、なぜか魔物なのに、戦技攻撃力、戦技防御力、戦技回復力、戦技制御力の項目があった。……あれはガロー達が今調べているところだが、今回の調査隊の調査で何かわかるといいが……。」


ふーむ、と顎を撫でながら考えようとするが――


「いや、今はこいつらを相手しないとな。」


大剣を取り出し、眼前に構える。


目の前には通常のヒューデットが5体見え、こっちに近づいていた。


「すまない、話に夢中で『エリアハック』で索敵し忘れてた。」


魔法使いを唱える準備をしながらアイオンに謝る。


「構わないさ、それに俺も話に夢中になっていたからな。それと、ユウキは下がって子ども達とリーエンを守っておいてくれ。」


「え、大丈夫なのか?5体もいるけど」


「お前のお陰でいつもよりも気合いが入ったんだ。俺に任せてくれないか?」


ニヤリと俺を見ながらアイオンは提案する。


「……分かった、でも危なくなったら介入するからな。」


「ああ、それでいい。そんじゃ、いくぞバケモン共っ!『ダッシュストライク』!」


アイオンが吠えるようにヒューデットに言い、強く地面蹴って駆ける。

その際に、薄い青のオーラがアイオンを包み込む。


「前に見たときは、『ダッシュストライク』使用時にあの青のオーラは出てなかった……となると、スキルか?」


「おらっ、『フルスイング』、そしてもう一度っ『フルスイング』!」


『ダッシュストライク』にて加速したアイオンはヒューデットの前で右足を軸にして器用に勢いを殺さずに、ぐるりと一回転しながら剣の腹の部分を使って2体のヒューデットを吹き飛ばす。

2体のヒューデットは、勢いよく吹っ飛び、木に勢いよくぶつかり、そのまま崩れ落ちる。

そして、そのままもう一度回転し、今度は剣の刃の方を向け、他のヒューデット2体の首を切り落とす。


「すごい、普通なら回転する時に『ダッシュストライク』の勢いが落ちるはずなのに、勢いをそのまま維持してそれを力に変えてさらに『フルスイング』でヒューデットを2体も吹き飛ばした!それに、その後の攻撃で2体も同時に倒すなんてっ!」


興奮した表情でドリバーが叫ぶ。いや、ドリバー以外の子供達も目をキラキラさせながらアイオンを見ている。


「ガァァァッ!!」


残った1体のヒューデットが回転直後のアイオンの頭目掛けて殴り掛かる。


「『オートパリィ』っ!『クラッシュパンチ』!」


アイオンは咄嗟に戦技を発動したようで、大剣で敵の攻撃を弾き、ヒューデットに殴り掛かる。ヒューデットは上手く避けることが出来ず、アイオンのヒューデットの顔面を捉える。

戦技の効果か、ヒューデットの顔面が弾け飛び絶命する。


「あとはアイツらだけだな。」


アイオンはそう言い、先程の『フルスイング』で吹っ飛ばしたヒューデットの首を切り落とし、アイオンは戻ってきた。


「つっよ……」


昨日までのアイオンの動きとはまるで別物だった。

判断の速さ、戦技の連携、対処の速さ、何もかもが高水準で動きに無駄がなかった。

アイオンは、子供達にすごいすごいと褒められており、少し照れていたが……俺の視線に気づくと、笑みを浮かべ、親指をたてた。

まるで、これが本来の俺だ、と言わんばかりに。






「なんか、ビギシティにいなかった時間は1日にも満たない時間だったのに懐かしく感じるね。」


「そうだね、結構濃い時間を外で過ごしたからかもしれないね。」


リリィとランディの会話を聞きながら、門を通る。

そう、なんとかビギシティに帰還することが出来た。

道中あの後、魔物が少しでてきたが、ヒューデットに比べれば可愛いものですぐに片付けた。

ちなみにヒューデットはあの後は出てきてはいない。


「さて、とりあえず冒険者ギルドでクエスト完了の報告を済ませよう。」


アイオンの提案に誰も反論はせずに、冒険者ギルドに向かうことにした。


「なんだ、少し騒がしいな。」


現在の時刻は、10時過ぎ。

いつも冒険者ギルドはそれなりに騒がしいが、Dランク以上の冒険者が同行しないとクエストに行けないからか、Eランク以下の冒険者がそれなりにおり、いつもよりも騒がしい。

そして、主にEランク以下であろう若い冒険者達の表情は不安そうなのが気になる。


「なあ、やっぱりギルドマスターが言ってたことって本当なのかね?」


近くにいた冒険者が仲間の冒険者と会話しており、スルーして受付に行こうとしたが、続く会話の内容に足が止まる。


「ああ、なんでもビギシティの近くの村が4つもヒューデットに壊滅されたらしいぞ。調査隊が村を見回ったが、死体だらけだったらしい。」


「しかも、ヒューデットになった村人達を使って今度はミラン村を襲撃したらしいな。調査隊が数百のヒューデットで溢れかえってるってのを見たって言うし、ミラン村ももう終わりだな。

まあ、これでヒューデットを操る奴がいることは確定だろうな。

ミラン村はこの辺りの村のなかじゃ、かなり大きくて人も多いから、一気に壊滅させるために、近くの村からヒューデットを作ったんだろうよ。このままヒューデットが増えるとビギシティも危ないな。ここを離れることも検討しないとな。」


「EランクだからクエストもDランクのやつをわざわざ連れてこないといけない手間もあるしな。」


溜息をつきながら、冒険者達は去っていく。

ミラン村という単語が脳裏に焼き付く。

そして、あの友人の姿も








今回使用した戦技


オートパリィ 中級戦技

戦技制御力 D-

戦技発動速度 D

消費魔力量 D

説明

自分よりもランクが低い相手が物理攻撃を行った時、タイミングよく武器、防具で弾くとダメージを無効化する。

タイミングがシビアで失敗しやすい。


クラッシュパンチ 上級戦技

戦技攻撃力 B

戦技制御力 C+

戦技発動速度 B-

消費魔力量 C

説明

拳に魔力を纏わせ、魔力を破壊のエネルギーに変換する。

相手のランクが自分よりも低く、相手の弱点部分を殴ると、高確率で弱点部位を破壊することが出来る。











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