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お勉強の時間


「欠片1つにつき、1分30秒神気解放状態になれるから、2つ持ってる俺は今のところ3分間神気解放状態でいられるのか。」


神気解放状態で装備を見ながら呟く。

3分過ぎると、6時間の間ステータスが半減してしまうとべシールは言っていた。


「いくらスライムしかいないとは言っても、ヒューデットも増えて、ここに出現するかもしれないから、早めに検証しよう。」


とはいえ、今使える器の欠片に込められた権能は1人で使うことは出来ない。

今、俺が使用出来る器の権能は――


器の加護


器の神べシールの力の一部を秘めたもの。1度目に器の欠片を砕いた際ステータスが上昇する。上昇するステータスは器の欠片によって異なる。

2回目以降砕いた際は神気解放状態となり、器の権能を使用することができる。器の加護以外の権能を使用する際には目が紫色へと変化する。また神気解放状態になると追加でステータスが上昇する。

この器の欠片は最後の1つになるまで体から排出されず、この欠片が排出された場合全ての器の権能が使用できなくなり、ステータスも通常状態に戻る。

しかし、再度砕いた場合ステータスが上昇し、器の権能も使用可能になる。

神気解放は器の欠片1つにつき、1分30秒

また、神属性を神気解放時は常時魔法に付与される。


マジックシェア

自身の魔力を他の者に譲渡することが出来る。ただし身体の一部が触れていなければならない。魔石の魔力を取り込んだときと違い、魔法の効果と魔力制御力が低下することは無い。


この2つだ。


「魔物たちに対して魔法の効果が1.5倍になる効果は、この器の加護の神属性付与の影響だろうな。

……それにしても、器の加護はさておき、マジックシェアはやっぱり1人だと使えないか。」


権能の効果を確認し、湖のすぐ近くまで歩いて水面に写った自分の目を見てみる。


「紫色になってる……器の加護効果か。……ん?」


「「ピギッ!」」


2体のスライムが俺に気づき、ぴょんぴょんと跳ねてくる。


「神気解放状態での魔法はどんなものか試したいし、ちょうどいいな。〈集いし魔力よ〉」


「「ピギャァァァ!!」」


1発だけスライムに向かって『マジックショット』を放ってみるとスライムは跡形もなく消し飛んだ。


「スライムじゃあまり変化が分からないな。こういう時にヒューデットでも出てきて欲しいけど。」


神気解放状態じゃなくてもスライムくらいなら苦もなくこの程度出来る。

周りを見渡しても、ヒューデットの姿は無い。まあそういう場所を選んだからいるわけないか。


それ以降、魔物が現れずに3分が経過する。

装備が紫色の粒子へと変化し、俺の目の前で粒子が集まり、2つの器の欠片へと戻り、俺の胸へと近づき、触れた瞬間に体に吸収されていく。


「……っ!」


それと同時に俺の体にも変化が起きていた。

神気解放を発動したことによるステータスの半減、それと急に体が重くなる。


「なるほど、これが神の力を使った代償か。」


ステータスを確認してみると、


ユウキ・ツキモト (17)

魔法使い 得意属性【無】


魔法攻撃力 F-

魔法防御力 F-

魔法回復力 F--

魔法制御力 F

魔力回復速度 F-

魔力量 E--


Fランク


スキル欄(2)

詠唱省略(小)

デュアルアクション



EXスキル

無の加護(真・無属性)


器の欠片(2)

器の加護

マジックシェア


「これはひどい。」


DランクからFランクまで下がり、スキルも2つまでしか使えなくなっており、マルチターゲットが自動的に外されている。

魔法制御力もFまで下がっており、使える魔法もかなり限られてくる。


「早く街に帰らないと。」


俺は重い体を引きずりながら、ビギシティに向かって行った。






「帰りに魔物に見つからなくてよかった。」


元々湖が近いこともあり、魔物に見つからずにビギシティに帰還することが出来た。

門番のおっちゃんに体を引きずるように歩く姿を見られ、心配されたが、怪我していないことを確認すると、ほっとした表情をしながらも、無理するなよと言われ、ビギシティに入れてもらった。


「今日はもう動けないから……図書館にでも行ってみるか。」


神気解放から1時間ほどたって、体の重さは少し解消されたが、ステータスの半減のデメリットが無くなるまで5時間もある。

5時間も経ったら夕暮れ時だろうし、今日この後は図書館に行っていろいろと情報収集をしようと思う。

小さいがこの街に図書館があることは少し前に把握していたからな。






「1時間500ギル。図書館を出る時に払ってもらうからね。滞在時間はこのタイムカウンターと呼ばれる魔道具に記憶されるから、ちゃんと持ってなさい。」


小さな眼鏡をかけた小柄なおじいさんが1つのボタンが取り付けてある透明なプレートを取り出し、ボタンを押して俺に渡す。

ピッと音が鳴り、プレートに現在の時間が刻まれる。

俺はポケットにタイムカウンターを入れて、図書館の中へと足を踏み入れて行った。






「意外とたくさん本があるな。」


魔法についての本、あらゆる国や歴史に関する本、魔物に関する本など、様々な種類の本が大量に本棚に並べており、どれから読むか悩む。


「まずは魔法について見てみるか。」


いくつか魔法についての本を取り出し、机の上に本を置いて、椅子に座ってめくってみる。

そこには、今まで使ったことのある魔法から、知らなかった魔法、そして加護持ちの魔法創造によって生み出されたオリジナル魔法についてもいくつかのっていた。


「魔法創造……他の加護持ちはどんな魔法を作ったんだ?」


今回の1番の目的は、他の加護持ちが魔法創造によって生み出した魔法を知るためだ。それが本にのっているか分からなかったが、多くはないがのっていたため良しとしよう。


「ふーん、『雷電陣(エレキフロア)』、『重力破壊(グラビティブレイク)』、『操り人形(マリオネットドール)』、色々あるのな。」


自分の放つ魔法の強化、超高火力での攻撃、相手を操ったりと、様々な種類の魔法がある。


「これだけ多様性があるんだから、ただただ攻撃力だけを求めるってのもなー。」


俺は超級魔法が使えない。その事を知ってから魔法創造では、超級魔法も越える、火力が出る魔法を作ろうとしていたが、考えを改める。


「まてよ、魔法創造ではリソースがあればあるほど自由に魔法が作れる。そして俺はべシールから多めにリソースが与えられてる。

いっその事、効果を大量に付け足して、様々な状況で使えるような魔法を作ってみるか?」


魔法の本を閉じ、小さな声で呟く。早速後でどんな魔法を作りたいか考えをまとめてみよう。

次に国に関する本を開いて中身を見てみる。

一応一般常識的な情報は頭の中に入っているが、詳しい状態がのっているかもしれないからな。

ページをめくると、俺が今いる国の名前が出てきた。


ペティオ王国


存在する国の中で1番広く、人口が1番多い。

人口の8割が人間。

獣人たちに対する扱いが悪く、基本的にペティオ王国で出会う獣人は奴隷である。

魔法を使える人間が多く、魔法使いと戦士の比率は3対7である。

931年に獣人国との戦争が行われ、2年後の933年に戦争は終結した。結果はペティオ王国の勝利に終わり、獣人国のイファル国の3割の領地、さらに多数の獣人を奴隷としてペティオ王国に引き連れ、最も領地と人口を持った国となった。


「931年ってことは16年前か。」


今は947年だ。それにしても2年かけて戦争していたということは、戦争中に魔王が出現したということなのだが、よく戦争を続けようと思ったものだ。


「魔王が出てきて戦争どころじゃないだろうに……。

次はそのイファル国か。」


軽く溜息をつきながら俺はページをめくる。



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