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dランク


「ガァァァッ!!」


立ち上がったヒューデットが、1番前にいる俺に向かって走ってくる。


「〈集いし魔力よ〉!」


デュアルアクションを使い、2発の『マジックショット』を顔面に向かって放つ。

僅かに怯むものの、大したダメージを与えられなかったようで、タックルの姿勢で突っ込んでくる。


「動かないで、『バックショット』!」


避けようと思ったが、後ろから弓を持った女性の声が聞こえ、その直後に弓矢が飛来し、再びヒューデットを吹き飛ばす。


「援護は任せなさい。」


ちらりと後ろを見ると、目が合った俺にそう言い、さらに矢を継がえる。


「分かった!リーフ、まずは弱らせるぞ。〈さらなる力を求む〉、〈更なる魔力纏いて・爆ぜよ魔弾〉!」


「はい、〈雷纏いし雷球よ・我が意に従い・華麗に踊れ〉!」


さっきの『バックショット』で距離が開いたため、中級魔法を詠唱する時間が余裕で出来た。

あいつを弱らせるには中級魔法の方がいいと判断し、俺は『マジックチャージ』で魔法攻撃力を上昇させた『マジックボム』をヒューデットに向けて、リーフは中級雷属性魔法の『スパークショット』を詠唱し、自分の意のままに動かせる野球ボールくらいの大きさのバチバチと電撃を纏った球をヒューデット目掛けて放った。


「ガァァァッ!」


ヒューデットは起き上がるが、回避が間に合わず『マジックボム』が直撃する。

そこにリーフが電撃の球を操り、吹き飛んだヒューデットに見事にぶち当てる。


「ガガガガッッ!?」


電撃がヒューデットの全身を巡り、痙攣する。『マジックボム』のダメージと『スパークショット』の電撃により、しばらくは動けないだろう。


「ガァァァァッッ!!」


「まじかよ、これでも立ち上がるか!?」


そう思ったが、体がバチバチと痺れているが、ふらつきながらも起き上がって襲いかかってこようとする。


「『ダブルショット』」


そこに2本の矢が突き刺さり、威力が高かったのか、絶命して崩れ落ちる。

1本目の矢は、ヒューデットに突き刺さったままだが、2本目の矢は魔力でできていたのか、刺さって少し経って消滅した。


「すごい威力ですね。」


筋力のステータスが高かったのか、戦技攻撃力が高かったのか、残った1本目の矢は頑丈な筋肉の鎧を貫き、貫通していた。


「ふん、私のステータスならこのくらいなんてことないわよ。」


ふふん、と少し誇らしげに笑う。


「俺達も中級魔法でダメージ与えて弱らせたんだけどな。

まあ、いいや。とりあえず助けてくれてありがとう」


助けてもらったのは事実だし、お礼は言っておこう。


「そうだ、君達大丈夫か?」


5人の子供達に声をかける。


「は、はい、私は大丈夫です。……けど」


大丈夫だと、リリィは言うが、視線をそらす。

その視線の先にはさっきのタンク役の子がいた。

よく見ると、あちこちに擦り傷があった。


「たくさんの擦り傷が……。私が治しますね。

〈癒しの光よ〉」


タンクの子の傷を見てリーフが『ヒール』を発動し、傷を癒す。


「にしても、なんであんな量の魔物がいたんだ?」


リーフが治療をしている間、他の子供達に疑問に思ったことを聞いてみる。


「俺達、ゴブリン退治のクエストを達成して帰るところだったんだけど、あのヒューデット……だったっけ?

あの魔物にずっと追いかけられてて、途中で他の魔物にも追いかけられてさ……。気づいたらあんな量の魔物に追いかけられてたんだよ。」


つり目の少年が俺の質問に答える。


なるほど、確かに俺達も昨日ヒューデットから逃げてたら、グレイウルフに襲われたな。


「そう、怖かったでしょうね。よく頑張ったわね。」


弓使いの女性が戦闘時とは打って変わって、優しげな声で少年や、リリィ達の頭を撫でる。


「あ、自己紹介忘れてたわね。私はアリス・スレイ。

Cランクの戦士よ。得意な武器は見ての通り弓よ。」


大弓を俺達に見せながら、自己紹介する。


「Cランク……通りで強いわけだ。俺はユウキ・ツキモトだ。魔法使いでランクは……Dになってる?」


ユウキ・ツキモト (17)

魔法使い 得意属性【無】


魔法攻撃力 E+

魔法防御力 E

魔法回復力 E--

魔法制御力 D

魔力回復速度 E+

魔力量 C--


Dランク


スキル欄(4)

詠唱省略(小)

デュアルアクション

マルチターゲット


EXスキル

無の加護(真・無属性)


器の欠片(2)

器の加護

マジックシェア


自分のステータスを脳裏に浮かべると、いつの間にかEからDに上がっていた。


「ユウキさん、Dランクに上がったんですか?」


「みたいだ。たくさんヒューデットと戦闘したからだろうな。」


「ヒューデットとたくさん戦闘したってことは、あの依頼受けたの?ヒューデットの撃破クエスト。」


「ああ、スレイもヒューデットのクエスト受けたのか?」


「ええ、気をつけろってギルドマスターに言われたけど、1人でも大丈夫だったわよ。もう5体は狩ったわね。

ちょうどいい時間だし、帰ろうと思ったところであなた達と会ったの。

それと、アリスでいいわよ。」


「私はEランク魔法使いのリーフ・クレインです。

私達は2人でヒューデットの撃破クエストを受けていたのですが、1人で5体なんてすごいですね。」


「そ、そうかしら?大したことはないわよ。」


僅かに頬を赤らめながら、照れたようにアリスは人差し指で髪を弄る。


「なあ、アリスは今から帰るところだったんだよな?もしよかったら、一緒に俺達と帰らないか?

またヒューデットと遭遇するかもしれない。

それに、この子達も不安だろうし。君達もその方がいいだろ?」


コクコクと頷く子供達を見て、俺はアリスに提案する。


「ええ、もちろんいいわよ。もしヒューデットが襲いかかってきたとしても、私が倒してあげる。」


「いや、俺達もちゃんと戦うからな?」


にっこりと笑って胸を叩くアリスに、思わずツッコミをいれてしまった。


「あはは、では行きましょうか。」


そんな俺を見て笑うリーフと共に、子供達を連れてビギシティを目指して歩いて行った。






「うーむ、明らかに増えているな。それに変異種……か。」


あの後、無事にヒューデットに遭遇することなく子供達を送り届けることが出来た。子供達は冒険者ギルドでゴブリン退治のクエスト完了の手続きを終わらせると、俺達に感謝をしたあと家に帰っていった。


俺達はギルドの職員からガローギルドマスターに呼ばれていると言われ、リーフとアリスと共にガローギルドマスターの部屋に行き、ヒューデットに関する報告を行った。


「ヒューデットの撃破クエストを受け、既に帰ってきた冒険者達の情報の中にこいつとは別の変異種も発見された。

発見した冒険者によると、体格は小柄で120cmほど。そしてとんでもない脚力を持っており、とにかく足が速く逃げることが困難だったとの事だ。蹴り技を繰り出し、その威力は大木を一撃で倒したほどだと言っていた。」


「ふーん、そんなやつもいたのね。あのでかい変異種は矢が当てやすいから遠距離から攻撃すればいいけど、その速いやつは攻撃を当てるのが大変そうね。」


「俺的にはでかい変異種も攻撃力高いし、かなりタフだからあまり出会いたくないけどな。」


午前中に変異種から受けた攻撃の痛みを思い出し、腹を撫でる。痛みはあまりないが、あれはトラウマになりそうだ。


「ツキモトは攻撃を受けたんだって?大丈夫だったか?」


「まあ、なんとか。でもあれは一撃でも受けたら、やばいと思う。ここの冒険者が変異種に出会ったらやばいんじゃないか?」


「ああ、今日からクエストを受ける際にはEランク以下の冒険者は必ず2人以上で受け、さらに逃走用の閃光石を1つは持つように言うように職員達に言っている。だが、変異種なんてものも出てきたからまた対策しないといけないな。」


机の上でガローギルドマスターは頭を抱える。

そんな様子を見ていたアリスが手を挙げ、発言する。


「ヒューデットはDランクの魔物なのでしょう?であれば、Eランク以下の冒険者がクエストを受ける際は、Dランク以上の冒険者が着いていく。……というのはどう?もちろん私も協力するわ。」


「なるほど……。だが、Dランク以上の冒険者なんてこの街だとそうそういないからな。今日みたいにヒューデット撃破のクエストも明日からまた出す予定だから人手が足りなすぎるんだよな。」


「それでも命には変えられないでしょう?仕方ないと思うけど。」


「だよなー、……よし、そうするか。アイオンとキャサリンをこき使ってやろう。」


うわぁ、悪い笑み浮かべてるよこの人。


「確かツキモトもDランクになったんだよな?もしよかったら協力してくれないか?」


「んー、まあ気が向いたら顔を出すよ。ちょっとやりたいこともあるから流石にすぐは無理だが……。」


器の欠片の実験や、魔法創造でどんな魔法を作るかそろそろ決めたい。


「分かった、気が向いたら言ってくれ。

さて、今日のところは帰っても大丈夫だぞ。3人とも今日はありがとう。変異種の撃破もあったから報酬は期待してくれ。」


ギルドカードにはヒューデットの撃破数は9体だが、そのうちの3体は変異種である。その事を話したら、通常個体が1体2万ギルなのに対し、変異種は3万ギルにするとギルドマスターは言っていた。

通常個体6体×2万ギル+変異種3体×3万ギルで21万。リーフと山分けにするとして10万ギル以上貰えることになる。

いや、変異種の1体はアリスも協力してくれたから、もう少し下がるか。それでも1日10万近い稼ぎはすごいと思うが。


「ユウキなんかニヤケてない?」


「え、いやそんなことは無いぞ。」


どうやら表情に出ていたようだ。アリスに気づかれたかもしれない。







「あ、そうだ。チキンバードの解体があるんでした。」


数分後、受付でクエストの報酬を用意してもらっている最中、リーフが両手を合わせ、思い出したかのように『マジックポケット』を発動し、チキンバードを取り出す。

ちゃんと血抜きしていたためか、少し時間が経っていたが、腐っているということは無かった。


「そういえばそうだったな。すっかり忘れてた。」


「ギルドに解体をしてもらうには少し時間がかかるので、ユウキさんは先に宿に戻っていてください。」


「ああ、分かった。」


先に報酬を貰って一足先に宿に戻るとしよう。一応怪我人でもあるし。


「私も帰るわね。もうすぐ暗くなるから気をつけて帰りなさいよ。」


「はい、今日はありがとうございました。」


リーフがぺこりと頭を下げ、それを見たアリスはいいわよと、てを軽く振り、冒険者ギルドを後にした。


さーて、俺も帰るとしよう。










今回使用した戦技・魔法

ダブルショット 中級戦技

戦技攻撃力 D

戦技制御力 E+

消費魔力量 E

戦技発動速度 D

射程 D

説明

弓で弓矢を射る際に発動可能。

弓矢を射った直後に魔力の弓矢を作り出し、弓矢とほぼ同じ瞬間に飛ばすことが出来る。


スパークショット 中級雷属性魔法

魔法攻撃力 D--

魔法制御力 E-

消費魔力量 E+

射程 D-

魔法発動速度 D--

詠唱

雷纏いし雷球よ・我が意に従い・華麗に踊れ

野球ボール程の大きさの自由に制御することが出来る、雷の球を放つ魔法。

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