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子ども達


「〈我が手に宿れ・魔を滅する・光の剣よ〉!」


俺が発動した『ダークスモーク』により、黒煙の幻影を見ているヒューデットは接近したリーフに気付かず、『ライトソード』で首をスパッと切断される。


美少女が魔物相手とはいえ、スパスパ首を斬っている絵はなんだかちょっと怖いな。


「ふう、結構な数のヒューデットを狩りましたね。」


汗を拭い、『マジックポケット』から水筒を取り出しながら、リーフが呟く。


「そうだな、休憩してから結構ヒューデットが見つかったからな。これで6体目か?」


リーフの放つ『ライトソード』で首を狙えば、通常サイズのヒューデットは一撃であると分かったため、今は俺がサポート、リーフが攻撃をしている。


『ライトソード』は、強力ではあるが、1振りで消滅するし、なによりかなりヒューデットに接近しないといけないため、今みたいにヒューデットの気を引いたり、拘束しなければ、うまく首を狙えず、一撃で倒せないため注意が必要だ。


「リーフ魔力はまだ大丈夫か?」


さっきからリーフは、『ライトソード』を始め、素早く接近するために、『パワーライズ』で両足を強化したり、一撃で倒せなかった時に、素早く距離をとるために『ウィンドブロウ』を放ったりと、消費魔力量は少ないが、かなり魔法を連発している。


「んー、結構少なくなってきましたね。魔石を使いますね。」


そう言って、中級魔石を取り出し、砕いて魔力を取り込む。


「魔石で魔法攻撃力が下がった『ライトソード』でも一撃で倒せるか……?」


魔石を使うと、魔法の効果と、自身の魔法制御力が1段階低下する。故に『ライトソード』を放つとき、今まではEXスキルの光の魔法使いの補正込みで魔法攻撃力はB--だったが、魔石の効果で本来の魔法攻撃力のC++になった。


「あ、それなら大丈夫です。私の魔法攻撃力のステータスもヒューデットを倒してたら、上がっていたので。」


俺もリーフも何体もヒューデットを倒してきたため、ステータスが上がっていた。俺に関しては、もうすぐでDランクに届く程だ。


「流石に6体倒したし、ステータスも上がるか。」


「攻撃魔法たくさん使ってたからだと思いますけど、得意属性が光属性になった時から、もう2段階も上がってますよ。」


Eランクからはランクが上がりずらい。リーフは以前そう言っていた。

なのに、ヒューデットを倒すと、Eランクであるにも関わらず、どんどんステータスが上がっていく。


誰がどんな意図で作り出したんだろうな。


「まあ、ステータスが上がるしいっか。」


そういう難しいことは、冒険者ギルドに任せて、俺はクエスト達成のための仕事をしよう。


「さて、そろそろ戻るか。今から戻れば、夕方には宿に戻れる。」


今は午後3時くらい。ここからビギシティまでは、歩きで約2時間ほどだ。結構体力を使ったからペースが少し落ちることを考えて、3時間ほどとみると、今が引き返すのにちょうど良い時間帯だろう。


「そうですね、流石に外で野宿は嫌ですもんね。」


あはは、と笑いながら、リーフと俺は元来た道を引き返した。






リーフとビギシティに帰るため、来た道を戻るために歩いて2時間ほどたった。途中で何度か魔物と交戦したが、ヒューデットとは遭遇しなかった。

お陰で、1番強い魔物でもEランクのグレイウルフだから、少ない魔力で倒すことができ、魔石で回復した分の魔力だけ使い、魔法の効果の低下と、自分のステータスの魔法制御力の低下の効果が消え、『ファイアアロー』や『マジックボム』が使えるようになった。


「ヒューデットと出会わないな。」


朝に通った森の入口を通り、森の中を歩きながら、隣にいるリーフに話しかける。


「そうですね、でも今日だけでも9体も遭遇してますよね。昨日よりもかなり増えてますから、また遭遇してもおかしくないですね。」


「そうだな、また『エリアハック』で確認するか。」


見通しの悪い森に入ったため、『エリアハック』を詠唱しようとすると、何やら音が聞こえる。


「誰かが戦っているんでしょうか?」


リーフにも音が聞こえたようで、辺りを見渡す。


「あ、見てください!あそこで子供達が襲われています!」


リーフが指差す方を見ると、グレイウルフにゴブリン5体、さらに2体のヒューデット達に襲われている、中学生くらいの5人組がいた。

しかも、ヒューデットは2体ともあの2m程ある変異種だ。


「助けるぞ!俺がゴブリン達とヒューデットを1体相手する。〈さらなる力求む〉!」


本来なら逃げるべきなんだろうが、流石に子供達を見殺しにはできない。

リーフも同意見なようで頷きながら、詠唱しながらグレイウルフとヒューデット目掛けて駆けていく。


俺はまだ子供達に夢中で俺に気づいていないゴブリンの近くまで『マジックチャージ』を詠唱し、ゴブリン達の後ろから詠唱省略(小)、デュアルアクション、マルチターゲットの3つのスキルを総動員し、マルチターゲットの効果で1回り小さくなった『ファイア』を5体のゴブリン目掛けて放つ。


「「「「「ギャァァァァ!?」」」」」


マルチターゲットで魔法攻撃力が下がったが、1発目の『ファイア』は『マジックチャージ』の効果で魔法攻撃力の低下を軽減させ、デュアルアクションの効果で再び『ファイア』がマルチターゲットで5発放たれ、5体のゴブリンに直撃し、全滅した。


『ファイアアロー』を使った方が楽だったが、子供達に当たると思い、制御のしやすいが火力が心細い『ファイア』を使ったが、なんとか倒せてよかった。

『マジックチャージ』の効果もあるが、俺の魔法攻撃力のステータスもヒューデットのお陰で上がっているため、すぐに片付けることが出来たな。


「えっ……え?」


1番前でゴブリンの攻撃を木の盾で受け止めていた、他の子よりは体の大きいタンク役の子が、一瞬の出来事で目を点にしている。


「大丈夫か?」


「あ、はいっ!」


恐らく1番攻撃を受けていただろう、タンク役の全身をちらりと見る。

何かの魔物の皮でできた防具なんだろうが、あちこちボロボロだ。


「下がっていろ、こいつは俺が倒すから。」


「そ、そんなこと言っても兄ちゃんそいつめっちゃ強いんだよ!危ないぞ!」


タンク役の子の少し後ろにいた、鉄製の剣を持ったつり目の子が、焦ったように俺に言ってくる。


「分かってるよ、だが、こいつとは1度戦ったことがあるから大丈夫だ。」


といっても、リーフと一緒に戦ってなんとか勝てた相手だけどな、と心の中で思いながら、子供達に狙いがいかないようにするため、少し離れながらヒューデットの頭目掛けて『エアブレード』を放つ。


「ガァッ!」


ヒューデットはそのムキムキの腕を使って『エアブレード』を振り払う。


そういや、あの時は片腕をリーフが『ライトソード』で斬ってたんだよな。

当たり前だが、この目の前のヒューデットは両腕、両足ちゃんとある。今の攻撃で少し右腕に傷を入れたが、それだけだ。『エレキバインド』で拘束しても、拘束を破られるだろうし、相手を衰弱させる『ダークミスト』もこの距離だと俺も食らうし、その前にヒューデットが『ダークミスト』の効果範囲外に逃げてしまう。『ダークミスト』は数秒間霧の中に居ないと効果は薄くなる。


「なら、〈輝け光よ〉、〈更なる魔力纏いて・爆ぜよ魔弾〉!」


「ガァァァァ!?」


とりあえず『フラッシュアウト』で視界を奪い、そこに『マジックボム』を放つ。


ヒューデットは、光で目を抑えているところに、魔力の爆弾が直撃して爆発し、後ろに吹っ飛ぶ。


「す、すごい……。」


おそらく魔法使いであろう女の子が目をキラキラさせてこっちを見ている。


「いや、まだだ。」


通常のヒューデットもタフだが、あの変異種はさらにタフだろう。あの筋肉の鎧に『マジックボム』を当てたが、『エアブレード』を腕を振って軽減させるやつだ。

この程度で倒れてはくれないだろう。


「キャウン!」


数メートル先にグレイウルフがすごい勢いで木にぶつかり、口を半開きにして舌を出しながら絶命した。


その少し先を見ると、ヒューデットが何かを投げたような態勢で、リーフを睨みつけていた。


「魔物を投げたのか。」


同じ魔物であるグレイウルフを投げるとは、容赦ないな。


「とっさにかわしたけど、大丈夫ですか?」


リーフが『フラッシュアウト』でもう1体のヒューデットの視界を潰し、駆け寄ってきた。


「ああ、大丈夫だ。それよりリーフやっぱりあいつは1人じゃ無理だ。一緒に戦おう。」


一撃でも食らったらやばいし、なにより後ろに子供達もいる。


「はい、私もなかなか接近して『ライトソード』が使えないのでそう考えていました。」


「俺があいつの攻撃を受け止めるから、『ライトソード』の準備をしてくれ。」


1体のヒューデットは、視界を奪われ、もう1体はいくらかダメージを与え、ぶっ飛ばすことに成功した。

だが、それだけだ。やはり、リーフの『ライトソード』が1番の有効打であるため、俺がサポートしてリーフに『ライトソード』を使ってもらうしかないだろう。

リーフが1歩前に出て、『ライトソード』の詠唱を開始する。


俺が吹っ飛ばしたヒューデットが立ち上がり、その巨体を揺らしながら走ってくる。どうやら、『フラッシュアウト』の効果は切れたようだ。


「〈青く輝け・水の盾よ〉〈守りし水膜よ〉!」


リーフの目の前に、『ウォーターシールド』を1枚と『ウォーターフィルム』をデュアルアクションで2枚貼り、リーフを守る。


「ガアァァァ!!」


『ウォーターシールド』は破れ、『ウォーターフィルム』の1枚も破れるが、なんとか最後の『ウォーターフィルム』が攻撃を食い止め、僅かに動きが止まる。


「はぁっ!」


リーフは、その隙を見逃さず、『ライトソード』を横に振る。

リーフを狙い、僅かに体を低くしていたため、ギリギリリーフが首を斬ることに成功し、ヒューデットは絶命する。


「まずは1体だな。」


そう呟きながら、横を見ると、視覚が回復したらしいヒューデットが子供達向かって走っていた。


「なっ!?」


子供達が狙われないように、距離をとっていたのが仇になった。


「きゃ!?」


子供達は逃げようとするが、急なヒューデットの行動に驚き、魔法使いの女の子がコケてしまう。

拳を握ってその子にパンチを喰らわそうと、体をひねるヒューデット。


「リリィ!あ、『アームシールド』!」


1番近くにいたタンク役の子が、リリィと呼ばれる子の前にたち、焦ったように戦技を使う。

すると、腕に半透明の縦と横に50cmほどの盾が出現する。

しかし、多分あの戦技では防ぎきれないだろう。


「ダメっ!」


リーフが必死に走って手を伸ばすがもう遅い。


「ガアァァァァ!!」


「『バックショット』っ!!」


拳が当たる直前……どこからか弓矢が飛来し、ヒューデットの胸に直撃。そして、数十メートル吹っ飛ばし、木に激突した。


「え……?」


若干涙目になっているタンク役の子が弓矢が飛んできた方向を見る。俺達も驚愕し、同じ方向を見ると、軽装の大弓を構えた女性がいた。


「全く、子供を狙うなんて最低ね。

あなた達、あいつを倒すから手伝って。」


ふんっ、と鼻を鳴らしながら、俺達を見てそう言い、背中につけている矢筒から矢を取りだし、ヒューデットに狙いを定める。


「……と、とりあえず共闘しますか。」


「ああ……、そうだな。」


気を取り直し、俺とリーフは立ち上がるヒューデットを見て、詠唱を開始した。










今回使用した戦技・魔法


アームシールド 初級戦技

戦技防御力 E-

戦技制御力 F+

消費魔力量 F+

戦技発動速度 F++

説明

腕に魔力でできた、縦と横50cmほどの半透明の魔力の盾を装着する。


バックショット 中級戦技

戦技攻撃力 D-

戦技制御力 E

消費魔力量 E++

戦技発動速度 E

ノックバック D+

説明

弓矢に魔力を付与し、当たった相手をノックバックさせる。


フラッシュアウト 真・無属性ver

魔法制御力 G+

消費魔力量 G+

魔法発動速度 F--

詠唱

魔力を糧に・光を放て


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