13.陽キャとチェッコリ【2】
それからも、俺達の行動は変わらなかった。
朝スカーレットがポムの長屋に来て、駝鳥を借りて荷駝車に乗り、近隣の村を行商して回る。
精霊魔法の噂を聞いた者が、ポムに連絡を寄越してきた時は、そこに向かい、トラブルを解決する。
作物が害虫にやられて困っている村でチェッチェッコリを踊った時は、かなり驚いた。
なぜって俺は、他の曲は小学生の頃に踊った記憶があるが、チェッチェッコリは年代的に踊ったことがなかったからだ。
だが、俺の手足はと、どんなスピードになってもしっかり踊りきった。
微妙にチェッチェッコリはフォークダンスなのかどうかを、疑問に感じながら。
「ここんとこ、あの "まいまいまい" ってやつが多いよな」
ふと、昼休憩を取っている時に、スカーレットが言った。
言われてみると、確かにマイム・マイムは立て続けだ。
「つっても、選曲は俺の意思じゃないからなぁ」
「そうなのか?」
スカーレットにそう問われ、そういえば最近は "森のこびと" は半ば自分の意思でやっているが、フォークダンスは完全に憑依状態だな……と、考える。
「なんかさぁ、井戸の修理を頼まれると、 "まいまいまい" ってするよね」
ポムの指摘に、そういえばマイム・マイムはどっかの国の、水源を発見したんだか、井戸掘りに成功したんだかの喜びの曲だ……と、聞いたことがあるのを思い出した。
「曲に、なんか意味あるのかもな」
「タイガも混じって踊ってることは、俺も混じっていーんかね?」
「はあ?」
「やりたいのかよっ?!」
呆れた俺とポムを、スカーレットはむしろ「えっ、おまえらやりたくないの?」って顔をする。
「好きでやってる訳じゃないし」
「僕も、あれをわざわざは……」
ポムの発言は、衆人環視であれをやることを恥ずかしいと考える、常識的なものに聞こえるが。
恥ずかしいと分かっていて、金儲けのために俺にやらせようと最初から目論んでいたことを考えると、かな〜り腹が立つ。
が、ここは一旦、棚上げにした。
言ったところで、サラッと受け流されるのがせいぜいだと分かっているからだ。
それにしても、あの輪に加わりたいって、スカーレットは本気なんだろうか?
本当に、陽キャの考えることはワカラン。




