10.ヤクシー! セイジョ【1】
防衛都市に戻ったところで、スカーレットは首を傾げながら「よーするに、新しい相棒のおかげで、ちょっと儲けが大きくなったってことだよな」と言って、帰っていった。
もちろん、長屋まで付いてきて、ブランシュ嬢の顔を見るのを忘れずに……だ。
一方でポムと俺は、部屋で難しい顔を突き合わせていた。
「今日は、なんで直ぐに発動しなかったんだろ?」
「それは俺にもワカラン。ちゅーか、そもそも俺は精霊魔法がなんなのかも、よーワカランわ」
「今までと今日で、なんか違いがあったかなぁ?」
「いや、三回しかやったことない案件で、統計は取れないだろ」
なんて話をしてると、扉にノックの音がする。
ポムは応対に出ると、直ぐに戻ってきた。
「誰だったんだ?」
「メッセンジャー。なんか涸れ井戸を直した話が、別の村に伝わって、そっちから見て欲しいってお願いがきたみたい」
口コミの宣伝効果なんて、都会とかSNSでしか通用しないんじゃ? と俺は思っていたが、意外にも村同士の横繋がりはあったっぽい。
「でも、今日の不安要素を残したまま、続けて大丈夫かな?」
「そんなの、やってみないとわかんないじゃん。それに今日のベラさんみたく、みんな "上手く言ったら儲けもの" って思ってるだろうから、ダメでも怒られたりはしないよ〜」
相変わらずポムのノリは軽いが、この性格と応対で、村人からの信用を得ているのだろうな…と、なんとなく思った。




