表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔道具エンジニアによる異世界革命〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第五章 黄昏編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

271/274

命の回帰

 この一帯には膨大な数の遺体が埋葬されている。

 彼らがニーズの回帰邪眼で、生前の姿へ戻っていく。


 ――サリオン帝国で生きた人々だ。


 蘇った死者の多くは老人。だが時間が逆流するように、全員が若返っていく。


「ニーズ、何の真似だ。死者を蘇らせてどうするつもりだ?」


 俺は風竜の上に立つニーズに呼びかける。


「人間とは、この世界の元となった存在―― (いん)の血の一滴のようなもの。それは即ち、魔力だ」


 ニーズは答えながら、邪眼の光をさらに強めた。


「墓地のような場所で魔力が集まりやすいのもそのため」


 蘇った人々は状況も理解できないまま、年齢を巻き戻されていく。


「即ち、命を遡らせれば、最後は魔力に還る」


 老人は青年へ、子供へ、やがて赤子へ、さらにその前――魔力の塊へと還っていく。


 ニーズはそれらを一点に集める。


「人々を魔力に変える、それがここヴァルハラの役割であったな。手段は多少異なるが……魂の力、この帝国の歴史から、すべて集めてやろう」


 何十万、いや何百万もの魂が、魔力へと変わっていく。

 ニーズはその膨大な魔力を注ぎ込み、上空に巨大な魔法陣を出現させた。


「大きな力を持つ相手には――それを超える力をぶつけるまで」


 その魔法陣は幾重にも円環が重なり、死者の魔力を取り込みながら肥大していく。

 ヴァルハラの上空だけではない。市街地の上空にまで広がっていた。


「そんな規模の魔法を撃ったら、アースガルドの街まで消し飛ぶぞ」


 俺の言葉に、ニーズはためらう様子もない。


「これは大魔王同士の激突だ。国の一つや二つ、消えたところで不思議はない。それに――必要なものは、余の邪眼で蘇らせればよい」


 まずい。

 本気で、アースガルドごと消すつもりだ。


反転行列(インバートマトリクス)!』


 俺は反転の魔法陣を展開する。

 『魔法陣帰順』が応じ、陣は急速に広がる。だが、ニーズの魔法陣の規模には届かない。


「至れ、我が工房。顕現せよ――魔道具十番」


 そこで俺は、ヒトの魔力を魔王並みに押し上げる魔道具、『限界突破魔力増幅器』を呼び出す。

 蓄えられた魔力をすべて投入すると、反転行列が一気に拡張する。


 それでも――ニーズの魔法陣はそれを超えて、さらに拡大していく。


「そなたは逃げぬ。逃げれば、確実にアースガルドの中心は消し飛ぶ」


 ニーズは迷いなく言い切った。

 そうだ。アースガルドは、必ず守る。

 打開策は――


 思考を巡らせたその瞬間、地を揺らす巨躯が視界を埋めた。


 地竜だ。


 身をひねって回避した直後、今度は水竜の尾に薙ぎ払われる。さらに火竜の炎が重なった。

 これでは考える余裕もない。


 その時だった。

 地竜の側面に、横合いから衝撃が叩き込まれた。


 金色の亥人――魔王グリン。


 巨体とはいえ、地竜の半分にも満たない。だがその踏み込みは、真正面から竜を押し止めていた。


「大丈夫か、グリン?」


「ああ。地竜なんざ、ヨトゥンヘイムじゃ珍しくもねぇ。オレぁよく相撲をとったもんだ」


 グリンは一歩も退かず、押し返す。


「亥人の魔王か。都合がいい。魔力の足しにしてやろう」


 上空から、ニーズの邪眼がグリンを捉える。

 途端に、グリンの体が縮んだ。

 まずい――時間が巻き戻っている。


光の壁(ルクス・ヴェール)


 ところが、割り込んだ光が、その流れを断ち切った。

 これは聖女の神聖魔法。


「ふふ、呪いを防ぐのは聖女の専門分野よ」


「レイア!」


 振り向く。そこには、場違いなほど軽やかな笑みを浮かべた少女。セイズ状態のレイアだ。


「グリンさんから話は全部聞きましたよ。本当にプラティナス陛下が大魔王だったなんて、まさかの事態ですね。でも――」


 一歩、前に出る。


「誰であっても、アースガルドは壊させません」


 頷き返す俺のすぐ横から、灼熱の炎が迫っていた。

 今度は火竜。


大氷結(グラン・グレイシャル)!』


 そこで轟音とともに、炎が凍りついた。

 出現したのは、寅人の魔王。


「リリィ、無事だったのか?」


「当然にゃん。元々私は氷には強いにゃん。凍結なんて、温度が上がればすぐに戻るにゃん」


 火竜が氷塊に封じられていた。だが、火竜の動きは止まってはいない。内部から亀裂が走るたび、リリィは次の氷を重ねた。


「火竜は私が抑えとくにゃん。ご主人様は、やるべきことをやるにゃん」


 だが、さらに水竜の長い尾が、俺を叩き潰すように迫る。


空間⭐︎圧縮(メトリック・プレス)!』


 空間が歪む。

 水竜の巨体が、見えない壁に押し込められるように縮み始めた。


 その前に立つのは――


「師匠、無事だったか!」


 空間を渡って現れた戌人の仙人、エルマだ。


「当然じゃ。少し休んでおったがな。あのようなおぞましい魔法陣を見せられては、寝てはおれん」


 水竜は電撃を放ちながら、圧縮空間を内側から押し広げようとしている。

 純粋な魔力のせめぎ合い。


 あとは――俺の仕事だ。

『面白いかも!』『続きが気になる』と思った方、ブックマーク登録や↓の『いいね』と『★★★★★』をポチッとしていただけたら、それだけで作者は歓喜に満ち溢れ執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ