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魔道具エンジニアによる異世界革命〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第五章 黄昏編

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ウルドの抵抗

 ヴァルハラの導管が脈打つたび、ヴァルキュリエたちの装具も淡く光る。ヴァルハラとヴァルキュリエは、繋がっている。


「ただのヒトごときが、頭数をそろえたところで、魔王に敵うわけないにゃんよ!」


 リリィが床を蹴り、黒い残像を引きながら、メイド――いや、ヴァルキュリエの一人へ肉薄する。爪と槍が交わり、火花が散る。

 だが相手も速い。回転しながら槍を振り抜き、リリィの喉元を掠めた。


「なかなかにゃんけど、甘いにゃん!」


 リリィは尾で槍の柄を叩き、軸をずらす。そのまま爪で槍を弾き飛ばした。


「強行突破する。だが、可能な限り、ヴァルキュリエたちを傷つけないで欲しい」


 俺が叫ぶと同時に、グリンと巨人たちは真正面から突っ込んだ。巨体の質量で押し切るつもりだ。


「どけぇ!」


 床が割れ、地が揺れる。

 だがヴァルキュリエ五人は空中で隊列を組み替えた。背の装具が閃き、光の槍が雨のように降り注ぐ。


「豊穣!」


 グリンが大槍を床へ突き立てる。

 次の瞬間、石床を突き破って巨大な樹木が急成長する。幹が伸び、枝が広がり、空間を埋め尽くす。光槍が幹に突き刺さり、燃え上がる。

 それでも樹木の成長は止まらない。

 ヴァルキュリエたちは絡め取られぬよう飛翔し、距離を取った。


「ここはオレらに任せろ。この馬鹿でかい魔道具を壊せば、連中の力も落ちるんだろ? 先に行け。オレも魔王だ、連中に遅れはとらん」


 グリンが立ち止まり、俺に背を向け槍を構えた。


「悪いな、頼んだ」


 俺は頷き、ヴァルキュリエをグリンと亥人の一部に任せ、先へ進む。

 今は速攻でヴァルハラを止める。それが最善だ。


「儂の空間⭐︎崩壊(ディザスター)でまとめて壊してしまおうか?」


 エルマが走りながら問う。


「師匠の魔法なら、確かに壊せるだろう。だが内部の兵士たちも巻き込んでしまう」


 それは俺の隕石射出メテオ・インジェクションでも同じだ。破壊自体は可能だが、できるだけ犠牲は出したくない。


「内部へ入り、魔道具の中心核だけを潰そう」


 俺たちは中央の塔へ進軍した。

 内部には多くの兵士がいる。しかし俺たちを止めることはできない。


 その時、視界に砂嵐のようなノイズが走った。忘れもしない感覚――これはウルドの過去改変だ。

 今回は何を変えた? 俺は反射的に身構えた。


 次の瞬間、目の前に三つの凶悪な気配が現れた。


 蒼月の牙王(アズールファング)、ガルム。

 微笑の悪夢(メリーナイトメア)、メリー。

 沈黙の巨蹄(サイレントフーフ)、モレク。


 この場所を守るためだけに、三人の魔王。あり得ない布陣だ。


「大魔王には三人以上の魔王の配下がいると聞くが……それがこの三人ということじゃな」


 エルマが淡々と告げる。


 ウルドは、この瞬間に三人がここにいるように過去を改変したのだろう。

 つまり、ガルムだけでなく、メリーもモレクも、大魔王の手先だった。そして今、なりふり構わずヴァルハラを守ろうとしている。


「あらあら、魔科学術師(トリックスター)さん。ご自分で作られたヴァルハラを壊そうと? それは、駄(メー)


 メリーが冷たく微笑む。


「メリー・バフォメット……よくまた私の前に顔を出せたにゃんね。不意打ちで眠らされた借り、きっちり返すにゃん」


 リリィの瞳が怒りに燃え、紅く光る。


「エルマか。こんな場所で会うとはな。何百年ぶりだ? あぁ?」


 ガルムが低く唸る。


「ああ、ガルム。積もる話はいくらでもあるが……あいにく、お主と無駄話をする気は毛頭起きんのじゃ」


 エルマの周囲の空間がきしむ。


「ブモッ」


 モレクが地を踏み鳴らす。ヨトゥンヘイムで相対した時より、力強さを感じる。このモレクこそが、本体なのかもしれない。

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