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魔道具エンジニアによる異世界革命〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第五章 黄昏編

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ナグルファル

 こうして巨人連合軍を仲間に加えた俺たちは、アースガルドへ戻る準備を始めた。

 だが、すぐに問題が浮かび上がる。


「さすがに儂の魔力では、これだけの巨人を転送することはできん」


 エルマが視界いっぱいに並ぶ巨体を眺めて腕を組んだ。

 転送魔法は対象の質量に比例して魔力を消費する。巨人たちは体が大きい。身長が俺の三倍なら体重はその三乗だ。これが数百人。

 俺がやっても、同時に送れるのはせいぜい巨人数人だろう。魔力が回復するのを待ち、何度か往復する手もあるが、全員転送するには半年以上かかるのではないだろうか。


「さて、どうしたものか」


 俺が悩んでいると、グリンが鼻で笑った。


「簡単な話だ。船で行けばいいだろ。オレらはいつもそうしてる。巨人の力で漕ぐ舟は速ぇぞ」


 そう言って、グリンは俺たちを海岸へ案内した。

 霧の向こうに、黒い影が浮かび上がる。


「これが巨人の船、ナグルファルだ」


 それは船というより、海に浮かぶ城塞だった。

 船首は崖のように高く、側面はまるで城壁。甲板は広場ほどもある。


 グリンが胸を張る。


「こいつなら一気にアースガルドまで行ける。嵐が来ても平気だ」


 確かに、この船ならそう簡単に沈むことはなさそうだ。

 グリンの号令で、亥人と丑人たちが次々にナグルファルに乗り込んだ。

 巨人千人が乗っても、船はなお余裕を残している。


 俺たちも乗り込み、出航の時が来た。

 巨人たちは持ち場につき、一斉にオールで漕ぎ出した。

 舵を取るのは、老齢の亥人、名前はフリュムだ。

 重厚な船が、驚くほど滑らかに前へ出る。

 海面が左右へ押し分けられ、航跡が一直線に伸びていく。


 俺は甲板の縁に立ち、潮風に吹かれながら、水平線を見つめた。


 ほんの数日前まで、俺たちは少人数で動いていた。それが今は、巨人連合軍を率いている。


 誇らしさはある。だが同時に、胸の奥がわずかに重い。これだけの数を動かすということは、その責任も背負うということだ。


「考えてみれば、アースガルドを作ったご主人様が、巨人を率いてアースガルドに攻め込む形になるなんて、ずいぶん皮肉なことにゃんね。これも日頃の行いにゃん」


 リリィが甲板に腰掛け、なぜか満足そうに言い放った。


「大丈夫です」


 ミーアがきっぱりと答える。


「アースガルドの皆さんに危害を加えることは、絶対にありません。私も皆さんに何度もお願いしています。これは侵略ではなく、未来を拓く進軍なのですから」


 柔らかな声だが、信念を持っている。

 俺も頷いた。


「もともと、アースガルドの前身――アースベルでは、種族の違いを越えて共に暮らすことを目指していた。そこに、亥人や丑人が加わるだけだ」


「そうは言っても、巨大な船に千人の巨人が乗ってやってくるんにゃんよ? 普通、恐怖に怯えるにゃん。まあ、魔王としてはそれが正解にゃんけど」


 それはもっともだ。どうすれば住民たちを威圧せず、プラティナスを牽制できるか、考えておこう。

 アースガルドまでの航海には時間もある。

 そしてそれは無駄な時間ではない。

 俺にとっては修練の時間でもある。


 俺は新たに得た古代魔法を展開する。


 創造魔法(ケン)


 無から物体を生み出す力。


 続いて、革新魔法(ダエグ)


 既存の法則を反転させる力。


 エルマの指導のもと、俺は何度もこの魔法を発動し、修練を続けた。


 その間も、ナグルファルは進み続ける。亥人と丑人は交代で漕ぎ続け、昼夜を問わず、船は西へと向かっていった。

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