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魔道具エンジニアによる異世界革命〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第四章 回帰編

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アースガルドの本気

 逃げ道は人で埋まり、レイアの結界で囲まれた空間では転送魔法も使えない。

 目の前には能力全開のメイドたち。

 この状況を打開する方法は一つ、レイアの結界を突破すること。

 あれさえ破れれば、転送魔法が使える。

 魔王の魔力を全開にすれば、結界の破壊は可能だろう。

 俺は踵を返し、結界の境界へ向かって踏み込んだ。


「いけません! リバティさんを、結界に触れさせてはいけません!」


 ハルトの鋭い声が飛んだ瞬間、皆の動きが変わった。

 床を蹴った俺の進路に、即座に影が滑り込む。


「マーメイドウィップ!」


 ブルーのメイドが腕を振る。

 しなった鞭が、俺を絡め取ろうと迫る。

 俺は魔力を解放し、強引に跳躍した。


「チェックメイト!」


 だが、グリーンが投げ放った拘束用魔道具が、空中に展開された。

 落下の瞬間を、完全に狙われている。


「ホワイル・コール・リパルション・エンド!」


 俺は繰り返しの斥力で落下軌道を修正。


「オーダースラッシュ!」

「グレネイドランチャー!」


 だがそれも先読みされたように、ホワイトとレッドの猛打が迫る。


 ――強い。


 今のアースガルドは、強い。

 俺を傷つけないよう、手加減した動きなのに、俺をここまで追い詰めてくる。

 並の魔王なら、簡単に制圧できるだろう。

 ……正直、嬉しくはある。

 だが、感心している場合じゃない。

 このままでは、間違いなく捕獲される。


魔法陣複製ジオメトリック・スポーン!」


 俺は即座に斥力発生の魔法陣を三つに分割展開し、同時起動。

 メイドたちを跳ね除け、空間が強引に押し広げられる。

 このまま結界まで押し切る――

 そう判断した、その瞬間。


「面白えことになってるな!」


 その声を聞いた瞬間、背筋に緊張が走った。


 ――勇者トオル。


「トオルさん、リバティさんの動きを止めてください」


 ハルトの声が、重なる。


 次の瞬間、トオルの威圧感が変わった。

 超人勇者の身体能力が、先導者の加護で強化される。

 もはやまともに勝てる相手じゃない。


「おいユージ。力比べは三度目だな」


 トオルが、肩を回す。


「三度目の正直って、言うよな」


 踏み出したその一歩が、大地を震わせた。


「二度あることは三度ある、とも言う」


 俺は身構えつつ、一歩後ずさった。


「仏の顔も三度まで、なんて言葉もある」


 トオルが踏み込む。距離が、一気に詰まる。


「――そして、三度参りッ!」


 本能が先に警鐘を鳴らした。

 ――直撃すれば終わる。


 俺は即座に斥力を放つ三つの魔法陣を前方に叩きつける。だが、トオルの踏み込みはその力をはるかに上回っていた。

 俺は身体を捻り、かろうじてかわす。通過した拳の衝撃が遅れて炸裂し、石畳が砕け散った。

 防いだはずなのに、内臓が揺さぶられ、息が詰まる。


「うまく避けたな」


 次の瞬間、再び間合いが詰められ、トオルの声が、耳元に届く距離で響いた。

 直後、俺の魔力障壁と、トオルの拳が正面から激突した。

 衝突点を中心に衝撃波が広がり、石畳が砕け、周囲の建物の壁が軋んだ。


「皆さん、二人から距離を取ってください」


 即座に、ハルトの指示が飛ぶ。

 周囲にいた者たちは迷いなく後退し、円を描くように距離を取った。

 二人の衝突に、無関係な犠牲が出ないようにするための判断だ。


「リバティさん」


 ハルトの声は、驚くほど穏やかだった。


「もう十分です。これ以上抵抗する必要はありません」


 その言葉に、敵意はない。

 本気で、俺を守ろうとしている声音だった。

 だが――ここで止まるわけにはいかない。

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