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魔道具エンジニアによる異世界革命〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第四章 回帰編

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アースガルドへの帰還

 二週間ぶりに、俺たちはアースガルドへ戻った。

 そこまで長期の不在ではなかったはずだが、俺が突然姿を消したことに、国内は思いのほか騒ぎになっていた。

 俺が姿を現すと、視線が集まり、ざわめきが走る。俺の帰還はすぐに広まり、情報が行き渡るのに時間はかからなかった。


「リバティさん、無事に戻られて本当に良かったです」


 真っ先に声をかけてきたのはハルトだった。


「最近、少し具合が悪そうでしたから……正直、心配していました」


 非難も、打算もなく、ただ純粋に俺の無事を喜んでいる声だった。

 だが、落ち着く暇はなかった。ほどなくして、宮廷の使者が現れる。

 現皇帝――プラティナスからの呼び出しだった。


 俺はハルトたちとともに、そのままサリオン城の謁見の間へと向かう。


 玉座に腰掛けたプラティナスは、俺の姿を認めると、静かに口を開いた。


「リバティよ。勝手に国を空けるのはいかがなものか」


 玉座に腰掛けたプラティナスは、責めるでもなく、穏やかな声でそう言った。


「それとも、何か待遇に不満でもあるのか? そなたは国の宝だ。負担が大きいなら減らそう。人手が要るなら、いくらでも手配する。必要なものは何でも用意しよう」


「なんでも用意してくれるなら……たまに、ふらっと旅に出る自由くらいは欲しいな」


 俺の返答に、プラティナスはふうと小さく息を吐いた。


「……まあ、確かにたまには息抜きも必要か。だが、どこへ行っていた?」


「魔王ガルムを討伐した、勇者と聖女の行程をなぞっていた」


「ほう」


 その言葉に、プラティナスの眉がわずかに動いた。


「ノースベルでガルムを退けた後、勇者と聖女が、さらにガルムを追って侵攻した地まで行ってきた」


「……なんと。まさか、あの極寒の地――ニブルヘイムか?」


 プラティナスが大げさに驚くように反応する。


「そうだ」


 俺は頷いた。


「勇者と聖女が魔王ガルムを追って侵攻した、ニブルヘイムだ」


 プラティナスは、特に訂正しなかった。

 その反応を見た瞬間、胸の奥で何かが噛み合った。

 俺は、そのまま話を進める。


「俺はその行程をなぞった。ニブルヘイムにあるガルムの城にも足を運んだ。だが、城はもぬけの殻だった」


「……そうか。無駄足であったのだな」


 短い相槌。

 俺はそこで、静かに言った。


「だが――この説明にはおかしい点がある」


 プラティナスの視線が、わずかに揺れる。


「プラティナス陛下は、勇者と聖女がガルムを追って侵攻した地を、ニブルヘイムと答えた。だが、実際には違う」


 俺は、はっきりと断言した。


「二人は、ガルムを追い出した後、ノースベルに留まっている。ニブルヘイムには――行っていない」


 しばしの沈黙。

 今のこの世界では、トオルとレイアはニブルヘイムに侵攻しなかった。これは事実だ。


「おお、そうであったな。余の勘違いであった」


 プラティナスはそれが些細な間違いであるかのように訂正した。


「それは、本当に勘違いでしょうか? ノースベルからニブルヘイムまでは、馬で一ヶ月以上の道のり。空間転移のできる賢者でもいなければ、なかなかニブルヘイムまで進行しようとは思わないはず」


 俺は、一歩踏み込む。


「だが、プラティナス。あなたは、さっき、それが当然であるかのように答えた」


「……」


 俺は、視線を逸らさずに言葉を続けた。


「それはつまり――

 あなたが、『書き換わる前の世界』を知っていたからじゃないのか?」


「リバティよ」


 プラティナスは、ゆっくりと息を吐いた。


「……何を言っているのだ?」


 声は落ち着いている。

 だが、答えるまでの不自然な間――俺は、そこで確信した。

 世界の書き換えによって得をしたのは、魔王ガルムだけじゃない。


「俺はこれまでに二回、過去の書き換えを経験した。過去が書き換えられた結果、ガルム以外に都合の良い人物がもう一人いる」


 俺は、断言した。


「それが、あなたです。プラティナス」


「……まるで話が見えぬ」


 俺は、一つずつ指を折って説明を続ける。


「書き換わる前の世界で、俺は元首だった。だが今、その座にはあなたがいる」


 一拍、置く。


「そして、不自然な点はもう一つある。俺の師であり、世界の理を知っていたエルマは消えた。その空白に、うまくあなたが収まっている。まるで――書き換えられた過去の辻褄を、丁寧に合わせたかのように」


 プラティナスは、黙ったままだ。


「そして――もし、あなたが、書き換えられる前の世界を知っているのであれば――」


 俺は視線を外さず、言い切った。


「それは過去の書き換えの主犯であることになる」


 重い沈黙が落ちた。

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