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エンジニアによる異世界革命はじめました〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第三章 強国編

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『軍』の競技

 司会が前に進み出て、場内に向かって競技の説明を始めた。


「さて、本日の試合は、これまでの競技とは異なり――団体戦となっているのでございます!」


 観客席から小さなどよめきが起こる。


「両国の代表であるミーア様とハルト様には、それぞれ六名の仲間――いわば『駒』となる戦士たちを率いていただきます」


 シレーヌは、種別ごとに指を立てながら説明を続けた。


「駒の内訳は以下の通りでございます」


・ナイト 2名

 剣による攻撃が許可された剣士。

 剣などの武器は、このナイトにしか使えない。


・ビショップ 2名

 魔法を使用することが許された術者。

 魔法攻撃や回復魔法の使用は、このビショップにのみ許可される。


・ルーク 2名

 盾を用いることが許された守備専門の兵士。

 盾の使用は、ルークだけに許可される。


「以上、ナイト、ビショップ、ルークの三種六名を従えるかたちとなります。なお、この駒たちは明確に役割が定められており、自分の役割以外の行動は禁止されております。例えば、剣士が魔法を使うことや、魔導士が盾を持つことは許されないのでございます」


 観客たちも頷きながら耳を傾けている。


「さらに注意点として――これまでの競技に出場された選手、これからの競技に出場する予定の選手たちは、この試合の駒として参加することができないのです!」


 そこで説明はデュビュネ方に引き継がれた。


「さて、ミーア様とハルト様には、この六名を指揮していただくのです。お二人の役職は――キングになるのです」


 係員が、慎重に小さな王冠を二人の頭に載せる。


「キングには、基本的に行動の制限はありません。剣を取って戦うも良し、魔法を行使するも良し、味方の防御に回るも良し。自由に動いていただいて構わないのです」


 ここで、デルピュネの口調がやや引き締まる。


「ですが――重要なルールがあるのです。キングの証であるこの冠が奪われた瞬間、その陣営の敗北が決定するのです!」


「つまり、キングがいかに自由に動けたとしても、『冠を守ること』こそが最も重要な使命であるということ。逆に言えば、駒たちをどう動かし、どう自分を守らせるか……その指揮力と戦術が問われる試合なのでございます!」


「とーっても、わかりやすいルールなのです!」


 と、最後はデルピュネが明るく締めくくる。


 ――チェスから、ポーンとクイーンを抜いた感じだな

 ――結局、全員倒せば勝ちだな。

 ――ミーアちゃんならきっと瞬殺なの!


 ――つまり、行動制限のないミーアは、邪眼を使っても良いということだ。これはこちらの強力な武器になる。

 ただし、キング自身がどれだけ強くても、冠を失ったら即終了。

 これは単なる力比べではない。限られた戦力で、いかに局面を見極め、適切な指示を下すか。

 知略と判断力が問われる、戦術の試合でもあるのだ。


「それでは、両陣営の『駒』となる戦士の皆さん、ご入場くださいなのです!」


 司会の合図とともに、まずはサリオン帝国の陣営から六人の戦士たちが姿を現す。

 見た目にも精鋭揃い。鋭い目つきの剣士ナイトたちに、堂々とした風格の魔導士ビショップ、そして重装歩兵のルーク。どの者も鍛え上げられた身体に、場慣れした雰囲気を漂わせている。


 続いてアースベル陣営。

 ナイトとして前に出たのは、ハンツと寅人の戦士サーベル。ビショップには、巳人のコブラと、ネイク。ルークには、モーリスと、腕っぷし自慢の寅人戦士アムールが加わる。


 顔ぶれだけを見れば、アースベルのほうが強そうだ。巳人の魔法は強力だし、寅人の身体能力は申人より遥かに高い。対して、サリオン帝国側は手練れとは言え、全員申人だ。

 だが――冷静に見ると、こちらの戦力に凹凸があるのも事実だった。


「なあ、兄ちゃん。正直言って、俺たちで大丈夫なのか?」


 モーリスが不安げに呟く。


「さあな……でも、俺たちは自警団のツートップ。ミーア嬢をお守りする仕事と聞いたら、やるしかないだろ」


 ハンツトとモーリス、彼らは自警団の『自称』ツートップ。俺から言わせれば実戦経験がまだまだ足りない。それでも、ミーアとの信頼関係でエントリーされている。


「最後に言い忘れておりましたが、このステージから落ちた場合は失格となるのでございます。駒の方が落ちた場合、再びステージに戻ることはできません。キングの方が落ちた場合、その時点で敗北が決定しますので、ご注意ください」


 チェス版のようなステージの上には、それぞれのチームのキングと駒たち、合計十四名が配置された。


「それでは、いよいよ『軍』の競技の開始、でございます!」

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