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エンジニアによる異世界革命はじめました〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第三章 強国編

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偉大なる大会

 俺はハルトたちと競技の詳細をすり合わせた。そして、国の命運を賭けたこの一大イベントには、仰々しい名が与えられた。


 偉大なる大会(ギンヌンガ・カップ)――。


 この名称は、アースベルやサリオン帝国を含むこの大陸の名、偉大なる大地(ギンヌンガ・ガルド)に由来する。神話の中でも語られているその名を冠することで、この競技会に歴史的な重みが加わった。


 サリオン帝国の一行が帰国した後、俺は早速アースベルの主要戦力たち――リリィ、エルマ、ミーア、ビャコウを会議室に集めた。


「これが……大会の正式な名称と、決まった内容だ」


 国を賭けた勝負。責任の重さに空気が重くなる。まず口を開いたのはエルマだった。


「……本当に、勝てるのかのう?」


 静かに眉をひそめる彼女の目には、不安が宿っていた。


「大丈夫だろう。かつてサリオン帝国はヘルヘイムの魔王軍に押されていた。あのとき魔王軍を食い止めたのは俺たちなんだ。勝てるさ」


 リリィもその言葉に重ねる。


「ふふ、そしてその魔王軍のトップは今ここにいるにゃんよ」


 尖った耳をぴくりと揺らして、挑発的に笑う彼女の目には、自信が宿っている。


「まあ、戦力的には、うちのほうが優勢かもしれん。だが……」


 楽観的な俺たちとは対照的に、エルマは冷静に呟いた。


「百億ルーン。それだけの金を賭けてくる以上、とても無策とは思えんのじゃ」


 言われてみれば確かに、あのハルトが無謀な勝負を仕掛けてくるとは思えない。


「気を抜けば足をすくわれるかもしれないな。皆、慎重に偉大なる大会(ギンヌンガ・カップ)に挑もう」


 俺はそう言いながら、手元の競技種目表に目を落とす。


「種目は五つ。知・技・軍・魔・力。それぞれの国から、代表選手五人が一人一回ずつ出場する。つまり、同じ選手が複数の種目に出ることはできない。これがルールだ」


 皆を見渡して俺は続ける。


「そして――アースベルの代表は、俺、リリィ、エルマ、ミーア、ビャコウ。この五人にお願いしたい」


「……まあ、この国に他に強そうなコマはいなそうにゃん。最善の布陣と思うにゃん」


 リリィがニヤリと笑う。当然であるかのような口ぶりだ。


「ただ、全部が戦いってわけじゃない。たとえば『知』の種目は、純粋な知恵の勝負になるらしい」


「知恵比べか。ならば、それは儂が請け負うとしよう」


 エルマが、すっと手を上げる。


「何せ儂は、賢者だからのう。知を司る者として、敵に無知の恥を教えてやるとしよう」


 確かにこの国で、彼女以上の知識を持つ者はいないだろう。


「他の種目も、それぞれの得意分野に応じて、出場をお願いしたい。サリオン帝国側の出場者はまだ発表されていないが……」


 俺は再度全体を見渡し、言葉に力をこめた。


「特に警戒すべきは、異世界からの転移者たちだ。

トオル、ハルト、そして、ウル。彼らは一筋縄ではいかない相手だと思う。気を緩めずに行こう」


「承知。我が剣にて、敵の心ごと砕いてご覧にいれますぞ」


 威風堂々たる佇まいで、ビャコウが拳を握りしめる。


「ふふん、どんな種目だろうが、この私が負けるはずがないにゃん」


 リリィは余裕の笑みを浮かべている。彼女の力は絶大だが、慢心はやや怖い。


「わわわ、私は……その、闇の衝動に負けないように気をつけながら、精一杯、がんばりますっ!」


 ミーアもあたふたしながら決意を見せる。

 俺は彼らの顔を順に見つめ、ひとつ頷いた。

 アースベルの五強。その実力は俺が一番よく知っている。


 さて、出場選手が決まったところで、次は配信インフラの整備だ。

 ウルの持っているような高性能な配信機器は、俺には作れない。が、アルミニウスが遺した記録魔法、その仕組みを応用すれば、映像を魔道具で記録し、転送先で再生する仕組みなら作れるはず。

 俺はすぐさま作業に取り掛かった。

 記録用の魔道具と、再生用の魔道具を数十台製作し、アースベルの周囲の各国に送る手配を進める。


 さらに、会場の整備も進めた。競技場をデズミーランド内に新設。観客席も整備し、大会を格式高いものにするため他国の要人たちにも招待状を送った。

 すると、西のヴァナヘイム、北のニザヴェリル――どちらの王も、なんと直々に来訪してくれるという返事が届いた。

 これは、新しいこの国、アースベルに相当興味がある証拠だ。

 そして……いよいよ始まる。アースベル対サリオン帝国、五番勝負。

 これは、大金……じゃなく、国家の運命を懸けた、決戦の舞台だ。

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