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俺、絶好調!

 それから俺は毎日『スライムホイホイ』を作り続けた。コツさえ掴めば一台作るのに一時間もかからないくらいだ。寝ている時間以外、とにかく毎日作り続けた。

 そしてニヶ月後、俺が発明した『スライムホイホイ』はハルトの商会を通して合計千台ほど売れ、俺は一億ルーンほどの大金を手に入れた。この額は、独り身で贅沢さえしなければ、この世界で実に一生暮らせるくらいのものだ。万歳!

 そして、千台の『スライムホイホイ』が毎日スライムを倒し続け、その倒したスライムの経験値がすべて俺のものになるため、俺のレベルはなんと二十まで上がっていた。


 [名前] リバティ・クロキ・フリーダム

 [レベル] 20

 [クラス] ヒト

 [職業] 魔道具師

 [体力] 120/120

 [魔力] 90/90

 [魔法] 小火炎

 [加護] 毒耐性


 スライム一匹の経験値は決して多くないが、千人でひたすらスライムを倒し続けているようなものなので、俺のレベルは面白いようにどんどん上がっていく。

 ちなみに、レベル二十というのはかなりの強さで、大きなグリズリーも素手で倒せてしまう程度だ。屈強な帝国兵といえど、レベル二十を超えている者はそうそういない。

 そして、手に入れた資産の一部を使って新しい魔道具の開発にも成功した。それが、魔道具ニ号『魔法充電器』。電撃を発する魔道具を加工して作った充電器だ。俺は元の世界から来る時に、スマホとパソコンを持ってきていた。この世界では、通信機能は使えないが、どちらも起動して動作はする。ただ、充電ができないため、バッテリーが切れて今は使い物にならなくなっていた。しかし、魔道具ニ号によってその問題が解決する。スマホもパソコンも、どちらも素晴らしい計算機だ。何せ、一秒間に十億回以上計算ができるんだぜ。計算に関しては人間なんて全く太刀打ちできない。写真も動画も撮影できるし、俺ならパソコンで新しいスマホアプリも開発できちゃう。これらは今後俺が新しい魔道具を開発する上で強力な武器になるに違いない。


 俺、絶好調!


 同期組との食事でも、『スライムホイホイ』の話題で盛り上がった。


「さすがだな、エンジニア。ものを作らせたら右に出る者はいないな」


 とトオルが素直に感心している。


「私の医院に来る患者さんも、スライムホイホイの話をよくしています。農作業が楽になったって」


 とレイアも加わる。


「本当に驚きましたよ。今やリバティさんの『スライムホイホイ』は大人気商品です。夜中にスライムに大切な作物を荒らされてしまった経験がある人たちが、こぞって買っていきます。品薄で値段も上がってきているんですよ」


 とハルトが続けた。


「手作りだから、一日に作れる数が限られているんだよ。工場みたいなラインが作れればもっと効率よく作れるけど、この世界ではそれもまた一つの発明だしな」


 俺は淡々と話す。すると、トオルが笑いながらこう言った。


「しかし、ニヶ月で一億ルーン稼いだのは凄いな。これからもどんどん稼ぎ続けるんだろ。大金持ちしゃねえか。これは、今日はお前のおごりかな!」


 それに対し、俺は無表情で答えた。


「何言ってるんだ。おごるわけないだろ。稼いだお金は次の開発資金に使うし、余った分は未来のために貯金だ」


 ……


 俺にとって、金は命よりも大切だ。無駄遣いなどするはずがない。俺がさも当然かのように言うと、場に微妙な空気が流れた。


「あ、そうだ、リバティさん、気をつけておいた方がいいことが一つあります。この国では、まあ、どこの国でも大体そうですが、売上に対して税金がかかります」


 ハルトが、思い出したように税金について説明する。


「うちの商会みたいな流通業者は、税金が利益に対して一律でかかりますけど、製造業者の場合、物の種類によって税率が変わるんです。結構高くなることもあるので、注意しておいてください。魔道具の場合、どれくらい税金がかかるかは、私の方でも調べておきましょう」


 税金か……正直、払いたくないけど、まあこればかりは仕方ないか。


 食事代はきっちり割り勘し、滞在先に帰る。不要な支出は一切したくないが、世話になっているオージンさんとリッグさんには少し還元した方が良いかもしれない。

 それにしても最近の俺は凄い。同期組の俺に対する目も確実に変わってきたと思う。ああ、この感覚、何て気持ちが良いのだろう。


「絶ッ好調ォ〜♪」


 一人で俺絶好調ダンスを踊っていたその時、城から呼び出しがかかった。皇帝直々に話があるという。俺の活躍に気づいて、何か褒美をくれるのだろうか? 翌日、城に向かう道中、俺の頭の中には様々な期待が渦巻いていた。

人生で一度くらい、こんなふうに絶好調になって調子に乗りたいものですね……


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