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愛のしわざ

作者: みちる

記念日に休みをとれたよ、と伝えたら満面の笑みで喜ぶキミは愛おしい。

連休で取れるとは思ってなかったけどその笑顔をみるために本当に本当に頑張ったと思う。



「それって愛のちからじゃない?」


「えー……ぼくの努力の結晶かも」



そんなふわふわしたものじゃなくない?

愛にちからがあるってどこにあるの。ぼくには見えないんだけど。



「努力を愛のちからにとられるのは嫉妬する」


あるとするならキミとぼくの間にあるものがいい。

だって一方通行はちょっと悲しい。ぼくの場合は。

無償なのが本当の愛だなんて思ってない。



「コーヒー飲む?」


「飲む。ありがとうー」


マグカップを置いて水を用意して、カプセルのコーヒーをセットしてボタンを押すだけ。

こういう簡単なのだって愛の仕業じゃなくてただのぼくの愛でしょ。



「たとえば、」


キミの好きなような服装。髪型。

素のままで愛されたいとか思ってないし、デートのときはキミだってぼくの好きなテイストの服をわざわざ選んでくれてるって知ってる。

キミを構成するたくさんのひとつが特にお気に入りってだけだから違っててももちろん可愛いけど。

でも、それでもぼくの好きに寄りそってくれてるでしょ。



「好きな子の前では素敵に見られたいとかそういうの。自惚れてくれるくらいにはしてるつもり」


「まあそう……かな?」


疑問系なのはともかく。

そんなのって努力でしかない。無意識下であっても。

愛がないってのだって努力不足でしょってこと。


一番っていえるキミに愛されたいから時間だって作るし。

そんなあやふやな愛のちからとやらに努力を奪われたくない。

頑張った証拠の結果でしょ。



「でもさぁ、そんな面倒で難しいふうに考えなくても好きだから喜んでくれたらいいな~でいいじゃん」


相手に優しくするのと尊重するのって微妙に違うからねぇ、とぼくの好きなお菓子の買い置きを出してくれた。



「ほら嬉しそう」


「……ぼくを想って用意してくれてるのわかるから」


「そうそう、そんな感じ。それを愛が持つちからっていう」


「キミの努力じゃなくて?」


「愛のちからって、愛はなにもしてくれないけど行動する原理になることかなぁ」


ふわふわした理論。

でも別に口論したいわけじゃないし。

キミが言うならそうかもしれない。


そうやって価値観をすり合わせていくのはちょっと……かなり好きかも。



「まぁ行動でも好きってのが伝わってるならいいよ」


「それが愛のちからじゃん」


「一周したんだけど」



お互い笑いながらコーヒーを手にとって牛乳を足して。

なんでもない時間に特別な日の予定を決めて過ごそうか。

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