第9話 スライムの秘密、導きの光
「こ、こいつ…一体、何が…?」
俺は、唖然として、ブルーの姿を見つめていた。
小さなスライムだったブルーが、ウルフをいとも簡単に溶解させてしまったのだ。
一体、どんな能力が秘められているんだ…?
「…おい、セプティム」
フィンが、信じられないという顔で、俺に近づいてきた。
「あのスライム…一体、何なんだ…?」
「俺にも、よくわからないんだ…」
俺は、首を傾げた。
確かに、俺は、スライムを生成した。
だが、こんな強力な能力を持っているとは、予想もしていなかった。
「もしかして…ブルーは、ただの、スライムじゃないのかも…」
俺は、ブルーをじっと見つめた。
ブルーは、巨大化した体を元に戻し、俺の足元で、プルプルと震えている。
その姿は、相変わらず、愛らしいスライムだった。
だが、その小さな体には、計り知れない力が秘められているのかもしれない。
「…とにかく、あの液体を調べねぇとな」
フィンは、溶解したウルフが残した跡を指差した。
そこには、ほんのりと甘い香りが漂う、無色透明な液体が、わずかに残っていた。
俺は、その液体を、小さな瓶に採取した。
「フィン、何か、心当たりはないか?」
俺は、フィンに瓶を見せた。
フィンは、瓶を手に取り、まじまじと観察した後、首を傾げた。
「…見たことも、嗅いだこともねぇな。だが、この魔力は…尋常じゃねぇ」
フィンは、目を細めて、ブルーを見つめた。
「セプティム、お前、もしかして、とんでもない魔物を、作っちまったんじゃねぇか…?」
フィンの言葉に、俺は、背筋がゾッとするのを感じた。
最強の魔物メーカーを目指す俺は、一体、どんな存在を生み出してしまったのか…?
それから数日間、俺たちは、ブルーの能力を分析しようと、あらゆる手段を試みた。
基地に残されていた魔導書を読み漁り、錬金術の知識を総動員し、フィンの乏しい魔界の知識にも頼ってみた。
しかし、ブルーの能力の正体は、一向に解明できなかった。
「くそっ…一体、どうなってるんだ…?」
俺は、頭を抱えて、ため息をついた。
ブルーは、相変わらず、元気いっぱいに基地内を跳ね回っている。
その姿は、本当に、ただの可愛いスライムにしか見えない。
だが、あのウルフを溶解させた力は、紛れもない事実だ。
「…待てよ、セプティム」
フィンが、何かを思い出したように、目を輝かせた。
「このダンジョンの奥に、強力な魔力が渦巻いてる場所があったのを、思い出したぜ!」
「強力な魔力…?」
「ああ。昔、盗賊団にいた頃、その場所を見つけたんだ。でも、強力な結界が張られてて、中には入れなかった。もしかしたら、ブルーの能力と関係があるかもしれねぇ」
フィンの言葉に、俺は、わずかな希望を感じた。
もしかしたら、その場所に、ブルーの秘密を解き明かすヒントがあるかもしれない。
「よし、じゃあ、早速、行ってみよう!」
俺は、意気揚々と立ち上がった。
ブルーも、俺の足元で、嬉しそうに跳ねている。
「おいおい、セプティム。焦るなよ。ダンジョン探索は、危険がいっぱいだ。しっかり準備してから行くぞ」
フィンは、俺を落ち着かせながら、言った。
「ああ、わかってるよ」
俺は、フィンの言葉に、頷いた。
最強の魔物メーカーへの道は、決して平坦ではない。
だが、俺は、ブルーとフィンと共に、どんな困難にも立ち向かう覚悟だった。
俺たちの冒険は、まだ始まったばかりだ。