第7話 小さな相棒、大きな可能性
一部修正させていただきました。
「やった…成功だ!」
俺は、思わずガッツポーズをした。
フィンも、驚いたような顔で、スライムを見つめている。
「おいおい…本当に、作っちまったのか…?」
「ああ、作ったぜ! これぞ、俺の力だ!」
俺は、胸を張って答えた。
最強の魔物メーカーへの道は、ようやく、第一歩を踏み出したのだ。
しかし、その喜びも束の間、俺は、魂石から微かに感じられる異変に気付いた。
それは、まるで、何か不吉なものが近づいてくるような、嫌な予感だった。
「…おい、フィン。なんか、嫌な感じがするんだけど…」
俺が不安そうに言うと、フィンも、真剣な顔で頷いた。
「ああ、俺もだ。ダンジョンの奥の方から、妙な魔力の流れを感じる…」
フィンは、鋭い眼光で、基地の入り口を見つめた。
「…用心するに越したことはない。何か、対策を考えねぇとな…」
「ぷるぷる…」
俺の足元で、小さな青いスライムが、嬉しそうに跳ね回っている。
生まれて初めて、自分の手で作り出した魔物。
それは、最強の魔物とは程遠い、最弱のモンスター、スライムだった。
それでも、俺にとっては、この上なく愛おしい存在に思えた。
「よしよし、いい子だ」
俺は、スライムを優しく撫でた。
スライムは、気持ちよさそうに、俺の手に体を擦り寄せてくる。
「おいおい、セプティム。スライム相手に、デレデレしてんじゃねぇよ」
フィンは、呆れたように言った。
「うるさいな、フィン。お前には、この感動がわからないだろう」
俺は、フィンを睨みつけた。
「ったく…しょうがねぇな。で、そのスライム、名前はどうするんだ?」
「名前…か」
俺は、スライムをじっと見つめた。
プルプルと震える、小さな体。
透き通るような、青い輝き。
そして、何よりも、俺に懐いている、その純粋な心。
「…そうだ、ブルーってのは、どうだ?」
「ブルー…か。まあ、悪くねぇな」
フィンも、スライムを覗き込みながら、頷いた。
「よし、決まりだな! ブルー、これからよろしくな!」
俺は、ブルーを両手で抱き上げ、高々と掲げた。
ブルーは、嬉しそうに、体を揺らしている。
「ぷるぷる!」
その様子を見て、フィンも、思わず笑みをこぼした。
「…ったく、お前も、変わったやつだな」
「そうか? ブルーは、俺の大切な相棒なんだ」
俺は、ブルーを優しく抱きしめながら、言った。
最強の魔物メーカーへの道は、まだまだ始まったばかりだ。
だが、ブルーという、かけがえのない相棒を得たことで、俺は、確かな手応えを感じていた。
この小さなスライムが、いつか、最強の魔物へと進化する。
そんな未来を想像して、俺は、ワクワクする気持ちを抑えきれなかった。
その時だった。
基地の入り口から、けたたましい音が響き渡った。
「ドガァァァン!!」
何かが、基地の扉を、力づくで破壊したようだ。
「な、なんだ!?」
俺とフィンは、顔を見合わせた。
土煙が舞う中、入り口に、巨大な影が浮かび上がってきた。
「グオオオオッ…!」
それは、鋭い牙と爪を持つ、巨大な魔獣だった。
その目は、血のような赤色に輝き、全身から、禍々しいオーラを放っている。
「こ、これは…!」
俺は、息を呑んだ。
こんな強力な魔物は、今まで見たことがない。
フィンは、ゆっくりと剣を抜きながら、静かに呟いた。
「…やべぇな。これは、一筋縄ではいかねぇぞ」
基地に、不穏な空気が漂い始めた。