第6話 試行錯誤と希望の光
「よし、じゃあ、まずは、この魔石を使ってみよう!」
俺は、意気揚々と、赤い光を放つ魂石を、作業台の上に置いた。
それは、フィンが、ダンジョンの奥深くで見つけてきた、貴重な代物だ。
「おいおい、セプティム。いきなり、そんな高そうな魂石を使うのか?」
フィンは、少し心配そうに言った。
この魂石は、一般的なものよりも、はるかに強力な魔力を秘めている。
もし、また魔物生成に失敗したら、基地全体が吹き飛んでしまうかもしれない。
「大丈夫だって! 今度は、絶対に成功させてみせるよ!」
俺は、自信満々に答えた。
前回の失敗から、俺は、魔物生成について、徹底的に研究した。
羊皮紙を読み込み、魔法陣の構造を分析し、魔力の流れをシミュレートした。
そして、ついに、失敗の原因を突き止めたのだ。
「問題は、魔力の制御にあったんだ」
俺は、フィンに説明した。
「魂石から放出される魔力は、想像以上に強力で、不安定なんだ。だから、俺の魔力が、それに負けて、制御不能になってたんだ」
「なるほど…それで、どうするんだ?」
「簡単なことさ。俺の魔力を強化すればいいんだ!」
俺は、ニヤリと笑って見せた。
この数日間、俺は、魔力の鍛錬にも励んでいた。
フィンの指導のもと、ダンジョン内で魔力の流れを感じ取り、自身の魔力をコントロールする訓練を繰り返したのだ。
「見てろよ、フィン。今度は、絶対に成功させてみせる!」
俺は、魂石を台座にセットし、魔法陣を起動させた。
魂石から、赤黒い光が放たれ、基地全体が、不気味な音に包まれる。
しかし、今回は違う。
俺の魔力は、魂石のエネルギーに負けることなく、しっかりと制御できている。
魔法陣の中央で、光が渦を巻き、新たな生命が誕生しようとしていた。
「よし…このまま、いける…!」
俺は、集中力を高め、魔力の流れをコントロールする。
やがて、光が収束し、魔法陣の中央に、小さな影が現れた。
「…できた…のか?」
俺は、息を呑んで、その影を見つめた。
それは、小さな、青いスライムだった。
しかし、前回の失敗作とは違い、このスライムは、しっかりと形を保ち、プルプルと元気に跳ね回っている。
「やった…成功だ!」
俺は、思わずガッツポーズをした。
フィンも、驚いたような顔で、スライムを見つめている。
「おいおい…本当に、作っちまったのか…?」
「ああ、作ったぜ! これぞ、俺の力だ!」
俺は、胸を張って答えた。
最強の魔物メーカーへの道は、ようやく、第一歩を踏み出したのだ。