第46話 伝説の魔物、その名は
「…人間界への侵攻なんて…許せない…!」
アジトからの脱出に成功した俺たちは、怒りをあらわにするフィンの言葉に、深く頷き合った。冥府の使徒の恐るべき計画を、このまま見過ごすわけにはいかない。
「…でも、一体どうすれば…?僕らじゃ、あいつらには…」
フィンの言葉に、俺もまた、歯がゆさを感じていた。確かに、今の俺たちの実力では、冥府の使徒に真正面から立ち向かうことは無謀だ。
「…いや、諦めるのはまだ早い!何か、僕らにもできることがあるはずだ!」
俺は、拳を強く握りしめた。そうだ、諦めるわけにはいかない。冥府の使徒を倒す方法を、必ず見つけてみせる。
「…まずは、ギルドマスターに報告だ。何か、情報を持っているかもしれない」
俺たちは、冒険者ギルドへと急いだ。
ギルドマスターの執務室は、重厚な木の扉に守られ、厳かな空気が漂っていた。扉を開けると、ギルドマスターは、山積みの書類に目を通しながら、ため息をついていた。書類の横には、古い傷跡が残る、使い込まれた剣が置かれている。
「…なんだね、セプティム君たちか。報告は聞いたよ。ご苦労だった」
ギルドマスターは、顔を上げると、疲れたように言った。
「…ですが、このままじゃ、魔界も人間界も、あいつらの好きには…」
俺は、食い気味に訴えた。
「…わかっている。だが、冥府の使徒は、君たちが想像する以上に、強大な敵だ。軽はずみな行動は、命取りになるぞ」
ギルドマスターの言葉は、重く、俺の胸に突き刺さる。
「…そんな…!」
思わず、声が荒くなる。目の前の書類を掴もうとした手が、震えているのがわかった。
「…セプティム…」
フィンが、心配そうに俺の肩に手を置く。その視線を感じて、どうにか冷静さを取り戻す。
「…教えてください、ギルドマスター。冥府の使徒を倒す方法を…僕らにも、何かできることが…」
俺は、静かに、しかし強い意志を込めて、問いかけた。
ギルドマスターは、しばらくの間、沈黙を守っていた。その瞳は、何かを深く心に秘めているようだった。やがて、彼は、重々しく口を開いた。
「…伝説によれば…冥府の使徒を倒せるのは…『七つの大罪』だけだと言われている…」
七つの大罪…?
その言葉を聞いて、俺は、メルカルさんから聞かされた、あの言葉を思い出した。
七つの大罪――それは、太古の昔、魔界に君臨したとされる、強大な力を持つ七体の魔物のこと。
傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲。
七つの罪の名を冠する彼らは、強大な魔力と恐るべき能力で、魔界を chaos に陥れたという。
「…七つの大罪…一体、それは…?!」
俺は、息を呑んで、ギルドマスターに問いかけた。




