第29話 絶体絶命、Dランクの脅威
「…よし、行くぞ!」
フィンが、先頭に立ち、沼地の中へと進んでいく。
俺たちは、フィンの後を追い、慎重に、沼地の中を進んでいく。
しばらくすると、フィンの足が止まった。
「…おい、セプティム。あれを見ろ」
フィンが、指差した先には、小型の蛙の姿が、複数見えた。
それは、依頼書に書かれていた、ビックフロッグだった。
体長は、1メートルを超え、全身が、泥のような茶褐色をした、ずんぐりとした体型の魔物だ。その目は、虚ろで、知能の低さを物語っている。
「…ゲッ…気持ち悪ぃ…」
俺は、思わず、後ずさりした。
「…よし、行くぞ、セプティム!ブルー、スカイ、頼むぞ!」
フィンが、叫んだ。
そして、フィンは、先陣を切って、ビックフロッグに斬りかかった。
その時だった。
足元の沼地から、巨大な影が、飛び出してきた。
「グオオオオッ…!」
それは、ビックフロッグよりも、はるかに巨大な、毒蛙だった。体長は、1メートルを超え、全身が、毒々しい緑色をした、恐ろしい魔物だ。その背中には、無数のイボがあり、そこから、紫色の毒液が、滴り落ちている。
「…な、なんだ、こいつは…!? 」
俺は、恐怖で、体が硬直してしまう。
「…ポイズントード…!?なんで、こんなところに…!? 」
フィンも、驚きの声を上げた。
Dランク相当の魔物、ポイズントード。
依頼書に載っていたビックフロッグとは、明らかに違う。
俺たちは、予想外の強敵との遭遇に、言葉を失った。
ポイズントードは、巨体を揺らしながら、ゆっくりと、こちらに近づいてくる。その目は、冷たく、獲物を狙う獣のような、鋭い光を放っていた。
「…まずい…こいつは、Eランクの俺たちじゃ、相手にならねぇ…」
フィンが、呟いた。
彼の言葉に、俺は、激しく同意した。しかし、逃げるには、遅すぎる。ポイズントードは、すでに、俺たちの目の前に迫っていた。
「…行くぞ、セプティム!ブルー、スカイ、頼むぞ!」
フィンは、覚悟を決めたように、剣を抜き、ポイズントードに向かって、突進した。
「…ああ!」
俺は、ブルーとスカイに指示を出しながら、フィンを援護しようと、火の玉を放った。
しかし、ポイズントードは、フィンの剣も、俺の火の玉も、ものともせず、巨大な体で、俺たちを押しつぶそうと、襲いかかってきた。
「グオオオオッ…!」
ポイズントードの咆哮が、沼地全体に響き渡る。
俺は、焦りながらも、冷静に状況を判断する。
ポイズントードの毒は、あまりにも強力だ。下手に近づけば、俺も、毒にやられてしまう。
だが、遠距離から攻撃できる魔法は、火球魔法くらいしか…。いや、待て。前世で学んだ魔法の中には、他にも、何か、使えるものがあったはずだ…。
「スカイ、ポイズントードを、空中に持ち上げてくれ!」
俺は、スカイに指示を出す。
「キュイッ!」
スカイは、俺の指示を理解すると、強力な風魔法を放ち、ポイズントードの巨体を、空中へと吹き飛ばした。
「グオオオッ…!? 」
ポイズントードは、突然、体が浮き上がり、バランスを崩して、慌てふためいている。
「今だ、セプティム!」
フィンが、叫んだ。
俺は、チャンスを逃すまいと、素早く地面に、小さな魔法陣を描く。そして、土魔法の魔力を注ぎ込み、ポイズントードの真下から、鋭く尖った岩を、突き上げるように、隆起させた。
「ぐあああああっ…!」
ポイズントードは、鋭い岩に、体を貫かれ、悲鳴を上げる。スカイの風魔法が、さらに勢いを増し、ポイズントードの体は、空高く舞い上がる。そして、鋭い岩に、深々と突き刺さったまま、動けなくなってしまった。
「…やったか…?」
フィンは、よろめきながら、剣を鞘に収めた。彼の腕からは、まだ、血が流れている。
「…ああ…なんとか…」
俺も、全身が、鉛のように重く、立っているのがやっとだった。しかし、心は、達成感で、熱く燃えていた。ポイズントード討伐成功。俺たちは、Eランク冒険者として、最初の試練を、乗り越えたのだ。




