第2話 廃墟改造! 俺だけの秘密基地
「えぇい! 面倒な手続きは終わりだ! さっさと転生しろ!」
鬼のような裁判官の怒号が響き渡る。有無を言わさぬ態度に、俺は内心(うわぁ…魔界の裁判って、ブラックだな…)と呟いていた。
魔導裁判所に迷い込んだ挙句、魔物メーカーとしての素質を見出された俺は、転生を強制されることになったのだ。
「そ、それで、俺はどこに転生するんですか?」
恐る恐る尋ねると、裁判官は面倒くさそうに古びた巻物を開いた。
「んー、今、空きがあるのは…ここだな。元魔王軍の廃棄されたダンジョンだ」
「廃棄された…ダンジョン…?」
嫌な予感が頭をよぎる。
「あぁ、100年前に人間界との戦争で負けてから、使われなくなった場所だ。魔力の供給が不安定で、危険な魔物も残っているらしいが…まぁ、お前なら大丈夫だろう」
裁判官は、そう言ってニヤリと笑った。全然大丈夫そうじゃないんだけど!?
次の瞬間、俺は強烈な光に包まれた。
気がつくと、俺は薄暗くじめじめとした場所に倒れていた。
「うっ…頭が…」
重い頭を上げて、周囲を見渡す。
崩れ落ちた石柱、蜘蛛の巣が張った壁、床には得体の知れない液体が溜まっている。
「…ここが、廃棄されたダンジョン…?」
まさに、魔界のド田舎。 転生先はイケメンインプの俺だが、これでは冒険どころか、生き残ることすら難しそうだ。
「ま、いいか。誰もいないなら、誰にも邪魔されずに研究できるってもんだ」
俺は、持ち前のポジティブ思考で、状況を打開しようと決意した。
「よし! まずは、このダンジョンを、俺だけの秘密基地に改造してやるんだ! セプティムの魔物メーカーとしての人生はここから始まる!」
俺は意気揚々と立ち上がり、周囲を見渡した。
薄暗い洞窟内を探索すると、残されたままの古い家具や、使えそうな道具がいくつか見つかった。
「お、これは錬金釜の残骸…使えるかも!」
「それに、この魔石灯籠…魔力を注げば、明かりになるのか。これは便利だ!」
前世で培った錬金術の知識と、持ち前の器用さで、俺はダンジョン内の物を次々と改造していく。
崩れかけた石柱は、作業台に。
壊れたベッドは、魔物の革を張って、ふかふかのソファに。
洞窟の奥で見つけた、魔力の湧き出す泉は、小さな噴水に改造。
「ふぅ…疲れたけど、なかなかいい感じになってきたぞ」
数日がかりで、薄暗く陰湿だったダンジョンは、俺だけの秘密基地へと変貌を遂げた。
そして、拠点が完成した今、いよいよ魔物メーカー・セプティムとしての第一歩を踏み出す時が来たのだ。
「よっしゃー! 最高の魔物を作って、世界を驚かせてやる!!」
イケメンインプ、セプティムの挑戦が、今、始まる!
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