第13話 炎の試練、魔力の覚醒
「セプティム君、魔力は、生き物と同じだ。優しく接すれば、それに応えてくれる。だが、甘やかせば、たちまち制御不能になる」
メルカルの言葉が、洞窟内に響き渡る。
俺たちは、廃墟ダンジョンのさらに奥深く、メルカルが用意した特別な修行空間へと移動していた。
そこは、天井から溶岩が滴り落ち、地面からは灼熱の蒸気が噴き出す、まさに灼熱地獄のような場所だった。
「…こんな場所で、修行するんですか…?」
俺は、額から流れる汗を拭いながら、恐る恐る尋ねた。
熱気で、息苦しさを感じ、立っているだけで、体力が奪われていくようだ。
「ああ。ここは、魔力の流れが非常に不安定で、強力な魔物が巣食っている危険な場所だ。だが、だからこそ、君の魔力を鍛えるには、最適な場所と言える」
メルカルは、涼しい顔で、そう言った。
彼には、この灼熱地獄も、快適な空間と変わらないらしい。
さすが、大悪魔…。
「…で、具体的には、どんな修行をするんですか?」
俺は、覚悟を決めて、メルカルに尋ねた。
「まずは、この炎の魔力を、自分の体に取り込み、制御する訓練だ」
メルカルは、指先で、空中に火の玉を作り出した。
火の玉は、まるで生きているかのように、ゆらゆらと揺らめき、周囲の空気を熱で歪ませている。
「…え、ちょ、ちょっと待ってください! そんなこと、できるわけ…」
俺が、慌てて言葉を遮ろうとした瞬間、メルカルは、容赦なく、火の玉を俺に向かって放った。
「うわあああっ!?」
火の玉は、俺の体に直撃し、強烈な熱が全身を駆け巡る。
「熱いっ! 熱すぎるっ!!」
俺は、地面を転がり回りながら、叫んだ。
体中が、燃え上がるように熱い。
まるで、全身を焼かれているようだ。
「落ち着け、セプティム! 魔力は、恐れるものじゃない。感じろ、その流れを…!」
フィンの声が、遠くから聞こえてくる。
…感じる? 魔力の流れを…?
その瞬間、俺の脳裏に、前世の記憶がフラッシュバックする。
宮廷魔術師として、魔力を制御する訓練をしていた時のこと。
師匠の厳しい声が、耳元で蘇る。
「魔力は、生き物だ。心を静め、その流れを感じ取れ…制御しろ…!」
そうだ…魔力は、俺の一部なんだ。
俺は、深呼吸をして、心を落ち着かせた。
前世の記憶を頼りに、俺は、炎の魔力の流れを感じ取ろうと、意識を集中させた。
体の中を流れる、熱く、激しいエネルギー。
最初は、制御不能な暴れ馬のようだった炎の魔力が、徐々に、俺の意識に呼応し始める。
しかし、インプの身体では、前世のように繊細な魔力操作はできない。
何度も、魔力が暴走しそうになり、その度に、灼熱の痛みが俺を襲う。
「くそっ…!」
俺は、歯を食いしばって、集中力を切らさないように努めた。
何度目かの挑戦で、ようやく、荒波が静まるように、炎の魔力は、穏やかな流れへと変わっていった。
「…こ、これは…?」
俺は、驚きのあまり、言葉を失った。
炎の魔力は、完全に制御できているわけではないが、少なくとも、俺を焼くことはなくなった。
「セプティム君、よくやった。君は、炎の魔力を、制御することに成功した」
メルカルは、満足そうに頷いた。
「…でも、まだ、完璧じゃない…」
俺は、正直に言った。
炎の魔力は、まだ、完全に俺の制御下にあるわけではない。
油断すれば、再び暴走するかもしれない。
「その通りだ、セプティム。これは、まだ始まりに過ぎない」
メルカルは、真剣な表情で、俺を見つめた。
「これから、さらに厳しい修行が待っている。覚悟はいいかね?」
メルカルの言葉に、俺は、決意を新たに、頷いた。
「はい! メルカルさん、俺、頑張ります!」
最強の魔物メーカーへの道は、長く、険しい。
だが、俺は、決して諦めない。
メルカルの教えを胸に、俺は、一歩ずつ、前に進んでいく。
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