ママはとっても心配性だから
※家紋 武範様の「知略企画」参加作品です。
今日の夕ごはんはカレー。
ママはとっても心配性だから、作る前に材料を全部確認するの。
「お肉、ニンジン、玉ねぎ、ジャガイモ……あっ、カレールーがない! どうしよう?」
でも大丈夫! 私がいるから!
「私が買ってくる~!」
ママはとっても心配性だから、ビックリして訊いてくるの。
「なっちゃんがひとりで? 今までひとりで行った事ないでしょう?」
でも大丈夫! 私もう小学三年生だよ!
「ひとりで! いつものスーパーで買ってくる!」
ママはとっても心配性だから、なんだか困った顔をしてるの。
「道は間違えない? 車に気をつけないといけないわよ?」
でも大丈夫! スーパーまでの道はわかってる!
「あそこの道をまっすぐ行って、信号をわたるだけ! 信号はちゃんと右・左を見るよ!」
ママはとっても心配性だから、まだまだ困った顔をしてるの。
「知らない人が声をかけてきたらどうするの?」
でも大丈夫! ちゃんと考えているもん!
「ついていかないよ! コドモケータイも持っていくし、変な人がいたらすぐにブザーを引っぱって逃げるよ!」
ママはとっても心配性だから、まだ少し困った顔をしているの。
「お金はちゃんと払えるの? おつりは失くさないかな?」
でも大丈夫! それもちゃんと考えたもん!
「ママ、いつもICカードで払ってるから、なっちゃんの電車に乗るカードでも払える?」
とっても心配性のママは始めてニッコリした。
「あら、すごい。よくわかったわね。なっちゃんが持っている子供用のカードで払えるわよ。」
「じゃあ大丈夫! これ持っておつかい行ってくる!」
「助かるわ。お願いね。気をつけてね」
うん大丈夫! だって前からおつかいに行きたくてずっと考えてたんだもん!
「行ってきまーす!!」
~☆~☆~☆~
なっちゃんが元気よくおつかいに出ていくのを、ママは手をふって見おくりました。
そして、とっても心配性のママはひとつ、心配なことに気づくのです。
「あらいけない。このカレールーを隠しておかなくちゃ。なっちゃんに見つかったら大変なことになってしまうわ」
最後までお読みくださりありがとうございました!