Prologue Chapter「Twilight」
完結までの構成はありますが、文章に起こすとなるとすごく難しいですね。
執筆に関してはまだまだ勉強中ですが、楽しんでいってください!!
2020年 3月19日 15:21 某国
大理石でできた一点の曇りもない黒と白の床。
この床を踏む度に、自らが駒の1つなのではないかと認識してしまう。
〝私〟は廊下を進むとやがて扉の前に到着した。
「アイリス・E・ミラー、ただいま到着しました。」
答えるように鍵が開き―――次に扉が開いた。
「待っていたよアイリスくん。」
大きな絨毯が敷かれているが、左右には大きな本棚がありびっしりと本が敷き詰められている。
窓際には机があり声の主はそこにちょこんと机から顔を出していた―――私は机に歩み寄る。
「お待たせしました、会・長・。」
「その呼び方はよしたまえアイリスくん、ここは学校だから〝校長〟と呼んでもらえると助かる。」
「失礼しました。」
笑顔でそう私に答えると会長……基、校長は話を続けた。
「では、アイリスくんこれを君に。」
そう話し出すと校長は机の上にリストを置き、まるで棋士が駒を進める様にして差し出す。
「近頃"カレら"の動きが活発になって来ているのは君も知っているだろう、死者も以前よりも多く確認されている。」
「私たちが鎮圧している数では足りませんか、でしたら……。」
リストに目を通し机の上に置くが、校長が食い気味に話を切り返す。
「うむ、それもいいだろうが……人型の魔物……つまりは〝魔人〟が出現したという話もある。」
「―――魔人が出ただけなら……最早、珍しい事では……。」
「今回、出現した魔人は、凶暴性、知能、〝魔力〟の濃さ、それら全てがこれまでと比べ物にならないのだよ。もしかすると〝彼の者〟が目覚めようとしているのかもしれないな……そこでアイリスくん、これを君に。」
そう言うと会長は「よっと」と独り言を零しながら椅子を降りて引き出しを開けると、中から箱のようなものを取り出し、てってと机の前まで歩いて(?)きた。
校長はそれを私に差し出す。
「これをもって日本に行き探して来てもらいたい〝これ〟を目覚めさせる事のできる人間をね……君ならきっとその人間を探し出す事が出来るだろう……頼めるかね、アイリスくん」
渡されたのは指輪だ。
所々に傷があり、読んだ事もない文字で何かの呪文?それとも名前……だろうか、その様な物が掘り込まれている。
かなり古い物なのだろう。受け取った指輪はまるで太陽を連想させるかの如く輝いていた。
「目覚める?これは生き物なのですか?」
「いんや、ぼく達の調べでは解らなかった。君さえよければ必要な手配はすべてはこちらで済ませておくよ。」
ふと、窓の外に目をやると、そこには海が見えた。
〝故郷の日本〟はこの海の向こう―――遠いその国の景色を思い出して、僅かに笑みを浮かべると受け取った指輪に紐を通し首に下げる。
私の心に迷いはない、決まるのにそう時間はかからなかった。
「わかりました……そのお役目、私がお受けします。」
話を終えると必要な最小限の荷物を用意し、寮を後にする。
私の荷物はキャリーケースに収まってしまうので、すぐ発つ事ができるだろう―――。
「では行こうか、日本に―――。」
見上げた空はどこまでも透き通っていた。
主人公は海の向こうです。
この出会いがどういった物語を生むのか……。
僕も楽しみですねぇ!!()