68話:街中散策デート
不定期更新ですみません!!!
待ち合わせ場所はいつもの公園だ。
公園に先に着いたのは樹だった。だがしばらく待っていると……
「おはようございます樹さん。お待たせしました~」
振り返ると笑顔でこちらに手を振る真白の姿があった。
樹も手を振り返し声をかける。
「おはよう真白。今日の服も似合ってるよ」
「ありがとうございます。樹さんの方も似合ってますよ」
「ありがとう。菜月が頑張って選んだ甲斐があったよ」
そう。樹の服は菜月が前日に選んでいたのだ。
樹が他の服で行こうとしたら菜月が、「ダメだよおにぃ! もっとお洒落しないと! 私に任せて!」そう言って菜月が真剣に選んだのである。
「菜月ちゃんがですか?」
「ああ。「真白さんとデートなんだからしっかりお洒落しないと!」とか言ってな」
「あはは、菜月ちゃんらしいですね」
「だな~。っと、そろそろ行こうか」
「はいっ」
樹と真白はそれが当然のように自然に手を繋ぎ歩き始めた。
今日のデートは街中だ。適当にぶらぶらと散策するのである。
目的地などない。だがそれがまたいいのだ。
しばらく歩くと分岐点に当たった。
「右に行ってみないか?」
「右が気になります!」
言葉が重なったことに二人は顔を見合わせ――笑った。
どうやら気が合ったみたいだ。
「同じか」
「ですね」
そうして二人は右に曲がり先へと進む。
そこからさらに移動を続け、自分達のいた場所が遠くに見えた。
樹は登坂となった道を見下ろす。
「結構の歩いたんだな」
「ですね。自分達が歩いてきた場所がもうあんなに小さいですよ」
二人は笑いさらに上り坂を歩き、さらに上を目指した。
しばらく雑談を交えながら登っていると、開けた場所に出た。
「公園だ」
「見たいですね。でも誰も遊んでいませんね」
「寂しいな」
「はい……」
よく見ると開けた場所があった。
どうやら真白も気が付いたようだ。二人が顔を見合わせる。
「行ってみようか」
「私も気になります」
手を繋ぎながらそこに向かうと、その光景に二人は思わず息を飲み感嘆の声を漏らした。
「凄いな……」
「ですね……」
二人の目に飛び込んだのは、遥か遠くまで見える景色だった。
「まさかこんな景色が見えるなんてな」
「はい。展望台になっていたとは驚きです」
そう。この公園は展望台になっていたのだ。
しばらくそんな景色を見ていた樹と真白の二人。
どのくらい経ったのだろうか?
数秒、いや数分経っていただろうか?
そんな長いようで短い時間が経ち、樹が口を開いた。
「真白そろそろ行くか?」
「もう少し、いいですか?」
「ああ、真白がいたいだけ居ていいよ」
「ありがとうございます♪」
こうして樹と真白は公園に小一時間ほどゆっくりするのだった。
目的もなく次の場所に歩きながら。
「良い思い出の場所が出来たな」
「ですね。来て良かったです。また来ましょう」
「ああ、また。絶対だ」
「はいっ」
こうして二人は公園を後にするのだった。




