54話:大晦日と新年
あけましておめでとうございます!
今年も『聖女様』をよろしくお願いします!
桐生家に天宮がやってきた。
「あの、本当に私なんかがお邪魔しても……?」
本当に良かったのか尋ねてくる天宮に東、楓、菜月が答えた。
「もちろんだ。多い方が楽しいし、もう天宮さんは家の家族同然だ」
「そうよ。東さんが言う通りもう真白ちゃんは家の家族よ」
「うんうん! それに楽しいのが一番だよ天宮さん!」
「……ありがとう、ございます」
優しい桐生家に天宮は思わず笑みを零す。
「みんなの言う通り。今日明日は自分の家だと思ってゆっくりしていってくれ」
「はいっ! みなさんありがとうございます」
そこからは楓と天宮で料理を作っていると菜月も手伝いに入ってきて楽しんでいた。その光景は既に桐生家に馴染んでいたようだった。
今日の夕飯は大晦日ということもあり夕飯は軽く食べるようになっている。何故軽くかというと、年越しそばを食べるからである。
「出来上がったわよ~、真白ちゃんがいて料理が捗ったわ」
「お母さん私は!?」
自分も手伝ったのに言われなかったことにショックを受ける菜月。
「菜月もよ。ありがとね」
「えへへ~」
照れたようにように笑う菜月にみんなが微笑んだ。
「それじゃ冷めちゃう前に食べましょうか」
「そうだな」
楓の言葉に東が答えみんなが席に着き今年最後の食事が始まった。
食事は楽しく桐生家の食卓には笑みが溢れていた。
樹は心の中で願う。来年も楽しく幸せの一年でありますように、と。
樹の『真白』呼びや天宮の『樹くん』呼びに三人からからかわれ終始赤面する場面もあったが、そんな楽しい食事もすぐに終了した。
「いや~、美味かったよ。片付けは俺がやろうか?」
そんな樹の提案に楓は「ならお願いしようかしら」と言われたので樹は片付けをやることに。樹がやろうとすると天宮が樹に言った。
「樹くん。私も手伝います」
「いいのか?」
「はい。今日明日とお世話になりますので」
「そうか。ならお願いするよ」
そう言って樹と天宮の二人は流しに移動して片付けを始めた。
「私は何をすればいいのでしょうか?」
「洗い物は俺がやるよ」
「分かりました」
こうして二人は洗い物を始めた。樹が食器を洗い、その洗い終わった食器を天宮が拭いて食器棚へとしまっていた。
そんな息ぴったりな二人の光景を見た楓、東、菜月はというと……
「何か熟年の夫婦って感じよね」
「そうだな。二人の将来が楽しみだ」
「お兄ちゃん楽しそう」
楓と東は樹と天宮を見て頬を緩ませた。この二人なら幸せに暮らしていけるだろうと。
菜月は自分もいつかは二人のようになれるかなと、羨望の眼差しを向けていたのだった。
それから片付けも終わり一同はこたつに入りながらのんびりとテレビを見ていた。
冬はこたつ。それが桐生家である。
時刻は夜の23時を回ており今年も残るはあと少しとなった。
樹たちは年越しそばを食べながら今年の出来事などを話していた。
樹にとって天宮にとって、今年一番の出来事と言えば、それは二人が出会った事と関係が進展したという点だろう。
「カウントダウンだな」
今年も色々あった。天宮と出会いデートに行ってそして――付き合った。
樹の言葉に楓が口を開いた。
「今年もお世話になりました」
「ああ、お世話になった」
「お世話になりました」
楓、東、菜月の順でそう言った。これは桐生家では言うようになっている。
「お世話になりました」
樹も続いて言い天宮も口を開いた。
「今年は楽しい年をありがとうございました。東さん、楓さん菜月ちゃん」
天宮は樹の顔を見てこう言った。
「そして樹くん。お世話になりました」
天宮は頭を下げた。
顔を上げた時、天宮の顔は幸せに満ちている最高に可愛らしい表情であった。
そして――新年を迎えた。
「「「「あけましておめでとう!」」」」
新年が明けた瞬間、樹たちはそう言った。天宮は驚きながらも一緒に「あけましておめでとうございます」と言う。
各々が再び挨拶をし樹が天宮に向き直った。
「真白、今年もよろしく」
「はい。こちらこそです。樹くん。よろしくお願いします」
こうして五人は新年を向かえたのだった。
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