52話:その後
次の更新は年末になるかもです。
カフェを出た樹と天宮が向かったのはショッピングモール内にあるクリスマスツリーだった。
「思ったより大きいですね……」
「だな。それに綺麗だ」
「はい」
ショッピングモールの中央に置かれたそこそこの大きさがあるモミの木。色鮮やかな装飾品に彩られていた。
二人で見ていると係の人だろう女性が声をかけてきた。
「どうですかこのツリー」
「綺麗ですよ」
「同じです。とっても綺麗ですね」
正直な感想を彼女に告げると、「そう言っていただけて嬉しいです!」と喜んでいた。
彼女は「実は」と言って続けて口を開く。
「それ近所の小学校の子供たちが飾り付けたのですよ。どうですか?」
「へ~、綺麗にできていますね。ねっ、樹くん」
「そうだな真白。綺麗だな」
樹は「そうそう」といってから続ける。
「あの、イルミネーションは小学生が?」
「いえ。流石に子供達では危ないので私達が取り付けました」
当然だろうな、と樹は思う。彼女は「ところで~」とニコニコしながら尋ねてきた。
「お二人はもしかして――カップルですか?」
さらに「傍から見てもそう見えますよ」と微笑まれた。樹と天宮の顔はみるみるうちに赤く染まっていく。係である彼女に返事を返す。
「そ、そうですね……」
「は、はぃ……そう、ですぅ……」
彼女はそんな二人を見て思った。
この二人なんか可愛い! 特に女の子の方マジで天使! と内心で叫んでいた。
何とか答えた二人に彼女は微笑んで二人に幸せになってもらおうと告げた。
「良い日になるといいですね♪ お二人に幸せを願っております」
「「あ、ありがとうございます」」
恥ずかしながらもお礼を言って樹と天宮の二人はショッピングモールを後にした。
家への帰り道は無言だった。それは――あのツリーの係をしていた彼女の言葉が原因だった。
「傍から見たら俺と真白は恋人、なんだな……」
「は、はい。そう、見たいですね……」
何とも言えない空気が二人の間に流れたが気まずいというほどでは無かった。
帰り道、少しソワソワする天宮。その理由は――
「あの樹くん」
「ん?」
「夕飯、ウチで食べて行きませんか?」
夕飯のお誘いであった。
付き合ってから初の誘いのため天宮は緊張していた。
「え? いいのか?」
「是非来て下さい。それに、つ、付き合っては、初めての、て、手料理ですし……」
「ッ!? な、ならお邪魔するよ」
天宮の言葉を聞いた俺は顔を真っ赤にした。
その後、樹と天宮の二人は帰りにそのままスーパーに寄って行き夕飯の食材買い出しに向かった。
そのまま天宮の家に向かって夕食をご馳走になった。料理の腕はまだまだなのだが……
「料理上手くならないな……」
ついそんな言葉を零してしまった樹に天宮がそっと言葉をかけた。
「大丈夫ですよ。徐々に上手くなればいんです」
「塩と砂糖の区別がつかない俺がか……? 上手くなれるのか?」
「普通は使う前とかに確認はするのですけど……」
「本当にすまんとしか言いようが……」
「は、ははは……これからですよ」
確かに塩と砂糖は間違わないだろう。天宮は苦笑いしながら答えるしかなかった。
それから時間になり樹は帰ることになった。
「樹くん今日は誘ってくれてありがとうございます」
「ああ。こっちこそ」
樹が出て行こうとすると天宮が呼び止めた。
「その、また、お誘い下さい。今日は楽しかったです♪」
「お、おう。また連絡するよ」
「はい♪」
幸せそうに微笑む天宮の頬は微かに赤く染まっていた。こうして初めてのデートは成功を収めるのだった。
『面白い』『続きが気になる』『砂糖増加希望!』って人は下の『評価ボタン』と『ブクマ』をお願いします!




