51話:デート
――デート当日の朝
樹はいつもの公園で天宮を待っていた。寒いのだが天宮から貰ったマフラーのお陰で首元が温かい。
少し待つと天宮がやってきた。
「樹くんおはようございます。待ちましたか?」
「おはよう真白。待ってないし、真白から貰ったマフラーのお陰で温かったよ」
樹はそう言って首元に巻いているマフラーを指差した。指差した先を見ると天宮が樹にプレゼントしたマフラーであった。
「早速使ってくれたんですね。私も使ってますよ♪」
「え?」
見ると天宮の首元には樹がプレゼントしたマフラーが巻かれていた。
「あの、どう、ですか?」
少し恥じらいながらも頬を赤く染めこちらをチラチラと見る天宮は、とても可愛らしかった。樹はそんな恥じらう天宮を可愛らしくも思っていた。
「とっても似合っているよ。そのマフラーを選んで正解だったよ。良かった」
「――ッ!」
天宮の顔が一瞬で真っ赤に染まった。
「どうした? 顔が赤いけど……?」
「き、気にしないで下さい! 早く行きましょう!」
「お、おう――ってお、おい」
樹の手を握って歩き出す天宮。
(お、おい。手を握って……ってこれって気づいてなくないか?)
天宮の柔らかい手の感触とそこから伝わる体温に樹は頬を赤く染める。
傍から見ると初々しいカップルだ。通り過ぎたお散歩最中のおばあちゃんが、「あらあらまあまあ」と口元に手を当てて微笑んでいた。
それからも何人かの人と通り過ぎるのだが、誰もがその光景に微笑んでいた。
樹はこれはこれで嬉しかったので何も言わないでいると、周りの視線に疑問を持った天宮が手の違和感に気が付いた。
「はわっ、ご、ごめんなさい!」
手を放して謝る天宮。
「いや、別に大丈夫だよ。気にしないでくれ。その、むしろ嬉しかったから……」
照れ隠しに頬をポリポリと掻きながら樹はそう言った。そんな樹の言葉を聞いた天宮は再び顔を真っ赤に紅潮させ、口元をアワアワとさせていた。
それから二人はショッピングモールへと向かった。
ショッピングモールに来てもやることは無くただブラブラするだけであった。
特に買いたい物があるのではなくただ歩いているだけだ。気になった店があれば入って何かを買ったり、二人でお揃いの物を買ったりと楽しんでいた。
「歩き疲れたしそこのカフェに入って休む?」
「そうですね。少し疲れました」
二人はカフェに入り樹が珈琲のブラックを、天宮がカフェラテを頼んだ。
「そう言えばお揃いのマグカップは私の家に置いといていいのですか?」
「その方がいいかなって。家だと逆に何か言われそうだからな」
そう言って苦笑いする樹は想像した。ニマニマとした表情で樹の方を見る三人を、だ。
「は、はは、では私の家に置いておきますね」
「頼むよ」
少しして注文していた珈琲とカフェラテが店員によって持って運ばれてこられ、カフェでゆっくりと時間を過ごすのだった。
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