49話:天宮からのプレゼント
ソファーに座る二人であったが少し気恥しい感じとなり、樹は頬をポリポリ掻いて照れ隠しをする。
対して天宮は頬を赤く染め樹の方をチラチラと見るのみ。
もしこの場に一条と朝比奈がいたのなら、「付き合ったのに焦れったい!」と口から砂糖を吐きながらそう言っただろう。
「あの、い、樹くん」
「どうしたあm――真白?」
天宮と言いかけた樹であったが、何とか名前で呼ぶことができた。
「今、天宮って言いそうになりませんでしたか?」
「き、気のせいだよ」
バレていたようだった。
「むぅ~……許します」
苗字で呼んでいたのが慣れてしまったせいと、他には名前で呼ぶのが恥ずかしいというのがあった。
ぷくーっと頬を膨らます天宮。樹は申し訳なさより、頬を膨らましている天宮が可愛くて仕方なかった。
「そうでした。その、私からも樹くんにクリスマスプレゼントをと思って用意してました。どうぞ」
「ありがとう。開けても?」
「はい」
樹は紙でラッピングされているのをゆっくりと開くと、現れたのは……
「マフラー……?」
紺色でチェック柄のマフラーだった。触り心地が良く癖になりそうだった。
とても温かそうだ。
「いつも寒そうでしたので……その、気に入りませんでしたか?」
シュンとする天宮をみた樹は慌てて口を開いた。
「そんなことないし凄く嬉しいよ。ありがとう」
笑みを向ける樹に天宮の頬は若干だが赤く紅潮した。
そしてのんびりと談笑しながら楽しんだ二人きりのクリスマスは終了を迎えた。
二人は玄関で立ち話をしていた。
「今日はありがとうございました。とても嬉しかったです」
「こっちこそ嬉しかったよ。プレゼント大事にするよ」
「はい♪ あっ、そうです。マフラーいいですか?」
樹は天宮から頂いたマフラーを渡すと、それを樹の首へと巻いてくれた。
首元が温かくなった。
「はいっ、これでもう大丈夫です♪」
「……ッ!」
天宮が見せた優しくも慈愛溢れるその笑みに樹の顔が一瞬で赤くなる。
「顔が赤いですが大丈夫ですか?」
「き、気にしないでくれ。それにとっても温かいよ。ありがとう。また」
「はい。気を付けてください」
こうして二人きりのクリスマスは二人の恋が報われた形で幕を下ろすのであった。
天宮のマンションを後にした樹の顔は鼻歌を歌いながら帰宅した。
「ただいま~」
自宅の扉を開いた樹を出迎えたのは、菜月、楓、東の三人であった。
その表情に効果音を付けるとするのなら、ワクワクが最適だろう。樹は三人の顔を見て幸せに満ちていた顔を分かるほど露骨に嫌な表情をした。
最高潮のテンションが今では最低だ。
「「「おかえり! それでどうだった?」」」
「……」
黙る樹に、楓が声を上げた。
「確保よ!」
「「ラジャー!」」
敬礼をする菜月と東は、ギロリと樹を睨みつけた。
「え? お、おい、ちょっと待っ――いぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
樹は連行され洗いざらい吐くこととなり、話しを聞いた三人は満面の笑顔であった。
最後に残ったのは樹と東。そんな東は樹の肩に手を乗せて呟いた。
「しっかりと守るんだぞ」
「……分かってるよ」
樹の顔は羞恥で赤く染まる。その夜。樹は天宮にこの出来事を話し帰ってきたのは、『楽しそうで何よりです』であった。樹は寝ることにするのであった。
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