48話:二人きりのクリスマス後編
樹はとうとう天宮へと想いを告げた。
「……え?」
天宮から返ってきた返事はそんな困惑の声であった。
「あ、あ、あの、今なんて……?」
戸惑いながらも聞き返す天宮に、樹は顔を赤くし「もう一度言うのか!?」と心の中で思った。
「も、もう一度、なのか? 案外勇気を振り絞って言ったのだが……」
「聞こえてはいたのですが、その、信じられなくて……」
「……ごめん。俺なんかが告白って気持ち悪いよな」
やっぱり告白は失敗か、樹がそう思い落ち込む。
「そんなことありません!!」
そこに天宮が大きな声で樹の発言を否定した。
顔を見上げ天宮をみると、その表情は今にも泣きそうで儚く見えた。
「それってどういう……」
聞き返した樹に天宮は両手を自らの胸に添え答えた。
「私も……」
天宮の顔は赤く上気しておりモジモジと恥じらっていた。そして天宮もその艶やかで桜色の小さな唇を開いて、自身の思いを乗せて言葉を紡ぐ。
「私も桐生さんのことが好きです。あの日、桐生さんと公園で出会えて良かったと思っています。あの言葉が無ければ私は救われませんでした。今の私があるのは桐生さんのお陰です。だから……」
そこで一息ついた天宮は、樹へと自身の思いをこの一言に込めて告げた。
「私も……桐生さんのことが大好きです!」
互いが抱える気持ちを、この想いを、この愛を、とうとう告げた。
二人が顔を見合わせた。想いを告げた今では恥ずかしくて顔を見ることも出来ない二人。
「それってつまり……」
「はい。その……これからよろしくお願いします」
「……っ! あ、ああ、よろしく」
「うぐっ、うっ……」
天宮は目尻に涙を溜めていた。
「え? おいどうした急に……?」
「その、桐生さんが私のことを『好き』と言ってくれたのがつい嬉しくて……」
そのまま樹の胸にもたれかかって泣き出した。少しして泣き止んだ天宮が樹の方をみた。
自然と上目遣いになる形で樹の方を見上げた。
目元が涙で赤く腫れてはいるのだが、幸せそうな表情であった。
「天宮……」
「――です」
「え? 何?」
樹には天宮の言葉が届いておらず聞き返した。
そんな天宮は頬を赤く染め恥ずかしがりながらも再び口を開いた。
「――ろって。真白って呼んでください!」
「……いいのか?」
「は、はい。ですからその、私も桐生さんって呼ぶのではなくてその……~って呼びたいです」
最後の方の言葉はもにょもにょとしか聞こえなかった。
「だから私も樹さんって呼びたいです!」
「そ、そうか。それな大歓迎だ。だけど『さん』付けじゃなくていいよ」
「なら、樹、くん……?」
「……ッ!?」
コテンッ、と首を傾げる天宮の姿に樹はドキッと心臓を跳ねさせる。
あどけないその顔が、表情がとても可愛らしく見えた。
「ダメ、ですか……?」
少し悲しそうで泣きそうな表情をする天宮の表情にキュンと来るも樹は答える。
「別に大丈夫だよ。よろしくな真白」
「ッ! は、はい! 樹くん!」
こうして樹と天宮は付き合うことになるのだった。
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これからが物語の本番と言っても良いでしょう!
引き続き『聖女様』をよろしくお願いします!




