33話:ゲームセンターでのイチャつき
ゲームセンターに先に入店した一条と朝比奈は、急ぎ物陰に隠れていた。
もちろん樹と天宮を監視するためである。
「あの二人両想いなのになんで告白しないの!」
「落ち着いて結花。樹が鈍感なのは元々知っていたけど、天宮さんの方はどうなの?」
「こっちもだよ~」
樹と天宮が鈍感だったようで、一条と朝比奈の二人はため息を吐いた。
早く付き合っちまえよ、それが本音であった。
二人は入店した樹と天宮の後を着いて行く事に。気分は完全に探偵であった。
樹と天宮の後を着いていくと、あるUFOキャッチャーの前に立ち止まり天宮が樹に何か言っていた。
耳を済ませて聞いてみると。
「桐生さん見てください! クマさんですよ! クマさん!」
「それが欲しいのか?」
「はい……あっ、いえ、別に欲しいわけでは……」
そう言った天宮の視線はクマのぬいぐるみに固定されていた。
(やっぱり欲しいのか……)
樹は取り出した百円を投入した。
「あの、私はただ見ていただけで……」
「俺が取りたいだけだよ」
「でも……」
「いいから」
他にも何かを言おうとした天宮であったが、樹はそのままプレイを始めてしまった。
その光景とやり取りを見ていた一条と朝比奈は顔を見合わせた。
「……つっちー、あの二人仲良くない?」
「うん。側から見ると付き合っている様にしか見ないよ」
「だよね……」
二人はそんな仲睦まじい光景を目にしてそう呟いた。
数プレイしてようやくぬいぐるみが落ちた。
「やった! やりましたよ! クマさんが取れました!」
ぬいぐるみが取れたことで子供の様にはしゃぐ天宮に、樹は頬を染めながら取り出したぬいぐるみを手渡した。
いきなり手渡されたぬいぐるみに天宮は困惑する。
「え? あ、あの……良いのですか? 折角桐生さんが取ったぬいぐるみを私なんかに」
「その為に取ったんだから。受け取ってくれ」
「……ありがとうございます。大事にさせていただいますね」
「もしダメになったらまた取ってやるから」
「それでも大事にさせていただきます」
「おう」
ぬいぐるみを受け取った天宮は、そのクマさんのぬいぐるみを両手に抱え微笑んだ。
そんな天宮の笑みに樹はドキッと心臓を跳ねさせた。美少女とぬいぐるみ。これは最強のコンボだろう。
側から見ていた一条と朝比奈ですら顔を赤くしたのだから。
「ってなに他の女を見て赤くしているのよ」
「ふぐっ⁈」
朝比奈に脇腹を肘打ちされ呻き声を上げる一条。
「それは結花もだろう⁉︎」と反論しようとした一条は、朝比奈の顔がマジになっていたのを見て、喉元まできていた言葉を飲み込んだ。
言っていたら一条は腹パンを食らっていただろう。
「……先に帰るか」
「だね……あんなに甘い雰囲気の中は入りづらいよ」
「だよな」
樹に先に帰ることをメールで告げ、二人は帰るのだった。
そのあと、樹と天宮の二人はゲームセンターを楽しんでから帰るのであった。
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ファンタジーの新作を練っているところです。
そちらもお楽しみに!




