15話:家族でショッピングモール
更新遅れました!(反省はしていない)
バンッと音を立てて部屋の扉が開かれ、菜月が部屋に入ってきた。
「お兄ちゃん起きて! いつまで寝てるの!」
「ん~……なんだよ。今日は土曜日だぞ。ゆっくり寝かせろ」
「そんなこと言って! もう十時になるんだよ!」
「……そうかあと五分」
樹は菜月に背を向けて布団を被った。
「ま~たそんなことを言って! えいっ!」
被った布団は菜月の手によって引き剥がされた。
樹は寒さで体を丸くして縮こまる。
さらには閉まっていた部屋のカーテンまで、菜月の手によって全て全開にされた。
秋の日差しが部屋に入り込む。
「早く起きて!」
「わ、わかったから部屋から出て行ってくれ」
「本当だよ?」
「ああ」
「そう。なら早く来てね。今日は出かけるみたいだから」
「分かった」
そう言って菜月は部屋から出て行った。
菜月とのやり取りのせいで二度寝はできそうになかった。
まだ重い瞼を開けて外を見ると、とても良い秋晴れとなっていた。
少し窓を開けてみたのだが──
「寒っ!」
直ぐに窓を閉めた。
それから着替えた樹が一階に降りる。降りてきた樹に楓と東が気づく。
「おはよう樹~。休みだからってゆっくり寝すぎ」
「おはよう母さん。休みくらいゆっくり寝てたっていいじゃん」
「楓さんの言う通りだ。それに樹、今日は出かけるって伝えたろ?」
「父さんまで。確かに聞いたような気が……」
東は樹に、早く顔を洗ってくるように伝えた。
言われるがまま顔を洗いリビングに戻るのだが。
「天宮さんをデートに誘わないの?」
「そうだぞ樹。デートをして距離を縮めないとな」
「お兄ちゃん天宮さんとデート行くの!?」
そんな三人に樹は突っ込みを入れるかのように否定した。
「んなわけないだろ!? そもそも天宮とは友達以外のなんでもないから!」
「「「ふ~ん」」」
「お前らな……」
まるで「分かってますよ」的な雰囲気を醸し出す楓、東、菜月の三人に、樹は「もういいや」と諦め、心の中で天宮に、すまん、と謝っておくのだった。
そして樹達家族は現在、近所にある大きめのショッピングモールへと買い物に来ていた。
「お兄ちゃんゲームセンター行こうよ」
「ゲームセンター?」
「二階にあるじゃん」
「あそこか」
このショッピングモールはよく来る場所でもある。
そのため、何階に何があるかは樹も把握していた。
楓と東をみると。
「こっちは大丈夫よ。遊んで来たら?」
「そうだ。それに買い物が終わったら連絡する」
「ん。わかったよ」
樹は頷きを返し菜月を見ると目を、早く行きたそうにしている。
「お兄ちゃん早くしないと先に行っちゃうよ!」
前言撤回である。菜月はもう先に行っていた。樹も菜月を追うようにして、後を着いて行った。
このショッピングモールのゲームセンターはそこまで大きくはない。UFOキャッチャーがあったりシューティングゲームやらがあったりと何も変わらない。
だが、土曜日だからか子連れの親子が多かった。
「お兄ちゃんこれやろ!」
そう言って菜月が指さしたのは、ゾンビを倒すシューティングゲームであった。
樹もゲームは好きなのでやることに。
「やるか」
「やった!」
土曜日だし菜月に付き合ってやってもいいか。
そう思う樹であった。
ゲームを開始して数分が経過した。
怒涛の勢いで迫り来るゾンビ達を、銃を使って倒していく。
「た、体力がもう無くなりそうだよ!」
菜月はゾンビの攻撃を受けて体力を減らしていた。
ちらりと菜月の方を見ると、体力が残り一であった。
「あーーっ! 死んじゃった……」
「任せろ。妹の死は無駄にはしないっ!」
「……何カッコつけてんのお兄ちゃん」
「おい。そこは乗ってくれ……」
そんなやり取りのあと、樹はとうとうボスまで到着した。
そして──
「これで終わりだ!」
最後の弾が敵へと当たって倒した。
「へへっ、俺の勝ちだ」
菜月を方を見てガッツポーズをする樹だったが。
「お兄ちゃんまだあるみたいだよ?」
「……へ?」
変な声を上げて画面をみると──倒したはずのボスが強くなって蘇っていた。
「チクショーッ!」
結果樹はボスに殺されゲームオーバーとなった。
休憩がてら椅子に座り樹と菜月は飲み物を飲んでいた。
「お兄ちゃんダッサーい」
「お前な……あれは油断だ」
「油断する方がダッサーい」
「……油断と言ったのは冗談だ。本当は倒せなかった」
「女の子の前で倒せないとかダッサーい」
「………………」
何を言っても菜月に、ダッサーい、と返されるので、樹は何も言わなかった。いや、言い訳をするのを止めたと言った方がいいだろう。
「お兄ちゃん次アレやろー!」
「ん? あー、UFOキャッチャーか」
立ち上がった菜月が指を指していたのは、ネコのぬいぐるみであった。
(天宮もぬいぐるみ好きなのかな? って、何を考えているんだ)
ぬいぐるみを見てそう思った樹だったが、こんな休日になっても天宮の事を思い浮かべ頭を振ってそんな考えを消し去った。
「お兄ちゃん早くー!」
「待てすぐ行く」
UFOキャッチャーに挑戦する菜月だったが、上手く取れないようでいた。
「俺にやらせろ」
「お兄ちゃん得意なの?」
「まあ、友達に付き合っていたからそれなりに」
「……友達?」
「おい。何故疑問形なんだ?」
「だって天宮さん以外にいたの?」
コテンと首を傾げる菜月。頭には『?』マークが出ていそうな感じである。
「俺をなんだと思ってるんだ……」
「学校では友達のいないボッチ?」
「……まあいいみてろよ」
樹は百円を投入しアームを動かす。
「ここだ!」
そう言ってボタンを押す。
アームは上手くぬいぐるみのタグに引っかかり、ゲットすることに成功した。
取り出したぬいぐるみを菜月へて渡す。
「どうだ。これでお兄ちゃんを信用したろ?」
「やったぁー! ありがとう! でもまだ信じないから」
「えぇ……」
そこに七歳くらいの女の子が、菜月の持つぬいぐるみに目をやっていた。
女の子の視線に気づいた菜月は、女の子に近寄ってぬいぐるみを渡す。
「どうぞ」
「……お姉ちゃんいいの?」
「また取ればいんだからいいよ」
笑顔を女の子に向け、「ほらどうぞ」と言って渡すと、女の子は受け取った。
「お姉ちゃんありがとう!」
それを見ていた親御さんも礼をして手を振りながら見送った。
「上げて良かったのか?」
「もちろん」
「そうか」
それからも樹と菜月は色々と遊んでから戻るのであった。
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