第七話「かわる自分」
晩御飯の間は戦争のようなものだった。何故なら、蓮華は昔からとても多く食べていたので、なんでも取っていってしまう。ふいに、僕の皿に載っていたおかずを、狙っている視線が感じた、気がする....
僕は皿を素早く退ける。
ガンっ!
「痛い~~」
涙目になって手を押さえている蓮華は抗議の視線をこちらに向ける。でも、そっちが勝手に仕掛けて来たのだからこっちに責任はないのだが...
「流石にあげないよ」
蓮華は少し怒りながら、言い返してくる。
「昔ならくれたのに、結希は変わってしまったんだ..」
「 っ....」
蓮華の悪意はない言葉でも、僕にとっては、[変わった]という言葉が胸に引っ掛かる。異能を与えられたときから変わってしまったのかもしれない。もう蓮華達と同じ人じゃないとなるとやっぱりないはずの感情が疼いてくる。
「どうしたの?急に黙りこんで。」
蓮華が急に話しかけてきたことにより思考の世界から覚醒していく。万希人や雪たちも不思議そうにこっちを見ていた。せっかく遊びに来てくれたのだから心配を掛けないようにしないと..
「いや、何でもないよ。大丈夫です」
これで大丈夫だろう。と、思っていたが周りの視線が変わっていない。何故だろう..
「結希君、自分の皿見てみたら?」
雪がそう言ったので自分の皿を見ると..何にも無かった。とりあえず蓮華の顔を見てみるとトンでもないほどの笑顔をしていた。周りの三人はもう完食していた。僕は諦めて食器を片付けにいく。後でなにか食べようかな。
* * *
順番に風呂に入ったあと、僕の部屋が広い方なのでそこで全員で雑魚寝することになった。僕は黙々と布団を並べていると優結が少し焦った様子で来た。
「どうした?」
僕は、聞いてみると優結はちょっと落ち着いてきた
「布団が一人分足らないのです」
なぬ、布団はちゃんとあったはず、四枚は。あれ、五人だな。僕は蓮華に助けを求めることにした。
「蓮華。」
「はいな?」
「悪いが床で寝てくれ。」
「はい?」
蓮華が目をぱちぱちしながら問い返してきた。
「ちょっとなにいってるかワカラナイデスネー」
僕は蓮華にもう一度言う。
「床で寝てくれ。」
「家から布団持ってきて良いですか?」
妥協策としては申し分ないから拒否する必要はないな。
「それだと助かる。」
「最初からそういえばいいのに。」
蓮華は不満そうに言い返してくる。これはさらっと無視して、周りの三人に声を掛ける。
「ごゆっくり」
「「はーい」」
* * *