第三話 「何も変わらない」
夜の投稿多いです。見てくれる方に感謝。
珍しく昼食をたべていたのは成績学年二位クラス二位の葉瀬川 万希人だった。トップクラスの成績を持っているためもちろん学校の上位カーストに当てはまる人物だ。性格は温厚冷静で容姿も整っている校内にファンクラブが出来るほど。喋った事は一度もない自分とは居場所が違う存在だとおもう。つまり僕の目指す姿でもある。
「...?」
目があった。万希人は僕に近づいて爽やかな笑みを向けて訪ねてきた。
「最近時間を潰せるような面白い本が見つからないのだけど面白い本何かある?」
「..えっと..ネタが面白い本なら今持っているよ。」
「すまないけど貸してくれるかい?」
「了解です。」
本を手渡す。万希人はどうやら僕のことを好意的に見てくれたみたいだ。あまり新学年になってから月日が経っていないから偏見を持たれないようにしたい。
「何あの人。万希人さんへの態度が軽いね。身の程をわきまえてほしいよね。」
「無音には仕方ないよ。」
逆効果だったようだ。ちなみに無音とは一年生の時につけられたあだ名、文字通り一言も喋っていない、いや喋れなかった。昔の心を痛める事があってから。昔は天の邪鬼なくらいはしゃいでいた。あの事件が起きてから自分の感情の一部が欠落してしまった。克服していけるように自分に厳しくしていく。そう戒めていたお陰か少しなら喋れるようになった。
「ねぇ輝城君。ここの問題わからないのだけど教えれくれない?」
いきなり声をかけてきたのは水入雪だった。僕は成績は中の上位なので教えることはできる。
(はぁ...)
内心でため息を漏らして気を緩めてから説明を始める。
「ええと、ここは公式_____を使って___したら___」
「すごく分かりやすかったよ!ありがと」
「分かってくれたなら良かった」
「じゃあここも聞いていい?」
「はぁ...ここは________________」
教える人の方が賢くなるのは本当っぽいな。ある医学者が言っていたことを考えていた。
***
学校が終わり帰路につく。途中で妹の優結と合流する。
「むむ、お兄ちゃんから女の子とコミュニケーション取った臭いがする」
「どんな臭いだよ。そして何で分かった?」
「勘だよ。妹はお兄ちゃんのことはお見通しです♪」
「なら今日の晩御飯は鮭の塩焼きかな?」
「あわわ、唐揚げです。」
追及は止めておこうかな。少し苛めてしまったかな。
「誰とでもそうしゃべればいいのに...」
「..なんだって?」
「何でもないです。」
妹がむすっとしたままついてくる。妹のいうとおりだと思うけど、まだ直っていかない悪いところだ。自覚しているのに向き合わないなんて自分に甘いと言うこと。
やっぱりあの事件から「何も変わらない」ままだったのかもしれない。
ちょっとずつ伸ばしていきます。