二十七章
二十三章から二十六章のデータはまだ失われたままですが、二十七章から投稿することにしました。
データが復旧次第投稿する予定です。ご了承ください。
亜由美から礼状が届いたのは、僕が段ボール箱いっぱいの蜜柑を送ってから一週間後のことだった。荷物が届いて、すぐに返信してくれたんだなと思った。
宮原さん、お元気ですか? 先日は美味しい蜜柑をたくさん送ってくださって、本当にありがとうございました。ちょっとびっくりしました。お気遣い感謝いたします。大丈夫です、実家からは蜜柑は届いておりません。一日三個のペースで食べるつもりです。三個くらいだったら、カロテンは沈着しないと思います。でも、この箱いっぱいの蜜柑を食べ終える頃には、やっぱり柑皮症になっているでしょうね。柑皮症になったところで、どうってことないですけど(笑)。
八十八箇所参りはどうですか? 愛媛を出られたそうですが、残すはあと香川のみですね。もう一息ですね。私は愛媛県内の札所しか行ったことがないんですよ。意外ですか? でも案外地元の人はそんなものかもしれませんよ。ぼっちゃん列車にも乗ったことがないですしね。極めつけは、道後温泉に浸かったことがないことかな。実家の近所の温泉にはしょっちゅう行ってるのに……。愛媛は温泉がたくさんあって、気軽に入れるのでぜひ温泉に行ってみてくださいね。それとしまなみ街道の橋は壮観です。あそこは絶対目にするべきです。あ、今更、遅いですか? でも瀬戸大橋も明石海峡大橋もすごいですよ。機会があれば是非見て帰って下さい。
ところで香川ですが、いよいようどんの本場に突入ですね。香川ではうどんをたくさん堪能してください。太ること間違いなしです! でもだし汁のおいしさはお店によって、全然違うので、是非行列しているところで食べてください。
なんだか食べ物の話ばっかりになってしまいましたね。すみません。ところで、昨日、不幸なことに、また和歌山で地震が起きました。私はまたボランティアに参加するつもりです。宮原さんも参加する予定がありましたら、和歌山でお会いしましょう。
清水亜由美
宮原 悟様
正直、亜由美から手紙が届いて嬉しかった。しかも内容が明るいものだったから。彼女と仲の良いボランティア仲間の杉下綾子から、亜由美が塞ぎこんでいると聞いていたので、少し安堵した。杉下綾子が「恋人が亡くなったらしいよ……」と僕に教えてくれたのだった。少しでも元気づけられればいい、そう思ってしたことだった。
和歌山で起こった地震は酷いものだった。仕事があるので、二、三日しか滞在できないだろうが、和歌山のボランティア活動に、僕も明日からちょうど参加するつもりだった。