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長い長い夢の中で  作者: 早瀬 薫
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十四章

 おねえちゃんは、いつもへんなんだけど、きのうはいつもよりもっとへんだった。一しゅうかんまえから、がっこうにいっていなくて、ずっといえにいたのだけど、お母さんにしかられたので、きのうはがっこうにいったみたい。だけど、またなにかあったのか、こんどはせいふくがぼろぼろになってかえってきて、わたしはものすごくびっくりした。おねえちゃんはひざもけがをしていて、わたしはおねえちゃんのひざをしょうどくしてあげた。

 お母さんは、ひるまもよるもしごとにいっていないので、ゆうがた、お母さんがよるのしごとにでかけるまえに、おねえちゃんのけがのことをいったら、お母さんはすこしへんなかおをしたけど、「ごめんね、しごとにいかなくちゃいけないから」と、はなしをきいてくれなかった。だいたいいつも、まよなかにぎりのお父さんがかえってくるらしいけど、そのときはわたしもたいていねている。たまにひるまでお父さんはいえでねてることがあって、お母さんよりじかんはあるとおもうけど、お父さんはこわいばっかりで、はなしなんてもちろんきいてくれるわけがない。はなそうともおもわない。よけいなことをいったりしたら、たたかれるもの。だから、おねえちゃんはせいふくがないことをだれにもいえなかった。せいふくがないので、しかたがないからふつうのふくでがっこうにいったみたいだけど、こんどはせんせいにもへんなかおをされた、といっていた。でも、きょう、きていったふくは、やぶけてなかったから、わたしが「きょうはなにもなくてよかった」といったら、おねえちゃんは「あったよ」といったので、わたしはこわかったけど「なにがあったの?」ときいてみたら「きょうは、おかねをぬすまれた」といった。「おかねがないから、おひるごはんもたべられなかった」といった。わたしは、それをきいたら、なみだがでてきて、ないてしまった。おねえちゃんはないてるわたしをみて「なきたいのはわたしのほうだよ!」といって、またへやにとじこもってしまった。でも、おやつをもっていってあげたら「こはる、さっきはごめんね」といってくれた。それをきいたら、もっとかなしくなって、おおごえでないた。おねえちゃんもないていた。だから、こんどこそ、おかあさんに、ちゃんとおねえちゃんのことをきいてもらおうとおもう。おかあさんしか、はなしをきいてくれるひとなんかいないんだもの!


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