White Day
他サイトより、転載し、過失修正を行っているため、掲載時期と内容は時期が異なります。
今日、3月14日は世間でいうホワイトデー。
なのに、健一さんは出張・・・明日まではきっと帰ってこない。もう3日も会っていない。別に、ホワイトデーとかではなく、彼がいないことに対して寂しいという気持ちのほうが大きい。
「ただいまぁ~」
そして、私は彼の部屋でも自分の部屋でもなく実家に来ていた。
「おかえり。」
奥から、陽気な母の声が聞こえた。
「母さん、おなかすいた私の分ある?」
昼ごろ、弟の充から実家に来れたらこいと連絡が来た。なので、私はたまには泊まろうとすぐに母親に連絡をした。
「あるわよ。連絡なかったらなかったけどね。」
キッチンに立っている母の傍の冷蔵庫を漁りながら
「手伝うことある?」
と聞いてみた。返事がなかなかなく母親を見てみると目を見開いて驚いていた。
「何よ。そんな 大げさに驚かないでよ。たしかに、私からそんなこと言ったことなかったけどさ・・・」
そう、実家にいたときはいや、一人暮らしをしていて実家に帰ったときでさえ私は手伝うなんてことはしなかった。一人のときは、滅多に料理しなかった。人と一緒となると作らないわけにはいかない。それに、作っていると彼は仕事がない限り手伝ってくれる。逆に健一さんが作ってくれるときは私が手伝う。その影響なんだと自分では思う。そのことを母に言うと
「会ってみたいわ。私が何度言ってもダメだったことを・・・」
会うのは、かまわないが下手なことは言わないでほしい。
「あれ、伽羅帰ってたの?」
いつの間にか キッチンに現れていた充
「あんたが、帰ってこいってメールしたんでしょう?なんでそんなに驚くのよ。」
棚から、お皿を取りだしながら言う。
「いや、てっきり今日はこの前の人と一緒と思ったから・・・振られた??」
一呼吸わざわざ置きにニヤイヤと言った充。
「振られてない!!今日は、出張でいないの。」
大声で叫んでいると玄関から「ただいま」という声が聞こえた。きっと、二つの声だったから兄と父だろう。
「なに、充。あんた、伽羅の彼見たの!!」
興味深々の母親。って、気になったのはソコ・・・
「会ったよ。先月、年は・・・兄さんくらい?」
充は、私に質問としてバトンタッチした。
「兄さんより2つ上よ。30歳、会社の上司です。もういいでしょう、恥ずかしい」
そういい、食事の準備を進めた。母親は、まだまだ聞きたいことがあったようだが・・・
「家族がそろうのは久しぶりだな。」
とご機嫌の父。
はい、すみません。私のせいですね・・・
弟は、まだ実家に残っている。兄は、一人暮らしをしているが、料理が出来ない為、夜だけよく帰ってくる。私はというと、健一さんと付き合う前はよく帰っていたが付き合うようになって毎日でも会いたいという気持ちのほうが強く彼と付き合ってから4ヶ月は帰ってきていなかった。ちなみに、前彼とかの時は、気が向けばよく実家に戻っていた。というか、正直いまみたいに彼から離れたくないとか思わなかった。
「あら、伽羅。気にすることないわよ。あなたは娘なんだからココ以外でちゃんと帰れる場所を作らないといけないの。今みたいな状況になって私は嬉しいと思っているわ。」
黙っている私の考えがわかったのか母親は言った。
「そうだよ。伽羅、ただ言っただけだから気にするなよ。」
母親の言葉にあせりまくる父親
「母さんとしては、賢吾(兄)のほうが心配だわ。いまだに、毎日のようにここにご飯食べに来て。」
と、大きなため息を吐く。兄は聞いてない振りをして味噌汁をすする。
「充は?」
なんだか兄が不憫に思えて私は充に話をふった。
「ちゃんといるよ。母さんたちには先月に会ってもらった。今日は、夜勤だから昼間会ったよ。」
女医さんなのよ。と穏やかに母親が横から教えてくれた。どうやら、刑事をしている充が怪我をしたときの担当の先生だとか。ご飯も食べ終わり 私は充にいろいろ話を聞いた。とてもいい人らしく、父親もとても気に入っている様子今度、母親に勤務先を聞いて 内緒で見に行こう。
「伽羅、携帯なってるぞ。」
キッチンで後片付けを手伝っているとお風呂上りの充が光っている携帯を持ってきた。マナーモードにしていて音はなっていないが、きっと健一さんからのおやすみコールだろうと急いででた。
「もしもし?」
やっぱり健一さんからだった。驚いたことに、電話の内容はおやすみコールではなく
「今、空港なんだ。今から、部屋に行ってもいい?」
というものだった。母に説明すると、ここに来てもらい一緒に帰ったら?
といってくれた。私は、すぐに健一さんに連絡をして実家に来てもらうことになった。
「兄貴、親父。今から伽羅の彼氏が来るらしいぜ。」
キッチンで一部始終を見ていた充は居間にいる兄たちに大きな声で言った。
「ちょっと、充!!」
私は、顔を真っ赤にし充を止めたが無駄だった。
「そうか。じゃ、今日は泊まらんな。」
と理解のある父親・・・
「伽羅、ちょっとおいで」
と、父親の隣で手招きをする兄私は、素直に兄の傍にちょこんっと座った。
「はい、これ。」
と兄から渡された大きな箱
「なに?」
首をかしげながら受け取る。
「俺たち3人からのホワイトデー」
後ろから充もやってき言った。
「3人から!?あけていいの?」
私の言葉に吹き出す3人
「あけないと、中身はわからんぞ?」
父親が私の頭を撫でながらいいた。中をあけると食器のセットが入っていた。
「かわいい。」
よくみると、ちゃんと2組ずつあることに気が付いた。
「1組は、彼の分だよ。今の気持ちを忘れないようにちゃんと彼を捕まえとくんだよ。」
と、父親の言葉に私はつい泣いてしまった。
「あーぁ、親父が伽羅 泣かせた。」
兄と充は泣いてしまった私をあやしながら言った。
「あら あら、まるで昔のようね。」
と微笑みながらキッチンから覗く母親
「そうだったな。どちらかが、伽羅を泣かしてしまうと二人がかりで伽羅をあやしていたな。」
娘に泣かれた父親は苦笑いしかできなかった。外で、タクシーが止まる音がした。その音に1番に気が付いたのは、私だった。私は急いで玄関へ行き、外に出た。ドサッと音がし、みんなは慌てて外に見に行った。
「おい、伽羅。どうしたんだいきなり」
外では、いきなり抱きついてきた私を支えきれず、座り込んだ健一さんが私の頭を撫でていた。私はというと健一さんに抱きついたままでいた。
「あっ、こんばんは。はじめまして・・・」
玄関先から家族が見ているのに気が付き健一さんは座り込んだまま挨拶をした。
「おい、伽羅。いいかげんに離してやれよ。」
と呆れ声の充。その声に私は、やっと健一さんから離れて健一さんと一緒に立った。
「夜分遅くに お伺いしまして申し訳ございません。伽羅さんとお付き合いさせていただいてます 川島 健一を言います。」
私から離れ、一礼をして挨拶をする健一さん。
「いや、いや、気にしなくていいよ。賢吾、伽羅の荷物をとってきておくれ。」
父親は、健一さんと握手をし言った。
「娘のことよろしくたのむな。まだまだ、おてんばのようで恥ずかしいが・・・」
すぐにさっきの行動だと私はわかった。荷物を持ってきてくれた兄にお礼をいい。家族のまた来ると残し健一さんとタクシーに乗った。
「緊張した・・・」
タクシーに乗るなり健一さんは大きなため息をついた。
「・・・いきなりごめんなさい。」
私は、父親の最後の言葉が頭から離れなかった。
「いいよ。勝手に、寂しかったからだと解釈するから。」
笑いながら言ってくれた健一さん私はそのとおりでなにもいえなかった。
「その箱なに?」
かばんと一緒にもっていた大きな箱を指差す健一さん。
「3人からのホワイトデーのお返し。ふたりで使いなさいって。」
箱をあけ、中身を見せた。そのとたん 笑い出す健一さん
「どうしたの?」
いきなりのことにびっくりする私。部屋についてもまだ笑っている。
「健一さん??」
一体、どうしたのだろうか?
「いや、なんというかタイミングのいいプレゼントだと思ってな。」
意味がわからず私は首を傾げた。
「伽羅、手を出して。」
私は言われたとおり 手を差し出した。
健一さんは、手のひらの冷たい金属物を置いた。
「これ・・・」
それは、鍵だった。でもそれは、私の部屋でも彼の部屋のものでもなかった。
「一緒に住まないか?君とずっと一緒にいたいんだ。」
いつの間に 部屋なんて探したのだろうか。お互いに仕事が忙しいのは知っていた。しかも彼は、4月から部長に昇進する為 かなり忙しいはずなのに・・・
「4月から、お互いに昇進するだろ?」
そう、健一もだが私も内示で昇進が決まっていた。
「今みたいにお互いの家を行き来きする時間なんで持てなくなると思うし、会社では会えると思うがプライベートで会えないのは嫌だからな。それに、一日の始まりと終わりは伽羅といたい」
返事は?を促すように 彼は私を見つめた。
「そんなの。答え聞かなくてもわかってるクセに・・・」
そういうと余裕の笑みを見せる彼
「了解するに決まってる。私だって、すっと健一さんと一緒にいたい。出張の間だって、すごく寂しかったんだから」
鍵を握り締め、彼に抱きついた。
「すてきなプレゼントありがとう。」
おまけ
「なぁ、今度会ったら ケーキのこと聞いてみようぜ。」
1ヶ月前の悲劇を思い出し充が言った。
「彼なら、全部食べたんじゃないのか?」
賢吾がいう。
「彼ならきっと文句言わずに食べただろうね。」
と、頷く父親
「あら、チョコケーキのことよね?
さっき、伽羅が嬉しそうに 全部食べたって言ってたわよ。
しかも、おかわりねだられたからもう一個作るハメになったって嬉しそうに言ってたわよ。」
キッチンから顔を覗かせて母親が言った。
「「「・・・・」」」
3人は、絶句したのは言うまでもない。
‐完(笑)‐
小田原家はいかがだったでしょうか??
前半、ぜんぜんホワイトデー関係ないし・・・
いや、後半も?ww
一応、これでこのシリーズは一区切りです。
さて、人物紹介②
小田原 父 52歳
一般企業のサラリーマン 只今管理職です。
小田原 母 50歳
ただいま 専業主婦
小田原 賢吾 28歳
証券会社サラリーマン
彼女なし
小田原 充 25歳
実は、伽羅とは双子
刑事さん
女医の彼女と結婚する予定?
2007.3.11
*海藍*