被験体番号006(dullard)
今回から、後書きに1人ずつプロフィールを貼って行きたいと思います。
《そう簡単に勝てると思うなよ》
勝負内容はうすのろ。3人以上で遊べるトランプゲームだ。同じ数字のカードを四枚、人数分使い、自分の手札が同じ数字で揃ったら真ん中のコインを早い者勝ちで取りに行く、反射が必要な珍しいゲームだ。
《トランプとコインの代わりを用意する。》
そう言って目の前に置かれたのは
「う...」
「人の...手足...」
合計9本、4人分の誰かの腕と2人分の脚。2つの人形が置かれた。
カードのように隠すこともない、どのタイミングで誰が揃うのかも一瞬でわかってしまうだろう。
スピードに自信があるユーフィもすぐに人形も取りに行くことが出来る。
つまり、これは圧倒的に僕が不利な状況である。
《お前らのどちらかがうすのろになったら俺の勝ちだ、俺に勝ちたいなら二人共勝つんだな。》
まあ不利な戦いになるのは予想内、問題はこれからどうするのか...
そもそも二ーファさんがどれほどの速度を出せるのかすら分からない...
あの姿で、それも水槽からいちいち出て取りに行く、なんて事はないだろう。
おそらく、今までやってたように糸を使って人形を取りに来る。
そうなるといよいよ打つ手がない。
なにか打開策は...
「...これではあまりに不公平ですので、せめてハンデのようなものはありませんか?」
《この程度の劣勢、どうとも出来ないヤツに願いを聞いてもらうつもりもない、嫌ならやめてもいいぞ。》
...やはりダメか、わかってはいた事だが、これはどうしたものか。
《そろそろ始めようぜ、俺から回させてもらう》
足元には、いつの間にか振り分けられた手足が転がっていた。
[右腕][右腕][左腕][脚]
ユーフィに
[左腕][脚][脚][右腕]
そして二ーファさんが
[左腕][左腕][脚][右腕]
《ゲームスタートだ》
二ーファさんが手足を糸で持ち上げて、ユーフィに[脚]と[右腕]を渡す。
「...」
ユーフィは与えられた手足をまじまじと見つめ、しばらくして、僕に[右腕]を1つだけ渡した。
さすがにそう簡単に回られては困るから、ユーフィの選択は間違っていないが、それも長くは続けられない。
ユーフィから[右腕]を受け取り、僕は二ーファさんに[左腕][脚]を渡した。
そして二ーファさんがユーフィに[脚]を渡した瞬間...
ユーフィが人形の所へ駆けた。
ユーフィのスピードは尋常じゃなく、目で捉える事が出来たかも分からない。
そしてユーフィは羽根を両手に、武器を出した。
そして二ーファさんの糸を切り刻んだ。
《...へぇ、そう来たか》
しかし二ーファさんの糸は全く切れておらず、綺麗なままだった。
《まあいい、まだ1回目だ》
僕はというと、ユーフィが動いたのを合図に駆け出し。
ユーフィが時間を稼いでくれてる間に人形を取っていた。
もちろん、ユーフィも自分で人形を取ってる。
《だが、同じ手が通用すると思ったら大間違いだ。》
そんなのわかってる。
こっちの策が尽きない限り、まだ勝機はある。
諦めるつもりはさらさらない。
名前 モルダバイト
愛称 モル
身長 158cm
種族 エルフ
武器 ???
番号 865
動植物と心を通わせる超能力の被験体の失敗作。
幸せになる為だけに生きている。