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お出かけ3



栞さんは足が長い。

身長が高くてもどちらかというと胴長のわたしとは違って歩幅が広いから、少し頑張ってついていかなければならないのだけれど、栞さんはそれをわかっているみたいでいつもよりゆっくりと歩いてくれていた。


それどころか、今日は、後ろをついていくわたしが彼の隣に立つまでの間立ち止まって待ってくれている。


「ねえなつひ。隣においでよ」


突然そう言った栞さんはわたしを手招きした。わたしが少し小走りで彼の隣に並ぶと、その顔に浮かべたのは満足そうな笑み。

まるで犬みたいで、尻尾を振ってるような幻覚まで見えてしまうくらいで。

その表情が、ちょっとかわいい、なんて思ってしまって。


なんか今日、おかしい。


「俺ねー、今日楽しみにしてたんだ」

「え、っと、ケーキ楽しみです。わたしも」


そんなことを考えていたからだろうか。

いつもはつっかからずに言えるような言葉を少し大袈裟なくらいに吃る私に、栞さんは微笑みをこぼす。


「違うよ。ケーキも楽しみだけどさ。俺が楽しみにしてたのは、なつひとたくさん話しながらおいしいものが食べられること」

「え、」

「だってほら、なつひって本当においしそうに食べるから。話してて楽しいしさ」

「えっ」

「なつひさっきから、え、しか言ってないよ?」


たまらないといった風に声を出して笑う栞さんを見た。

歩幅は相変わらずわたしと同じで、それが少し心地良い。


からかわれたのかな、本当にそう思ってもらえてるのかな、なんて考えている自分に恥ずかしくなってしまって、熱を持った自分の頬とそんな考えを持った自分の脳を少し恨んだ。



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